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恋愛至上主義の世界 vs. 絶食系リアリスト~神々のとんでも恋愛フラグを全て塩対応回避して現代帰還を目指す~  作者: 陽月星 兎桜


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パン女を回避したら、痴女になった件(犠牲者:小便小僧像)

初めましての皆様、お立ち寄りくださり、ありがとうございます!

何度も読み返してくださっている皆様、本っっっ当ーーーに、ありがとうございます!!

今後の為にもご意見や感想をいただけると嬉しいです!

曲がり角を曲がろうとしたリリーに待ったをかけた。

なんだか凄く嫌な予感がしたからだ。俺のこういう時のカンは外れない。



「御子様、どうかなさいましたか?」

「ああ、なんか嫌な予感がする。俺のこういう時のカンは外れない」

「え!?大丈夫ですか!?」



うーん、、、すごく曲がりたくない。近づきたくもない。

さて、どうしたものか、、、。



ガサッ


「!」



・・・うん、居るな。間違いなく居る。



「・・・女の気配がありますね。女も角からこちらの気配を伺っているようです」

「・・・不審な女が角で待機・・・」

「潰しますか?」


「・・そうだな、もし俺の予想通りだとしたら、潰さないとだな(フラグ)」

「では潰してきます(物理)」

「いや、まずは俺の予想が当たっているか外れているか確認してからだ」



冤罪で物理的に潰してしまっては可哀そうだからな。



「承知いたしました。それと女はクロワッサンを持っているようです」

「食パンじゃなくて?」

「はい。しかも高級なクロワッサンです」



高級なクロワッサン。まあ、種類が何だろうと、パンを持っている時点で俺の予想は当たりなんだが。



「・・・何でレオは高級クロワッサンを持っているって分かったんだ?」

「匂いがしますので」

「この距離で?」



……嗅覚まで普通じゃない。



「はい。ちなみに御子様の匂いも覚えましたので、何処に居ても分かりうふふ、、御子様の匂いは清々しい清涼なスン…スン」

「嗅ぐんじゃない」



レオの頭を押し返す。(引き)



「御子様に近寄らないで犬畜生!」

「邪魔をしないでいただけますか!御子様の匂いで体調の良し悪しも分かるのですよ!なのでこまめに体調チェックとして匂いをお嗅ぎさせていただいて、、」



……いろいろ普通じゃない。(ドン引き)。



「まあ、お飾りだけの聖女様には出来ない芸当ですのでご理解できないかもしれませんが」

「そんな変態的芸当出来ずとも普通に、、!」

わーわー



「・・・(スルー)。しかしこの世界でもこんな古典的なベタ展開があるのか」

「国家公認の高度な恋愛戦術として研究されているようです」



こんなことを!?  ……色んな意味で、愛に狂った世界なのではなかろうか……。


……ああ、そういえばあの恋愛オタク神も、古今東西の恋愛をコンプリートしていると言っていたな。暇なんだな。



「リリー、他に神殿に繋がる道はないか?」

「申し訳ございません御子様、神殿に行くにはあの角を曲がるしかありません」

「そうか。・・・ふぅ・・・じゃあ行くか」



意を決して歩き出す。






―――― パン女 ――――


来た!ああ、なんてお美しいの!絶対にモノにしてみせる!

娼館No.1の私の手練手管があれば、御子様だって一発で私に夢中になるわ!

あとはきっかけだけ。ふふ、これで成り上がってみせるわ!!

これで、こんな生活ともおさらばよ!


――――――――――――





「私が先に行きましょうか?」

「私が先頭でも大丈夫ですよ?」

「いや、いい。こうして看破できたから大丈夫だ。たぶん」



そして曲がり角を曲がる……と見せかけて重心をあえて残し、虚像だけを見せるフェイントを入れる。



「遅刻遅刻えいっ!、、、え!?」



バターン



案の定、角の向こうから飛び出してきた影は、空を切って石畳に突っ込んだ。



………“えいっ!”って言ったな。確信犯で決まりだ。



「!………この匂いは」



レオが何かに気付き、空振りして勢い良く倒れた女性の両手を腰帯で拘束する。


目にも留まらぬ速さとはこのことか……。


散らばった高級クロワッサンを数個拾い、女性の首根っこを掴んで、近くの噴水の小便小僧像の前に連れて行った。



「ちょっと何す、、、!?」



レオは女性の目元をハンカチで覆い、その上からアイアンクローで顔の位置を固定し、口に高級クロワッサンを3個突っ込んだ。鬼かな。



「御子様、この女のクロワッサンに、惚れ薬が使われていました」

「!」

「御子様になんてことを!」



怖っ。これからも、この美しい庭園で、

そんな物騒な物持ってウロウロ徘徊している犯罪者とエンカウントする可能性があるのか?何のRPGだ。そんなものリアルで体験したくはないんだが。



「しかも強力な媚薬入りです。強力なのでもう効果が表れています。見ててください。」



いや、別に見なくてもいいんだが。



レオが女性の顔を小便小僧の方に向け、ハンカチを取る。



「!!、、、〇※▽$◇‰△@□#◎♭!!」

「・・・・・」



口に3個のクロワッサンが突っ込まれているので、何を言っているか分からないが、

小便小僧を見て、顔を紅潮させ、頬ずりしながら歓喜して興奮している様だ。



俺も、あの女性とぶつかった拍子に押し倒されて、高級クロワッサンを3個口に突っ込まれていたら、あの女性に対して、俺がああなっていたのか。。。


そして、そのうち既成事実が成り立ち、この世界とあの女性に一生縛り付けられていたのかと思うと……恐ろしいな。(ゾワッ)



