愛の神殿で、変態従者と愛の試練!?回避の一手は物理(強行突破)に限る
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伝説のナンパ師(神官長)に奥の扉へと案内されたが、
「この扉は、私(神官長)以外は、二人で手を繋いでセンサーに触れないと開かない仕様になっているんだ」
わざわざその仕様にした意味が分からない構造になっていた。
「まあ、ちょっとした愛の試練だね。では、御子様はリリーと手を繋いで――
既に俺の手はレオによって繋がれていた。
「……まったく、レオニダスは手が早い男だな」
呆れ気味に言う伝説のナンパ師(神官長)に、レオが淡々と言い返す。
「御子様の前で語弊を招く言い方は止めていただきたい」
どの口が言った。
「御子様!じっくりしっとり―――」
「断る」
「秒の切り込み~!」
「…………」
はしゃいでいるレオを横目に、リリーが自分の手と、俺の手と俺の顔をチラチラ見ている。やはり男同士で手を繋いでいる光景は嫌悪感があるのだろうか?
しかし、さっきっから振りほどこうとしているのだが、レオの力が強すぎて振りほどけないのだ。逆関節を決めると逆に喜びそうなので、どうしたものか。リリーに俺との手繋ぎを頼むのも申し訳ないし。
「み、御子様、わ、私とも手を―――」
「御子様、見てください! この扉、どうやら『愛の波動』……つまり、私と御子様の熱い愛の抱擁か手繋ぎがないと開かない仕様のようです!!」
ピンク色の扉の前で、頭の中ピンク発言をする変態従者レオが、手を繋いだまま、謎のハイテンションで解説してくる。
「愛の抱擁が必要なら、身も心も開放すべきですね!ならここは一肌脱いで――」
「手繋ぎと言われただろう」
「零度の切れ味~!!」
―――実は合唱団の時からずっと、3人の関係性や立ち位置を静かに観察していたアードニス。
(………まさかレオニダスがこんな風に変わるなんて、想像も出来なかったな……)
リリアと同様、昔からレオニダスを知るアードニスも、これには驚いたようだった。
(……ふふ、変態的発言をしている様だが、御子様が変わらず接してくれるのが嬉しくて反応を楽しんでいるんだろう。…まあ、それもある意味変態なのだろうが……実際は御子様が構ってくれれば何でもいいんだろうな)
幼い頃からレオニダスを見て来たアードニスだったが、こんなに楽しそうにはしゃぐ姿は見たことが無く、むしろ今、こんな感情もちゃんとあったのかと安心したくらいだ。
誰にも心を閉ざし、ずっと孤独だったレオニダス。人からの愛も好意も優しさも一切信用せず、寄せ付けず、この歳になるまで過ごしてきてしまった。故に甘え合い方も、支え合い方も、その感情も思いも、何も知らずに育ってしまった。
アードニス自身も、愛を持って接したが、結果は変わらなかった。
それが今、親に縋るような、兄に甘えるような、友と楽しむような、いろんな感情を見せている。
(……御子様を通して、少しずつ、今まで知らずにいた、いろんな感情や思いが育っていくだろう。……それらが全て御子様に向いてしまうが……御子様は精神性が高いので大丈夫だろう。だからこそ、レオニダスも心を開いたのだろうし……。御子様、大変でも、よろしくお願いいたします。……ウチの愛娘も……。)
「ならば――」
「断る」
「進化していく切り込みの速さ~!!」
変態が暴走する前に、センサーらしき物の前に行き、レオが繋いで離さない手をセンサーに触れさせる。
『認証シマシタ♡ 愛ガ溢レテイマス♡』
カチッ
ふざけた電子音と共にロックが外れた音がした。
愛なんて無いので、繋いでいれば何でもいいのだろう。改めてこの仕様にした意味が分からない。まあ、開いたのだから文句はない。
さっさと進もう。
「……(レオニダスの御子様に対する愛の波動が高すぎてセンサーが最高値を振り切ってロックが外れた!)ガーン…」
「はあぁ~~、私達の愛の波動♡」
そんなものは無い。そしてもう手を離せ。
「あぁっ!御子様に触れられている右手が……燃えるようです!」
「……離してから燃やせ」
ガッ
「?」
扉が開かない。ロックは外れたハズなんだが、、、?
