終わりの終わり。結末の行く末
初めましての皆様、お立ち寄りいただき、ありがとうございます!
何度も読み返してくださっている皆様、本っっっ当―――に嬉しいです!!!!!
今後の勉強のために、ご意見や感想を頂けると大変助かります!!!
邪気が跡形もなく焼き尽くされ、眩い太陽の光がゆっくりと収まり、視界が開けていく。
さっきまで満ちていた重苦しい空気は消え去り、
代わりに、どこか澄んだ朝のような静けさが空間を満たしていた。
No.83(ヤミ)の空間に捕らわれていた二人も駆け寄ってくる。
「御子様……っ!ご無事ですか!?」
「御子様ぁぁ! 御子様のレオニダス、今お傍へと帰還いたしました――!」
「……ああ、二人とも無事でよかった」
いつもなら抱き着いて来る二人が、今回は駆け寄るだけ。
駆け寄る勢いもあまりなく、利き手は肩から下が、だらんとぶら下がっている状態。
折れてはいないが、力が入らないのだろう。
「二人とも、随分無理したな」
「御子様こそ!お顔が真っ青です!今回復の祈りを……!」
「御子様!御前を離れてしまい申し訳ございません!!今回復を……!」
二人がまた俺の為に力を使おうとする。
「俺は大丈夫だ。回復は二人の――」
「ボロ犬は大人しくしていなさい!私が聖女の祈りで回復します!」
「ボロ豚聖女様こそ役立たずなんですから、私の医術治癒で――」
「それは神系譜スキルでしょう!ボロ雑巾犬に劣化する――」
「ネクタル(神の酒)を飲むので――」
「半神半人の身でそれは――」
わーわー
……何か重要な事を言っていた気がするのだが、これまでの疲労の後に、このいつものやり取りの勢いのせいか、あまり頭に入ってこない。
いろいろ落ち着いたら、改めて聞いてみよう。…………「御子様・大全集」も含めて。
とりあえず今は、ミノタウロス本体のことに集中だ。二人の回復待ちの間、
視界がクリアになったことで、見えるようになった扉の中を観察する。
「…………」
三位一体の光に文字通り「お祓い」され、白目になって地面に転がっているNo.83(ヤミ)の姿があった。
おそらく、「陰(闇)」のエネルギーのみで構成されていた中身は、陰陽の「安定(調和)」が保てず、消滅してしまい、この肉体の抜け殻だけが残ったんだろう。
エネルギーが無い器は長くはもたず、放っておいても、そのうち朽ち果てる。
その他にも数十体の分体が転がっているが、きっと同じような造りだろうから、やはりそのうち朽ち果てるだろう。
「…「本体」は…」
お祓いされて転がっているヤミの抜け殻のさらに奥、部屋の最深部にそのカプセル(本体のポッド)が鎮座しているのに気づく。
「……あの中に入っているのか。矢が刺さっているし」
問題は周りのシステムだな。エネルギー炉はすぐ分かったが、その周りに装置がある。エネルギー炉の制御装置があることは確実として、他は?
防犯レーザーの様な装置もあるとしたら、安易な行動は命取りになる。
「何の装置か見極めないとな……」
さて、どうするか……。
「だいたい耳や尻尾を付けて獣に成り下がった豚聖女様は――」
「獣の変態に成り下がっている犬畜生に――」
わーわー
まだやってた。びっくりした。……ゲンキダナー……。
…もう回復要らないんじゃないか?なんて思っていたら……
ガコン
「 「 「 ! 」 」 」
カプセルらしき蓋が開いた。
わーわーやってた二人が俺の前を塞ぐように立つ。
「…本体自ら出て来たか」
「…待ちきれずに尊い御子様の御尊顔を拝みに出てきたか。「マテ」が出来ない家畜め…しかしその意欲は――」
「何言ってんのコイツ」
!! 遂にリリーが声に出して言った!
『…………』
「…………」
「…………」
「…………」
――緊張が走る。
『………み…』
「!」
遂に本体が――
『御子様尊いーーー!!!』
―――「!?」
………………??
「??」
「!?」
「…………」
………なんて? ……今、何て言った?
「……俺は何か聞き間違いをしたか…?」
「…いえ、間違いなく「御子様尊い」と言いました」
「なんと!家畜なのに御子様の尊さを理解できるとは!言って聞かせた甲斐があったと言うもの!!」
―――ミノタウロス(本体)は、レオの精神干渉逆流によって、洗脳されていた。
『御子様!!!』
「!?」
正座をして、祈りのポーズをしだすミノタウロス(本体)。
『…私はこれまで、ひどい扱いを受け、報復にと訪れた人々を殺めてしまいました』
――いきなり懺悔し始めた!
