〜月夜の静寂、乙女の決意〜
初めましての皆様、お立ち寄りいただき、ありがとうございます!
何度も読み返してくださっている皆様、本っっっ当―――に嬉しいです!!!!!
今後の勉強のために、ご意見や感想を頂けると大変助かります!!!
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―――隠し通路
現れた窪みの奥は、まるで粘つくような闇が溜まっている。
かつての私なら、この負の気配に足をすくませていたかもしれない。けれど、杖の先から溢れる銀の光が、迷いなくその闇を切り開いていく。
「……ていうか、コレ……」
ヴァージンロードのような通路に、花嫁の冠の様なフラワーリング、花瓶に活けられていた、まるでウェディングブーケのような花々……。
『結婚』を意識させるようなアイテムばかり。
それを持って扉の前に行くと開くと言う。。。
一見、自分が花嫁になったような感じだが、この迷宮は女性の入場や、女性エネルギーの干渉を拒絶する。(迷宮関連に向って使わなければ問題ない)
つまり、男性がこの『結婚』アイテムを用意して持って行く。それすなわち……
「プロポーズ……」
そして、御子様もレオニダスも、先程の男性の方もイケメンで、
恐らくその男性もきっと能力はハイスペック、、、。
「この迷宮の主は絶対女性性!しかも理想高過ぎじゃないですか!?ハイスペックイケメンを選り好みとか贅沢過ぎますよ!神罰が下りますよ!ていうか、御子様を巻き込んでいるので神罰を当てに行きます!!!」
レオニダスは放っておいても、神罰を下しに行、、、この迷宮ごと破壊してしまうかもしれません!急がなければ!
そして扉の前に着く。
「……ドキドキ……」
―――ポオッ
フラワーリングと花が淡く光る。
―――ガチャッ
扉が開く。
―――ギイイイイ……
「!」
扉の中には、またも白骨化した遺体があった。
「………プロセフヒ・ヤ・ティ・ソティリア―――」
リリーが、魂を救う祈りを唱え始める。
さわさわさわ……
空気が清浄なものに変わっていく。
「――プロセフヒ・カサルシティス・アナパフシス」
パアアアアアアアアアアア
魂と遺体は空間ごと浄化された。
―――スウゥゥゥ
遺体から、男の魂が出てきた。
『聖女様!ありがとう!!』
―――この方は、依頼でこの迷宮の実態調査に来ていたらしく、その途中で命を落としたようだった。
『この迷宮は、攻略難易度〝超級″でね、誰もクリア出来たものは居ないんだ。でも、『運命の相手に出会える』だとか、『凄いお宝が眠っている』とか、噂に釣られて訪れる者や、自分試しに訪れる者も居てね~。それで調査に駆り出された結果がこの通り(笑)――』
どうやらここで、左胸に花を飾らないといけないらしく、適当に一番近くにあった黄色のバラのコサージュを選び、それで失格(death)になってしまったらしい。
「黄色いバラ、、、花言葉が[別れ]、だからですか?」
『そうみたい!冒険者の男が、花言葉なんて知るわけないじゃんねー!迷宮で乙女趣味とか草生えるわーw それで死んだ〝凄腕の冒険者″だった俺は大草原不可避だわーw』
「…………」
それは放牧民も驚きですね!とか、返した方がいいのかしら、、、?