『愛ヲ囁キアッテクダサイ♡』
「………………」
壊していいんじゃないか?こんな扉。
「……ハア…、御子様、貴方様を一目見た時から私は既に心も体もキュンキュと、いろいろなものが溢れだ――!」
変態が変態的発言を囁きだした。
……変態発言も愛の囁きにカウントされるのだろうか。
「そんな自分を必死に律し、理性と自制を働かせ――」
驚いた。こいつにそんなモノが働いていたとは……。
「しかしそんな葛藤が私の更なる渇望へと繋がり……身も心も熱くなり――!」
「脱ごうとするんじゃない」
全然律せていないし、理性も自制も働いていないじゃないか。しかもこれだけ話していてもセンサーが反応しない。やはり変態発言はカウントされないのかと思っていたら―――
『パートナーノ方モ、愛ヲ囁イテクダサイ♡』
まさかの俺のターン……。 何の嫌がらせだ。パートナーとかじゃないし。
「………………」
レオが期待に満ちたキラキラした目で見てくる。いや、囁くわけないだろう。
「……愛は囁くものではないだろう」
テキトーにそれらしいことを言って押し切ろうとしてみる。……言ってて恥ずかしいから早く開けてくれ。
「御子様……なんとご高尚な……」
「……ほう、興味深いね」
「御子様!囁くんじゃなくて、行動で示すということですね!」
「脱ごうとするんじゃない」
くっ、テキトーに言ったことにみんなが反応を返してきてかなり恥ずかしいが、どうだ?これでいけるか?
―――……しーーーん……―――
赤っ恥かいただけの結果で終わった!なんの苦行だ!
『二人ノ、愛ノ温度差ヲ確認。扉ヲ開ケラレマセン』
「ああ、なんだ。それならしょうがないな」
「御子様~!でもそんなクールさも私の心と体に更なるイロイロな刺激を――」
「しかし御子様、それではこの扉の先には行けないよ」
「ああ、じゃあもういいんじゃないか、行かなくても」
もう行かなくていいだろう。
「諦めるの早っ!もう少し頑張って!(御子様の愛の囁き聞いてみたいし!)」
「なら、神官長が扉を開ければいいのでは?」
「いや、最初に手繋ぎで試練を始めたのは御子様だから、御子様に最後までやりきってもらわないと(御子様の愛の囁き聞きたいし!!)」
「………………」
…………仕方ない。本当はこんな事、したくはなかったが…………。
「レオ…………」
「!! はい!! 御子様!!!」
レオが繋いだまま離さないでいる手に、もう片方の手を乗せながら囁く。
「……あの扉、壊せるか?」←キラキラエフェクト付きの凄く良い顔で言ってる(本人は無自覚)
「!! 愛の使命、賜わりました!!御子様の障害になるものは全て破壊します!!」
「御子様!?」
「えっ、ちょっ……」
どごおおおおおおおおんっっっ!!
轟音と共に、重厚な白大理石と回路が組み込まれた「愛の扉」が、紙吹雪のように粉々に吹き飛んだ。
舞い散る石片と回路の光の粒子―――。
無事に扉が開き、中に進めるようになった。レオが扉を壊しに行ったことで、繋がれていたままだった手も自由になり、意味不明な試練を押し付ける迷惑な扉も突破出来て一石二鳥だ。
「二人の愛の試練を、無事に二人で(強行突破して)乗り越えましたね!」
「御子様~~~!!ああ~愛の扉が……愛の威信が……粉々に……修繕費……」
膝から崩れ落ちる元ナンパ師神官長。
「扉の修理は神官長としての愛の試練だな」
「御子様の鬼~~」
「父……神官長……」
「……人の人生に平等にあるもの……それが試練だ」
「さすが崇高な御子様!!震えます!!神官長はナンパでもして寄付をかき集めればよいのでは?」
サイテーか。
でもまあ、神官長はイケオジなので、ナンパなんてしなくても普通に割とすぐ寄付は集まるだろう。しかし、あのセンサーと愛の試練とやらは今後二度と付けないでもらいたい。どうしても付けるのであれば、今度からは代わりに誰かにやってもらおう。
…………しかし、さすがにちょっと……申し訳ないので、修理で何か手伝えることがあったら手伝おう……。
そして、これまでの加害者たちへの事情も話し、後のことを頼んでおく。
「……気を取り直して、さくさく進むか(塩対応)」
しかし扉を通ろうとして、またも面倒ごとの予感がした。
しかも扉の先は強烈な広間だった。
「……音楽の次は、ジャンルの混沌カオスか……ハア……」
読んでいただき、ありがとうございます!この狂った世界で懸命に頑張る主人公(蓮)を、是非応援してあげてください(笑)。主人公(蓮)の今後の行方が気になる方は是非ブックマークを!(笑) 愛のオタク神への報復カウントダウン開始!!3!