『辛くて(カプセルに)引き籠ってる間に、防衛システムが私を護るため、そして、傷ついて引き籠った私を癒してくれる人を見つけ出すため、プログラムが暴走した結果だったとしても―――』
「!!」
―――懺悔の合間に語られる衝撃の事実!!
『これからは罪を悔い改め、罪を償うため、どんなことでもします!どうか御子様の御傍でお役に立たせて――』
「俺はそう言った活動はしていない。正式な場へ行って相応の――」
「御子様の御傍を要望するとは厚かましい家畜め!身の程を知れ!そして御子様の御傍は常に私が――」
「…………」
――リリーが、カバンの肩紐をギュッと握りしめる。
「……罪を償うため、どんなことでもする、そう、言いましたね?」
『…泥棒猫…。…そうね、二言は無いわ』
「泥棒はあなたですが!…分かりました、いいでしょう」
――『クリシ・トン・セオン(神々の神判):
シイア・カタズィキ(神聖なる有罪判決)』!!――
聖女にのみ許された、聖女のスキル。リリーの背後に、目隠しをした法の女神テミストライアの持つ『天秤』の巨大な幻影が現れ、その『天秤』は、ミノタウロス(本体)の胸に向かって縮小していき、激痛を伴って、神々より下された有罪の証、罪紋として胸に刻まれた。
それは、迷宮で奪ってきた数多の命の重さであり、これから背負うべき贖罪の呪印。
「罪で傾いている天秤は、徳を積み重ねれば水平になり、罪紋は消えます。その紋様が消えるその日まで、あなたは罪を償い続けなさい。そして……殺めてきた人々の冥福を、一生祈り続けなさい!!」
刻まれた罪紋の痛みにミノタウロス(本体)が小さく呻き声を上げる。しかし、その瞳からはかつての狂暴な濁りは消え、神判を受け入れた静かな光が宿っていた。
「再度、罪を犯せば、天秤を乗せている三日月の弓と矢が、あなたの心臓を射貫くでしょう。それはアルテミア様の『即死の矢』です。……間違いを繰り返さないことを願います」
『……ふっ、もう…間違えないわ……だって……』
――ぞわっ。
悪寒が走る。
『御子様を通して、愛を知ったんですもの!!!』
「!?」
「キサマ――」
「なっ…!」
『全問パーフェクト解答よ~!?エスコートもデートも、知識も実力も優しさも最高峰よ~!!中身も外見も超絶イケメンよ~!惚れないわけがないわ~~~!!♡私は今、愛で満たされているのよ~~~!!!♡♡♡』
……生き残るためにしてきたことが、まさかこんな結果になるとは……。
「この家畜が!そこに直れー!!身の程を――」
『あなたの〔御子様・大全集〕だって、全部頭と心に叩きこんであるわ~!♡」
「……レオ、説明してもらおうか」
「御子様!〔御子様・大全集〕ですか?全部となると、七日七晩かかりますが、よろしいですか?」
「そんなにか!?」
「はい!!まず、〔御子様・美の全集〕と、〔御子様・武の全集〕、それから――」
ふと、リリーが、カバンを眺めながら俯いているのが目に入った。
リリーの元に行き、頭をポンポンしてやる。
「……赦せて、偉かったな」
「…!!……うぅ……御子様ーーー!!」
感情に任せて殺すことも出来た。でも、しなかった。神々に判決を委ねた。
涙が止まらなくなったリリーが、俺に抱き着いて――来る前にレオに止められた。
……鬼かな。
「…御子様の御召し物がメス豚様の鼻水で汚れてしまいます」
「…(グスッ)……あなたは、こん、な時、でも、ブレな(グスッ)……」
レオが差し出したハンカチで涙を拭くリリー。
『…………』
ミノタウロス(本体)も罪悪感でいっぱいの様だった。
「…みんなで、冥福を祈ろう」
迷宮で亡くなった方達に向けて、祈りを捧げる。
その時だった――。
パアアアアアアアアア
エネルギー炉から、白い光が溢れだしてきた――。
読んでいただき、ありがとうございます!この理不尽な迷宮に、ストレスをかけられまくる主人公(蓮)を、是非応援してあげてください(笑)。この「愛の迷宮編」が一区切りしたら、皆さまがもっと読みやすく、面白くなるように、全話少しずつ改稿予定です。なので、少しお休み期間が出来るかもです。主人公(蓮)の今後の行方が気になる方は是非ブックマークをお願いいたします!(笑)




