暗闇に昇った、朝日(希望)
初めましての皆様、お立ち寄りいただき、ありがとうございます!
何度も読み返してくださっている皆様、本っっっ当―――に嬉しいです!!!!!
今後の勉強のために、ご意見や感想を頂けると大変助かります!!!
―――――立ち入り禁止区域の扉前で、No.83(ヤミ)と対峙していた蓮
リリーの防御壁が無くなったことにより、どす黒いオーラに囲まれる。
すると、鏡が現れ、袴を着た幼い頃の俺の姿が映る。
参拝者の大人達や、神社の関係各所の大人達に囲まれている。
「…ああ、能力が本格的に覚醒した頃かな」
大人達は誉めそやす。
しかしその瞳の奥は、欲や野望、嫉妬や憧れ、恐れや期待、色んなものが滲んでいた。純粋な気持ちで俺の側に居た大人は、ほんの数人だろう。
人、血統、利権や所有、いろんなものの柵。
いろんなものに絡め取られそうになった。
実際物理的にも拉致・監禁されそうになった時もあった。
人が向ける感情が重くて苦しくて気持ち悪くて……押し潰されそうだった。
「…………」
――時が経ち、思春期くらいの姿になる。
この頃になると、日に日に俺を取り囲む女子達が増えていった。
女子達も大人達と変わらない。いろんなモノが滲んだ目をしていた。
遠巻きで俺を見ている男達の目も同じだ。
そして、神代蓮という男の虚像も日に日に大きくなっていった。
もう俺じゃ無い俺が独り歩きしていた。
自分の都合の良い様に、「こういう男」だと思われ、自分の都合が悪くなると「こういう男」だと思わなかったと、言われる。
勝手に期待され、勝手に非難される。
謂れのない加害者に仕立て上げられた時もあった。
人の本質を、たくさん、たくさん見てきた。
そんな重く、辛い出来事が、年齢の経過と共に映し出されていく。
――そして今は、今の俺と向かい合っている。
「…改めて自分の生い立ちを見て、どう思った?」
鏡の中の俺が、俺に問いかける。
「…懐かしいな、そんな時もあったな、って」
「生まれを恨んだ時もあっただろう」
「ああ、神代家以外に生まれてたら、もっと違った、普通の一般家庭で普通の生活を過ごしてたんだろうなって……」
何度も……何度も思った。
普通じゃない自分と神代家。静かに暮らしたいのに、周りが良くも悪くも騒ぎ立て、絡み付いてくる。鬱陶しくて、そう思ってしまう自分に罪悪感も感じて…悩んで、苦しんで、葛藤して…。
でも――、
「それで行き着いた先が……『感謝』だった」
初めて〝命″を救えた時に、初めて〝神代家″の自分で良かったと思えたんだ。
普通じゃ助けられなかった命。普通じゃないから助けられた命。
同時に命の大切さも知った。命には無限の可能性がある未来が繋がっている。
生きていれば広げ続けられるが、亡くなってしまえば終わってしまう。
儚くて……尊い。
救える命に比べたら、これまで自分が悩んでいたことなんて、なんてことない。
そう、気づけた。気づけたことにも感謝した。
これまで俺に関わって来たすべての人に、環境に……自分自身に。
劣悪な人間も、環境も、全ては自分が成長するためのモノなのだ。
「…いつも俺の心を護ってくれてありがとう」
鏡の俺に、礼を言う。
ネガティブな感情というのは、実は防衛本能の現れ。自分を守るための感情。
だから、そんな自分自身を受け入れ、どうしてそう思うのか向き合い、どうしていくか一緒に考え、安心させてやればいい。
自分を大切にするって、そう言う事でもある。
――鏡の俺が、労わるように俺に微笑む。
「……ああ。お互いな。…………俺を気にかけて、尊重してくれて、ありがとう」
鏡の俺も、俺に礼を言う。そして干渉があることを告げる。
「…ところで、ずっと俺になり替わろうと、干渉してくる奴が居るんだが……出来るわけないのにな」
「…俺たちの間に入り込む隙なんて無いからな」
どんな感情も受け入れ、向き合い〝統合″出来ているからな。まだまだ未熟ではあるが、No.83(ヤミ)の干渉如き、なんてことはない。
「…はじき返すか」
「任せた」
「じゃあ、そっちは任せた」
「ああ」――
――――バンッ!
