第16話 怒髪天を突く
【ニル・ヴァーナについて語れ Part.1000】
1名前:名無しさん@お腹いっぱい。21:16
1コメ、ゲット!更新はぇー、もう新しいスレッド立った!
2名前:名無しさん@お腹いっぱい。21:16
また止まったな。運営、マジクソだわー
3名前:名無しさん@お腹いっぱい。21:16
テトも、大したことないね。俺が替わりに、やったほうが良いんじゃね?元エンジニアの俺、高みの見物w
4名前:名無しさん@お腹いっぱい。21:16
団長のフレイヤって奴、男なんでしょ?眼鏡デブの、オタクっぽい野郎なんじゃねw
5名前:名無しさん@お腹いっぱい。21:16
ブヒブヒ言って、今頃、頭抱えて悶えてるよ、きっとwお前なんざ、このニル・ヴァーナの運営には相応しくないっての。頭の悪い、クズキモヤローが、黙って寝てなw
そのスレッドには、やれ、『換金が出来ねー、これから飲み会なのに、このボケが!」や、『週末の巡回が出来ないんだけど、運営のトップ、マジ死ね!』と、辛辣なコメントが書き込まれている。
楪葉の大きな黒縁眼鏡が、ワナワナと震えていた。
瞳には、明らかに、怒りの色が浮かんでいた。
「ゆ、楪葉ちゃん」
琴音は、明らかに表情が険しくなった楪葉を見て、オドオドとしている。
それとは、対照的に夏希は、楪葉の、次のリアクションを楽しみに待っていた。
すると、ディスクの下に置いてあった、プラスチック製のゴミ箱を、楪葉が、豪快に蹴り飛ばした。
そして、
「ぶち殺すぞ、このウジ虫どもがー!」
けたたましい音とともに、ゴミ箱が、三人のいるフロアから、復旧作業をする、一般フロアまで、ピューッと、アーチ状の綺麗な弧を描き、作業をしていた、男性職員の頭に綺麗に収まった。
男性は、突然、視界が暗くなり、
「え、えぇ?……て、停電か?」
と、慌てた様子だったが、周りの職員は、そのコントのような、一連のアクションに、腹を抱えて笑っていたが、すぐに、
「静かにすれっ!」
楪葉は、インカムの音量を最大にして、フロア一帯に響く、大声で一喝すると、キレた楪葉が、手に負えないことを知っていた職員達は、そそくさと、自分の作業に戻った。
触らぬ神に祟りなしを、見事に実践していた。
まだ、と言うか、さらに、怒りを抑えられない様子の楪葉が、
「ボクだから、この程度ですんでるんじゃ、このボケカスどもが!3コメ、テメーじゃ、貴様なんぞの低スキルじゃ、一秒も持たずに、システム崩壊するわ、このダボがー!」
ハァハァと肩を戦慄かせて、大きな目は、血管が浮き出るほど、楪葉のボルテージは、すでに、限界を突破していた。
その様子を見ていた夏希は、
「ひっさしぶりやな、ここまでキレるんわ」
ウンウンと、満足そうに頷いている夏希を見て、さすがの琴音も、スッと、感情のスイッチが切り替わると、
「いい加減にしろ、夏希」
夏希の首を、グッと引き寄せ、琴音は、ジッと、近距離で視線を合わせた。
「ひぃ……」
何時もの、温厚で、オットリとした表情とは真逆の、恐ろしいまでの冷たい目を見て、夏希は、琴音の逆鱗に触れてしまったことを、瞬時に理解して、
「す、すみませんでした!」
その場で姿勢を正すと、履き物を脱ぎ、土下座を深々とする。
「もう、興が過ぎますよ、夏希」
「あ、ああ、堪忍な」
「楪葉ちゃん、泣きそうですよ」
「え、いや、いくら何でも、そこまでは……」
「う、うう……グスッ」
本当に泣き出した楪葉を見て、夏希は、流石にやり過ぎてしまったと反省し、どうフォローしていいか、真剣に悩んでいた。
(ここは笑わすか、イヤイヤ、それはアカンやろ!かと言って、慰めるっちゅうんは、ウチのキャラに合わんし……どうしたらエエんや、困ったなぁ)
楪葉が、本気で泣いてしまったことに、夏希は、どう慰めようか途方に暮れていた。楪葉は消えそうな声で、
「……ボクだって、ボクだって、頑張ってるんだよぅ。みんなが、楽しく遊べるようにさぁ……」
眼鏡を外して、涙を拭いている楪葉を、琴音が優しく抱きしめると、
「楪葉ちゃんは、一生懸命頑張っていますわ。それは、ここにいる人間、すべてが知っています。ですから、泣かないでください。悲しい顔をしている楪葉ちゃんより、私、笑顔の貴女が、大好きですよ」
そう言って、涙が溜まっていた瞼を、そっと拭うと、笑顔で楪葉を慰める。




