マジックバックの中身・その2~アリアちゃん、変なスキルを得る~
「これは……スキルボックス?」
金や銀、宝石で豪華に装飾された四角い手のひらサイズの箱……私はそれを知っていた。
昔、魔王城の宝物殿で山のように積まれていたのを見たことがある。
当時、それが何か分からなかった私は、父である魔王に質問した。
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「父上~、あの箱はなにですか?」
「あれはな、スキルボックスというもので、今まで倒してきた敵のスキルが封印されているのだ」
「開けてみてもいいですか?」
「いや~、まだアリアは幼いからな。 大人になったら――――。 って何開けようとしてるの!? メッ! アリアちゃん、メッ!」
スキルボックス:
スキルを封印できる箱。
スキルが封印された状態のボックスを開けると、開いた者にスキルが継承される。
Lv1~10まであり、Lvが高いほど貴重なスキルを封印できる。
(※ちなみに、アリアちゃんが持っているボックスはLv10)
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あの時は、まだ幼いという理由で開けさせてもらえなかったけど、私はもう大人だ。
時が来たということだろう。
「とりあえず、開けてみようかしら。 ……どんなスキルが入っているのかな?」
ゆっくりと、ボックスを開いた。
パカッ―――シュッ!
ボックスを開いた瞬間、中から小さな光が飛び出した。
その光は、私の周りを一周ぐるんと回ったあと、胸の中に消えていった。
なにか特別な力を感じる。
まるで、何も見えない暗闇にロウソクの火がぼおっと灯ったような感覚だ。
私の中で、なにかが変わった。
……が、何が変わったのかイマイチ分からない。
「スキルを継承しても、それが何かわからなければ意味がないじゃない……なんでそんなことも分からないのよ、私の父は」
ハァァァ……。 私はため息をついた。
『コンチャス! 初めまして、お嬢!』
「!!」
とつぜん、頭の中に誰とも分からない声が響いた。
若い男の声だが、なんというかチャラい。
……なんだろう、声だけで姿は分からないのに、生理的に受け付けることができない。
『あっしはスキル<観察王>。 敵のステータスを詳細にお伝えするスキルっス!』
「……」
『いや~~、やっぱり箱の外はいいっすねぇ。 実は、20年ほど前に、魔王に「お前、ウザい」ってこのスキルボックスに封印されちゃったんスよ~~』
「……」
『まったく~~、困ったもんすよねぇ。 あっしみたいな優秀な人材、いやスキルを封印するなんてっ!』
「……」
『あっ! もちろん、お嬢のステータスも分かるッスよ!』
「……」
『ん~~~、ズバリ! 身長157.3:バスト72:ウエスト49! まだまだ、成長途中っスね。 ハハッ、なんちって~~』
パカッ―――
ボックスを開いた。
『ちょっ! 冗談ですって! え? ちょっ……アァァァァァァァァァァ!』
パンッ―――
ボックスを閉じた。
「はぁ……ハズレね」
私は、町を目指して歩き出した。
~30分後~
1人って……さびしい。
そういえば、魔王城ではいつもメイドさんや護衛の人たちが周りにいたから一人になるのは初めてだ。
騒がしいのは嫌いなはずなのに、ひとたび静かになると途端にさびしくなる。
ま……まぁ私は、この世界についてまだ何も知らないし、せっかく父が持たせてくれたものだから。
パカッ―――
再び、小さな光が胸の中に入り込む。
『ハァハァ、もう勘弁してくださいよぉ。 冗談ですってぇ~』
ふたたび頭の中で響く、耳障りな声。
たしかに一人じゃなくなるけど。
もう少しどうにかならないだろうか。
「ねぇ……知ってる?」
私の中にいるスキルに、私の顔が見えるかは分からない。
それでも、私は笑顔を作った。
……目は笑ってないけど。
「スキルボックスに封印されたスキル……ボックスが壊されたらどうなるか知ってる?」
『え?』
「答えはね……消えるの。 この世界から抹消されるの」
『……』
「……私の言いたいこと分かる?」
『 yes ma`am !』
「良かったわ、分かってもらえて! とりあえず、私のステータスを教えてちょうだい。 もし、ふざけたら―――」
『了解しました!』
言い終わる前に、頭の中に自分のステータスが表示された。




