『愛の実践試験』迷宮側が推しルートを畳みかけてくる件
初めましての皆様、お立ち寄りいただき、ありがとうございます!
何度も読み返してくださっている皆様、本っっっ当―――に嬉しいです!!!!!
今後の勉強のために、ご意見や感想を頂けると大変助かります!!!
『次のルートを選んでください♡』
海ルートをクリアしたのに、理不尽に振り出しに戻されたんだ、どうせまた海に行っても同じ理不尽が起こるだけだろう。
「牧場ルート行かせたいなら、最初から海ルート作るなよ」
Ⅱ. 牧場ルートの扉を開ける。
『牧場ルートニ入リマス♡』
機械音が流れると同時に、景色が一瞬で牧場に変わった。
即座に周りを確認する。
視界いっぱいに広がる牧草地。
ゆったりと草を食む牝牛たち。
一見、のどかで、平和そうだが——
さっきまでの津波を思い出し、小さく息を吐いた。
「……どんな理不尽が来るか分からない。油断は禁物だな」
『第二実践試験♡
【愛の乳搾り体験を行ってください♡】』
……来た。
嫌な予感しかしない。
牧草地の中央。
“彼女” は腕を組み、こちらを見下ろしている。
……巨躯の「彼女」に「自分のを自分で乳搾して、クリアしてください」って言ったら即死級のデス(death)になるんだろうな、、、。
かと言って、他の牝牛達の乳搾をしたら、セクハラとか嫉妬とかでまた理不尽な目に合いそうな気がする、、、どうしたものか、、、。
……落ち着け。ここは“体験”が目的であって、実演が必須とは限らない。
俺が牝牛を連れてきて、彼女に搾乳してもらえばいいか?
牝牛たちを観察する。
体格。
導線。
足場。
そして——衛生。
最適解の計算と対応をシミュレーションし、牝牛達の元へ向かう。
すると――
「んモオオオオオオオオオ♡♡♡」
「もおおおおおおおん♡♡♡」
「メエエエエエエ♡♡♡」
ドドドドドドドドドドドド
「!?」
牝牛(ヤギや羊含む)達の群れが一斉に向かってくる。
「またか!一体何の仕様なんだこれは」
巨躯の「彼女」がまた嫉妬に駆られてしまうのかと振り返ると、なんと、
「彼女」の方は雄牛たちが群がっていた。
『同時〔略奪〕イベントが発生しました♡』
意味が分からない。ただのカオスだろこんなの!
「ブオオオオオオオオオオオオ!!」
ドガアアアン ドゴオオン ズダアアン
「・・・・・」
巨躯の「彼女」が雄叫びを上げ、群がる雄牛たちを殴り倒し、俺に迫りくる牝牛達を殴り倒し、排除無双して行く。ゲージが溜まって必殺技が出そうな勢いだ。
……排除無双……。
――――――。
一瞬レオがカットインした。・・・そういえば、レオやリリーは無事なんだろうか。
試験を受けているのは俺だけだから、二人は大丈夫だと思うが。
……リリーは心配だな。早くクリアして合流しよう。
そんなことを考えている時だった。
逃げてきた牝牛達の群れの波に呑まれ、牝牛達の背に乗る形になってしまい、そのまま流される。
この群れの背中から降りたいが、数が数だし、勢いも凄まじいので、背中から落ちれば下敷き即デスになる。
そうこうしているうちに前方に白い靄が見えて、あっという間に突入してしまう。
そして―――
ドボオオン
「!?」
バシャッ
――今度は俺が温泉にカットインしていた。
『隠しルート[温泉]・ボーナスステージ突入ー!♡』
「・・・・・」
迷宮が行かせたがってたのは此処か?……いや、まだ先に得体のしれないルートがある気がする……。
『【湯けむりマナー試験】を開始します♡』
「……」
俺は空を仰いだ。
「これ(迷宮)はいつ終わるんだ……。そして、ボーナスステージなのに試験させるのか……ボーナスの意味、知ってるか?」
せっかくの温泉なら……ゆっくりしたかったな。……服着たままだけど。
現実逃避する暇も無く、湯気の向こうで、
巨躯の「彼女」 の影が、近づいてくる。
ズシンッ ズシンッ
『温泉での適切な距離を保ってください♡』
……視線を巡らせ周りを観察ると、湯船は広い、、、が、
段差(躓き抱き着き)、飛び石(滑らせ一緒にドボン)、鋭利な巨石(?)——
事故りやすい(恋愛フラグ)ポイントが、やたら多い。
(なるほど。ここは“距離感”じゃなくて、“安全管理”だな)
『判定基準♡
・距離♡
・視線♡
・立ち位置♡
・導線♡』
(全部かよ)
湯気の向こうで、影が動いた。
“彼女” が、こちらへ来る。
ドボン、という低い足音。
水面が揺れる。
「……」
俺は、一歩だけ下がった。
『距離:セーフ♡』
(基準、分かりやすい)
だが、次の瞬間——
バシャッ バシャッ
巨躯の「彼女」 が、詰めてきた。
『距離:注意♡』
「…おい」
詰めて来るの、そっちだろ。
反射的に後ろに下がり、距離を空ける。
さらに——
湯気が、ふわりと濃くなる。
視界が、白む。
『視線:警告♡』
「いや、見えてないし、見る気も無い」
俺は視線を、映り込みのない石壁へ固定し、地質学的構造の観察に専念する。
『視線修正:評価アップ♡』
よし。
だが、
「フゴオォッ!…フゴオォッ!…」
バシャッ バシャッ バシャッ
「・・・・・」
バシャッ バシャッ バシャッ
何故詰めてくる!? デス(death)る気満々か!?
「フゴオオオォォォォッ!…」
バシャッ バシャッ バシャッ
来るな、来るんじゃない!
湯気で視界が悪いうちに、水撥ねや足音、布の擦れなどの音を立てないように、静か、かつ、速やかに飛び石を使って移動する。
脱衣所らしき扉を見つけたので、静かに開けて、滑り込む。
『合格デス♡確定ルートニ、突入シマシタ♡♡♡』
「・・・・・」
何が確定されたのか……。
進みたくは無いが、温泉に戻るわけにも行かない。この脱衣所にずっと居るわけにも行かない、、、。
「……ハァ……。とりあえず、服を乾かそう」
ドライヤー的なものが無いかと見渡していると、魔法陣のような模様の床があった。
前にリリーが服を乾かしてくれた時の模様とは違うが、何となく直感で似た感じのものだと思っなので、その床の上に行ってみる。
ふわっ
「……乾いた。良かった」
すると――
ガラッ
「!」
先の扉が勝手に開いた。
「・・・・・」
中を覗いてみると、、、
「! これは……!」
またも古典的なベタ展開。
しかも――!
いかにも最終総仕上げ的なイベントルートだった!
『確定ステージ到達♡ 最終実践試験
【旅館・一夜の添い寝マナー試験】ヲ開始シマス♡』
蓮の、人生で最も長い「一夜」が幕を開けた。
読んでいただき、ありがとうございます!この理不尽な迷宮に、ストレスをかけられまくる主人公(蓮)を、是非応援してあげてください(笑)。主人公(蓮)の今後の行方が気になる方は是非ブックマークを!(笑) みなさまの実践対応も、ぜひコメントで教えてください!




