表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VR&RW Online  作者: 田島 康裕
26/60

第26話 一矢の狼煙

 「取り合えず、30本あれば、何とかなるか」


 そう言って、矢筒に装填した。


 お互いに、必要な武器をシェアしながら、序盤の武器集めは、順調に進んでいった。


 「何とか、形になりましたね」


 インカム越しに、久遠が安堵した口調で、前方を警戒しながら、平坦なフィールドに設置された、石造りの住居から、周囲を見渡している。


 「こちらも、詠唱に必要な斎場を、見つけましたよ」


 カナンは、巫女姿をアレンジした姿で、四隅に、攻撃回避の結界を張ると、防御付加の効果のある呪文を唱える。


 その歌声は、普段のカナンよりも、堂々として、それでいて、澄み切った、透明感のある通る声は、聴く者に安心感を与えると同時に、戦意を鼓舞させた。


 「俺の装備も大丈夫だ!何時でも、切り込めるぜ、大将!」


 大盾と、腰に、小剣を携えたロイが、覇気を漲らせて、久遠に指示を仰ぐと、


 「はい、まず、僕が斥候(せっこう)として、前線に出て、相手の出方を見ます。皆さんは、後方で敵の動きを見て、各自の判断で行動して下さい」

 「俺は、すぐ後ろで攻撃が来たら、カバー出来る位置で、スタンバってるぜ!」

 「はい、お願いします」


 そう言うと、二人は、建物から出ると、久遠が、もの凄い勢いで走り出す。


 「……セカンド・アクセル、発動」


 足に、緑色の風を纏った久遠は、相手の攻撃を警戒して、ジグザグに、高速移動しながら突進していく。


 「相変わらず、マックススピードでもないのに速すぎだぜ、ったく」


 重量級のロイは、息を上げながら、必死に後を追っていく。


 最後方の少し前では、シオンが、矢を番えて、最前線の動きを注意深く見据え、何時でも、迎撃が出来る態勢を整えていた。


 試合開始、五分と経たないという早さで、最初の攻撃を仕掛けたのは、ノルンのクランだった。


 シューターのアルテミスが、洋弓に矢を番え、攻撃エリア外から放った一撃は、久遠のいる場所を、優に超えると、後ろにいたシオン目掛けて、一筋の閃光となり、襲い掛かった。


 「え?」


 天性の視覚を持つシオンが、一瞬の光を捉えて、僅かに首を反らした。


 アルテミスが放った矢は、シオンの頬を掠って、後ろにあった構造物に当たると、大爆発を起こす。


 凄まじい轟音が、辺り一帯に響き渡ると、


 「驚きましたね。私の矢に反応するなんて」


 感心したように、アルテミスが、隣にいる、ノルンを見て微笑んだ。


 「ふふ、私は、当たらないと思っていましたよ」

 「どのような根拠で仰っているか、参考までに、聞かせて頂けませんか?」


 首を傾げる、アルテミスにノルンが、


 「彼女の二つ名『(あかつき)千里眼(せんりがん)』、その択一した眼を持ってすれば、如何に、貴女の攻撃でも、躱すことが出来ると、確信していました」

 「緋眼(ひがん)の和弓使い、ですか」


 納得したように、嬉しそうに笑いながら、


 「次は、撃ち抜きます」


 と言って、冷たい氷のような視線を、シオンのいる方向に向けた。


 「頼りにしてますよ」


 ノルンが、宮殿の城壁から、一気に飛び降りると、軽く伸びをして、臨戦態勢に入る。


 背後には、リフレクターのアイギスが後に続く。


 「ノルン殿、待たれよ」

 「何ですか?アイギス」


 大柄の男が、ノルンを引き止めると、


 「オーバースキルを使用するとは少々、大人げないのでは?」

 「そんなことはないですよ、彼らの力量を持ってすれば、この程度」

 「しかし、もし、我らの意図することが……」


 言い掛けたアイギスの口を、そっと、人差し指で押さえて、


 「それ以上は……観戦カメラが、音声を拾う可能性がありますから」


 上空に浮遊している、球体のカメラを見て、ノルンは手を振って、愛嬌タップリにウィンクする。


 「も、申し訳ありません」

 「今は、戦闘に集中を、ヘルメスは?」

 「はい、宮殿の最深部にある斎場にて、動向を監視しております」

 「転移した、最初の場所が宮殿とは、久遠さん達には、申し訳ありませんね」


 舌を出して、小悪魔のような、笑みを浮かべるノルンに、


 「ハンデがあり過ぎるような気がして、止まないのですが、大丈夫でしょうか?」


 武骨な顔をしかめながら、アイギスは、相手を気遣う素振りを見せた。


 「大丈夫です。あの方がいるクランですから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