『そうだ!僕のカバンの中に入ってる【冒険の書】、君にあげる!救ってくれたお礼!色んな所を旅してたから、きっと何かの役に立つと思う!……僕の知見と情報、攻略法の全てが、後世へ貢献できたら嬉しい』
儚げに笑う男性。
「そしたら僕も、生きていた価値があるというものだ。、、、ここで死んだ意味もね」
――ズキリと胸が痛んだ。
「……大丈夫です!あなたは立派に今世を生き抜きました!こうして私や、後世を導ける【冒険の書】まで残せたのですから!誰にでも出来ることではありませんよ!」
これは、お世辞でも何でもない。心からの本心と賛辞だ。
「…自分は身近な人でさえ、救えなかったし、導けませんでしたから。あなたは、とても立派なことを成し遂げたのですよ。胸を張ってください!」
―――そう、実際この【冒険の書】は、後世で多くの者達を救う、伝説の書になる。そして、蓮達も感謝することになる―――
『…聖女様は後悔しているんだね…。でも大丈夫!生きている限り何度でもやり直せるんだから!これって凄い贅沢なことだからね!(笑)』
「…ふふ、はい!生きている限り、何度だって頑張ります!」
『うん!じゃあ、僕のカバンを持ったら、まずは指輪探しから』
扉の中に入ると、控室の様な場所になっていた。
この方のカバンを背負い、奥の扉を見ると、
【第一ミッション:指輪を確保せよ】
始まりの場所。恋人を護るモノ。恋人を掴むモノ。
と書かれた紙が貼られていた。
「……掴む……手?……グローブかしら?」
『そう!指輪はグローブの中に入ってるよ。僕が死んだ後、またグローブに戻っていったから間違いないよ』
グローブの中を見ると、指輪が一つと、メモが入っていた。
【片割れの行方:ヒント】
あなたが毎日見つめているモノ
この部屋の中のアイテムで、毎日見つめている物・・・。
「…………」
鏡を見る。
『正解!鏡の端をよく見て。次のヒントが書かれてる』
【片割れの行方:ヒント】
あなたを幸運の場所に導くモノ
「……靴かしら」
『正解!流石聖女様!凄いね!』
靴の中に、もう片方の指輪と、メモが入っていた。
【永久の愛を約束する未来への鍵箱】
それは、最も愛が溢れている場所で待っている。
……恐らくリングケースのこと。
「愛が溢れている場所……心……左胸……」
クローゼットらしき扉を開け、ハンガーにかかっているタキシードの左ポケットを探る。
「あった。……メモも入ってる」
『結婚式、、、詳しいの?(笑)』
「!? 違っ、わ、私は愛の神殿に仕えているので、、、!」
『ああ!なるほど。てっきり将来の夢はお嫁さん♡的な感じでいろいろ調べていて、詳しいのかと(笑)』
「違います!私は聖女ですが、シビアなリアリストです!……特に恋愛や結婚に関しては反面教師の父が居るので、、、(虚ろな目)」
(元)伝説のナンパ師の肩書と、愛の神殿の神官長の肩書を持つ父。
『ああ!アードニス様ー!!』
「知っているのですか!?」
『みんな知ってるよー!伝説の彼と伝説の逸話を知らない人なんて居ないんじゃない?(笑)』
うううぅぅぅ……ここでも……。
『なるほどねー、、、』
「ジロジロ見ないでください!それよりメモです!メモ!」
【第二ミッション:愛が溢れている場所に、愛の花と愛の言葉を】
「ああ、これで、左胸に黄色いバラを選んでしまったんですね」
最後の最期でなんて雑な――、そう言いかけて、気づく。
花のコサージュが無いのだ。黄色いバラのコサージュ以外。
「罠……」
『そう。まいっちゃうよね~』
〝凄腕の冒険者″ですら、たった一輪の花の選択で命を落とす。この迷宮は、武力や魔力ではなく、『迷宮主の徹底した乙女趣味』への理解を強要してくる。
……なんて理不尽。
浄化された彼の、透き通った笑顔が逆に切ない。
「……大丈夫」
『聖女様?』
そう、私は〝愛の神殿″の聖女。これくらいは解いて見せます。
「あなたの無念と敵討ち、果たして見せます!」
読んでいただき、ありがとうございます!この理不尽な迷宮に、ストレスをかけられまくる主人公(蓮)を、是非応援してあげてください(笑)。この「愛の迷宮編」が一区切りしたら、皆さまがもっと読みやすく、面白くなるように、全話少しずつ改稿予定です。なので、少しお休み期間が出来るかもです。主人公(蓮)の今後の行方が気になる方は是非ブックマークをお願いいたします!(笑)