「・・・・・」



リリーが居たたまれない顔で女性を見ている。

俺も、たぶんリリーも、何とも言えない空気になっている。



「……御子様……危なかったですね……」



リリーも俺と同じことを思ったんだろう。



「ああ、回避できて良かった」



本当に良かった。

そしてなんかもう、見てはいけないものを見てしまったような気にさえなってきている。



「愛を囁きながら、小便小僧像の唇を貪る女性」というシュールで奇妙な光景。



リリーが少し、憐みの眼差しを向けていた。



そして、水で手を洗っていたレオが、ため息をつきながら呆れ気味に言い放つ。



「変態ですね」



お前が言うな。



「しかしそんな粗末なものに興奮して貪っている時点で小物痴女——」



お前が強力媚薬入り高級クロワッサンを3個も食わせて小便小僧を見せたからだろう。



「そもそも舌遣いが稚拙で——」

「レオ、あの女性を手刀かなんかで気絶させられるか?」



俺が気絶させようとしたら、絞め技になってしまうからな……さすがに女性にそれを行使するのは気が引ける……。



「はい、造作も御座いません」



造作も無いのが、やっぱり凄いな。



「さすがにあれ以上の、エスカレートした状態を誰かに見られるのは、

黒歴史を刻むみたいで可哀想だ。エスカレートする前に気絶させるのが良いだろう」

「御子様……(ご自分が大変な事になっていたかもしれないのに……お優しい)」

「なんたるご慈悲!!承知いたしました!御子様のお望みなら叶えるまでです!」



レオは女性の首元に、綺麗な手刀一発キメて気絶させた。



・・・しかし、気絶した女性の顔の位置は、小便小僧の水が出ている位置。

そして、それをそのまま放置して、俺の元へと帰って来た。



、、、女性の状態、、、もう言わずともお分かりだろうか、、、。



……レオ、お前……、いくら他人に興味が無くとも、もう少し気遣いを……まあ、でも、あんなことになりうる物を俺に食べさせようとしたからな……。



「女性が小便小僧にああなってしまったのは可哀そうではあるが、自業自得なところもあるので、これ(黒歴史)を機に、きっちり反省してもらおう。これで、『される側』の被害や気持ちも学べるだろう」




――愛のオタク神が言っていた

『“愛があれば何してもいい”という、秩序が乱れ始めた世界』。



なぜこの世界はこんなに愛に狂ってしまったのか――?

俺が召喚された意味は…?



まあ、この世界を何も分かってない状況で考えても無駄だな。

今はとにかく情報収集だ。




「……リリー、あの女性の薬による精神状態異常は……」

「はい。あの女性の状態異常は時間経過で回復すると思いますが、念のため、神殿で処置をすることになると思います」

「そうか。それと……、もし俺たち以外にも、この出来事を見てた人が居たら、箝口令をしいてくれるよう、お願いしておいてくれ」



俺がこんな事を言うのは意外だったのか、二人が目を丸くする。



「御子様!あの女が反省も懲りもせず、今以上の行為や報復をしてきては厄介です!御子様を陥れる危険な行為、赦せません!」

「……あの女性は大丈夫だろう」



幼少期から、大勢の人間に囲まれ、いろんな人間を見てきた。レオが言う通りの、『今以上の行為や報復』をしてくるような人間は、もっと陰湿で粘着質な氣を醸し出していて、目も澱んでいる。


でも、あの女性には、それが無かった。



「……プライドが高そうなあの女性にとって、今回のこの出来事は、深く刺さった黒歴史になっただろうからな。これを機に、きっちり改心するだろう。改心したその後の生活に、支障をきたさないようにしておいた方がいい」

「……御子様……!」

「……御子様!なんてご高尚で慈悲深い……!」



二人がキラキラした目で見て来る。なんか恥ずかしくて気まずいからやめてくれ。

絶対二人が思っているような感じゃないから。



「いや、別にご高尚でも、慈悲深くも無い。可能性の話だ。俺はそんな崇高な人間じゃない。その証拠として、きっちり、あの女性をあのままの状態で放置して置いて行くからな」

「はい!きっちり反省させるためですよね!」

「くぅ~~~!!飴と鞭のバランスが絶妙です!!一見冷徹なツンなようで、見えないところで、デレの飴を無意識で与えて――」

「お前は何の話をしているんだ」



そんな話をしていると、ちょうど神殿を見回りしていた衛兵が通りかかったので、事情を説明し、後を任せることにした。



「じゃあ、リリー、神殿の案内の続きを頼む」

「はい!」



こうして、俺たちは、小便小僧の水が出ている位置に、顔を埋もれさせて気絶している女性など居ない、何事も無かった、と言わんばかりに、この場を後にした。(塩対応)


『御子様を危険に貶めたので、これだけでは気が済まない』と、女性の体を、更に小便小僧をガッチリホールドした体制にしようとしたレオを止めたのは、言うまでもない。



リリーが安堵したように笑い、再び案内をし始めた。



――が、しかし、更なるフラグが待っていた。



「……あれは……」



道端に倒れている女性。



「……また古典的なフラグか……?」



しかし、又してもその「古いベタ展開」が、「そっち系」の方向にチェンジしていくことになるなど、この時は予想できるはずも無かった。

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