俺の周りを囲んでいたどす黒いオーラが消し飛んだ。
『…ばかな!はじき返された!?この私が干渉できないなんて……!』
「俺はお前に呑まれるほど、軟に生きてきてないからな」
一呼吸した後、氣を巡らせ、集中する。
――どす黒いオーラの中に、澄んだオーラが溶け込み、精錬された氣が、どんどん鋭くなっていく。
レオからもらったバングルを外すと、光を放って弓の形になり、バングルから垂れていた矢の形のアクセサリーは、そのまま矢になった。
ポケットにしまいっぱなしにしていた、天使の羽【聖】の、残りの内1枚も取り出す。
パアアアアアアアアア
天使の羽を絡ませた矢を引き絞る。
ギリギリギリ……
『……無駄よ。私に物理攻撃は効かない』
「矢、はな」
―――パァンッ
矢は、No.83(ヤミ)に向かって飛んで行く。
矢の軌道付近のどす黒いオーラは、ジュッと音を立てて浄化されていく。
「……やはり、「祓い」の能力を封印されていては、この程度か……。だが、あの二人ならば大丈夫だろう」
そして――
『!?』
矢は、No.83(ヤミ)に届く前に、何かの干渉を受け、勢いを失って落ちてしまったが、白い一筋の光はNo.83(ヤミ)の心臓当たりを貫通した。
――『破魔の矢・天羽麻迦矢』。
本来は、どんな強固な結界も撃ち抜き、決して外れることなく、魔をも撃ち破る。
――蓮の破魔の矢は、レオとリリーの元へ、白い一筋の光として届いていた。
『……くっ……でも、二人の命は私が握っている……どうする?』
「二人のことも侮らない方がいい。お前の干渉なんてすぐ跳ね返される」
『……あなたこそ私を侮らないで……。私はその道のプロよ。誰も私を……!……』
No.83(ヤミ)が何かにピクリと反応し、言動が止まる。
「………どうしたんだ?何か不都合か?」
『!……何でもないわ……それより自分の心配を……!!……ぎゃあああああああああ』
「!」
突如、No.83(ヤミ)が悲鳴をあげた。
『御子様妄信男が精神干渉を逆流させてくるーーー!御子様尊いと120回以上咀嚼しろとか流し込んでくるうううーーー!!もうこれは呪いの呪文だわー!穢されるー!いやあああーーー!!』
「…………」
『御子様・大全集とか、特急呪物でしかないわあああーーー!!穢されるー!いやあああーーー!!』
「!?」
…………レオ。
「…あいつは何をしでかしてるんだ一体……」
そして………、『御子様・大全集』とは? 俺を題材にした特急呪物……。
後で問いただすことにしよう。
『御子様から授かった称号『変態性のある大型犬』の凄味って何!?意味わか……ええええーーーそいういことーーー!?すんごおおおいって違ううううーーー!そうじゃない!』
「………………」
『ぎゃああああ!こいつ精神構造がもう普通と違う~!異常過ぎて干渉が嚙み合わない~~~!!』
…………レオ。
「!」
リリーの波動(氣)の気配がして、すぐ、どす黒いオーラを纏っているNo.83(ヤミ)のオーラが、黎明の空の様な、暗闇と薄明(薄紫)のグラデーションに変わる。
その後、レオの波動(氣)の気配がして、すぐ、黎明のオーラは、暁の空の様な、淡い黄赤色とのグラデーションに変わる。
世の中、汚いモノで溢れているのかも知れない。でも――、
「キレイなモノも、確かにあるんだよな……二人とも、頑張ったんだな。……とてもキレイだ。」
精神干渉や洗脳から抜けたのだろうが、姿はまだ見えない。あともう一歩というところか。
なら――、
「……二人の朝に、太陽(希望)の光を射そう」
氣を集中し、精神を統一させる。
「……内在されたる偉大なる智慧。古の血より続く秘めたる叡智と力を引き出し、我が身に顕し給へ」――
――ドックンッ
「!!……グッ……」
能力を封印されている体で、相反するこの祝詞(能力の顕現)を唱えることはハイリスク。……しかし、レオもリリーもハイリスクを冒して俺を守ってくれた。
なら俺も……相応以上のリスクを冒してでも、二人を助ける――!
――『金鵄・天照』――!!!
最後の一枚の天使の羽【聖】を絡め、限界まで引き絞った弓から矢を放つ――!
――シュパァァァンッッ!!!
――キィィィンッ!!!
蓮が矢を放ったすぐ後に、No.83(ヤミ)のオーラの空間に亀裂が入り、二本の矢が飛び出してきた。
白銀の矢と黄金の矢が重なり、「調和」が起こる。
「陰(闇)」「陽(光)」のバランスが「調和」され、No.83(ヤミ)の「陰(闇)」のみで形成されているオーラとその空間は、二本の矢の「調和」によって一瞬で霧散していく。
そこへ、蓮の放った一矢が更に加わった。三位一体。
――闇の空間は完全に朝を迎えた。
蓮の放った至高の一矢が、その空間の『岩戸』を完全に押し開いた。
―――No.83(ヤミ)の暗闇空間に閉じ込められていたレオとリリーの姿が現れる。
――天照の顕現。
昇りくる太陽は、まるで生きた金鵄の羽ばたきの如く、まばゆい直射光を四方八方へと放ち、世界を白銀と黄金の祝福で満たしていく。
影を一切許さない絶対的な日の出の光が、空間の隅々までを清らかに『お祓い』していき、圧倒的な熱量を孕んだ太陽の光(日輪)が、まるで世界の王座に君臨するかのように昇り詰め、すべての邪気を跡形もなく焼き尽くしていった。
読んでいただき、ありがとうございます!この理不尽な迷宮に、ストレスをかけられまくる主人公(蓮)を、是非応援してあげてください(笑)。この「愛の迷宮編」が一区切りしたら、皆さまがもっと読みやすく、面白くなるように、全話少しずつ改稿予定です。なので、少しお休み期間が出来るかもです。主人公(蓮)の今後の行方が気になる方は是非ブックマークをお願いいたします!(笑)




