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エンシェント・ドラゴンが仲間になった!

ひさしぶりにスキル<観察王>がでてきます!


「……それで、クエストは続けるんですか?」


「当り前よ! 朝飯を食べたからからもうお金ないの。 ここでクエストをやめたら夕食が食べれないわ! なるべく弱気で強くならなさそうな奴を倒すのよ!」 

 

 朝食を食べる前のわたしの残金は20S、朝食で18S。

 →残り2S

 

 2Sじゃ、パンの耳詰め合わせも買うことができない……。


 ※前日の宴で、金のない冒険者はパンの耳を買って冒険に持っていくと聞いていた私は、朝食を食べたあとギルドの購買に立ち寄った。しかし、パンの耳を買うには3S必要で、結局買えませんでした。


 昼飯は……どうにかするわ。


「……強くなるドラゴンを倒した方がみんなのためになると思うんですが……あっ! いました!」


 勇敢なエンシェント・ドラゴンを見逃して洞窟を進むこと5分。

 再びドラゴンと遭遇した。

 

 今度のドラゴンはのんきに洞窟の真ん中で寝ていたが、わたしたちの気配に気づいて起きてしまい洞窟の奥へと逃げていった。  


 逃げるという事は、勇敢なドラゴンじゃないわね。

 こいつなら倒しても問題ないわ!


「ローゼ! 挟み撃ちするわよ!」


「ど……どうやって挟み撃ちするんですか!? すごい速さで逃げていきましたよ!」


「転移<テレポート>」


 ヒュンッ――――


「ピ、ピエ!?」


 わたしは<テレポート>で先回りをし、ドラゴンの前に回り込んだ。

 ドラゴンは一瞬驚いたが、すぐに方向転換をしてわたしから逃げた。


 なかなかの判断力ね!

 けれど、そっちにはローゼがいるわ!


「逃がしません!」

 

 ローゼは剣を構え、ドラゴンを逃がすまいと威嚇した。

 じりじりと逃げ場をなくしていく。

 

「まずは一匹目ね! 覚悟しなさい!」


 絶体絶命のエンシェント・ドラゴン。

 何の力もないエンシェント・ドラゴンは、最後の手段に出た。


「ぴ、ぴぃぃぃぃぃぃ」

―――――うるうる(泣


 秘儀・泣き落とし


「な、なによその目は! しょ、しょうがないのよ! わたしだって生活が懸かっているのよ!」


 悲しそうな目で私を見つめるエンシェント・ドラゴン。

 

 や、やめて!

 そんな目でわたしを見ないで!

 あなたを倒さないと報酬が貰えないのよ!


 わたしは心を鬼にして、ドラゴンに手のひらを向ける。

 魔法を打つためだ。


 ……。


 ……。


 ……。


 ダメだ倒せないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!


「あ、アリアさん! この世界は残酷なんです! いくら可哀そうでも倒さなくちゃいけないんです!」


「そんなに言うんだったらローゼが倒してよ! わたしにはできない!」


「わ、分かりました―――――え? そ、そんな目で僕を……ダメです、僕にもできません!」


 見事にエンシェント・ドラゴンの術中にはまる、わたしとローゼ。

 そのとき、わたしの頭の中でスキル<観察王>の声が響いた。


『倒せないんだったら、このドラゴンの体、あっしが貰ってもいいっスか?』


 うおっ!

 ひさしぶりにこの声を聞いたわね。

 どうしたのよ、いきなり?


 スキル<観察王>にはわたしの心の声が聞こえるので、人のいるところでは声に出さないように念じて会話をしている。


『アリアさん、あっしの声が頭に響くのうるさいって言っていたんで、このドラゴンに乗り移れればなと』


 そんなことができるの?

 確かに、わたしの頭の中から出て行ってくれるのはうれしいわね。

 魔王にスキルボックス渡しちゃったからどうしようかと困っていたのよ。


「アリアさん、いきなり無言になってなにかあったんですか?」


 ローゼが心配そうにしている。

 

「まぁ、わたしにもいろいろあるのよ」


 それで、わたしはどうすればいいの?


『このドラゴンに乗り移る許可さえもらえれば、勝手に乗り移りますッス』

 

 そう、じゃあ乗り移ることを許可するわ。


『ありがとうございます……グヘヘ』


 スキル<観察王>は、わたしの胸から小さな光となって飛び出し、ドラゴンの中へと入っていった。

 

「な、なんですか? いまの光は?」


「まぁまぁ、見てなさい」


 フフッ……きっとローゼは驚くでしょうね。

 エンシェント・ドラゴンがいきなりしゃべりだして仲間になるんだもの。

 さぁ! スキル<観察王>よ、エンシェント・ドラゴンの体を乗っ取りなさい!


「ピィィィィィィ――――フフフッ、バカなことをしたなメスガキ。 この俺を自由の身にするなんて』


 シュバッ!


「え?」


――――――――スキル<観察王>の入ったドラゴンは、逃げ出した。


『ついに我は自由の身となった! このドラゴンの体と我の魔力が合わされば、世界征服も夢ではない! フハハハハハハハッ!』


 自由の身になった<観察王>は、調子に乗った発言をしながら洞窟の出口へと駆けていく。

 

 ていうか、しゃべり方かわってない?

 なんかムカつくわね。

 はぁ……お仕置きが必要だわ。


「転移<テレポート>」


『フハハハハハッ! ばぁ~~かばぁ~~か、我を捕まえれるもんなら捕まえて――――ゴフッ!』


 わたしはさっきと同じように<テレポート>で先回りをして、ドラゴンの首を掴んだ。

 ドラゴンは暴れまわるが……絶対に離さない。


「……なぜかしら? いまならエンシェント・ドラゴン討伐を達成できそうだわ」


『……冗談っすよ、アリアさ~ん』


――――こうして、エンシェント・ドラゴンが仲間になりました。

 








「ほら、ローゼにあいさつしなさい。 エンちゃん」


 ※エンシェント・ドラゴン → エンちゃん


『これからお世話になるエンちゃんっす! ローゼのアニキ、よろしくお願いしますッス!』


「……こちらこそ」

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