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アリアちゃんと、謎の依頼主


「エンシェント・ドラゴンを討伐しに行ったのに、なんでそのエンシェント・ドラゴンを連れてきているんですか!?」


 受付嬢のカタリナが、エンちゃんを見ながらツッコミを入れた。

 

 結局あのあと、一匹も狩れなかったわたしたちは洞窟の外で野宿をして、次の日に町への帰路に着いた。

 ローゼはずっと歩いて疲れてそうだったので、ギルドへのクエスト失敗報告はわたしだけで行くことにしました。


 ちなみに、食料をまったく用意していなかったわたしは、ちょうど、ファング・ラビットが襲ってきたのでそいつらを食べました。

 今回は、ローゼが調味料を持っていたのでおいしく頂くことができました。


「へイッ! 金髪のネーチャンこれからよろしくッス!」


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? しゃべったぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 突然、あいさつをするエンちゃん。

 おどろくカタリナ嬢。

 

「クエストは失敗したけど、しゃべるエンシェント・ドラゴンを仲間にするっていう偉業を成し遂げたわ! どう? すごいでしょ? ……少しくらい報酬くれてもいいのよ?」


 クエストを失敗したから報酬を貰えない。

 このままじゃ、ご飯も食べれないし集会浴場にも入れない。


 ちょっとだけでいいから報酬を……。


「……クエスト報酬は1Sもあげれませんけどたしかにすごいですね」


「あ、やっぱり報酬は貰えないのね……」


「すみません……あっ、でもそのエンちゃん?をギルドに譲ってくれたらアイテム報酬をお渡ししますよっ!」


 エンちゃん → アイテム


「ホント!?」


「はいっ! しゃべるエンシェント・ドラゴンなんて聞いたことないので、かなりの額で買い取らさせていただきます!」


「ちょっ! アリアさん、なに目をキラキラ輝かせてるんスか!? あっしを売る気ッスか!?」


 わたしの足元でピーピー騒ぎ立てるエンちゃん。

 

 う~~~~ん。

 いちおう、今まで共に旅してきた仲間だからなぁ。

 仲間を売るなんて冒険者のすることじゃないし。


「ごめんなさい……エンちゃんは売ることができないわ。 ペットとして飼うってもう決めたの」


「あ、アリアさん……ありがとうございますッス」


「そうですか、分かりました」


「代わりになにか、すぐにお金が手に入るクエストはない? ……お金が1Sしかないの」


「そうですね……ではスライムの体液集めなんてどうです? 町を出ればすぐにスライムと遭遇できますし、報酬もスライム相手にしては高額ですよっ」


 カタリナ嬢はそう言うと、1枚の紙をカウンターの下から出した。



=====================================


 ~スライムの討伐~


 クエストの種類:依頼採集クエスト


 クエスト達成方法:スライムの体液5Lの納品


 クエスト達成報酬:5G


 依頼主:売春宿の店主


=====================================



 たしかにスライム討伐にしては破格の報酬だけど……。

 依頼主が、売春宿の店主って……。

 スライムの体液をいったい何に使うのよ……。


「……他にいいクエストはないの?」


「そうですね、これなんてどうです?」



=====================================


 ~ホット・キャロットの採集~


 クエストの種類:依頼採集クエスト


 クエスト達成方法:ホット・キャロット10本の納品


 クエスト達成報酬:4G


 依頼主:売春宿の店主


=====================================



 へぇ、初めて聞く野菜ね。

 ホット・キャロットって言うぐらいだから熱を発する人参でしょうね。

 報酬もなかなか……。


 って、また売春宿の店主かい!

 だから何に使うのよ!


「……他のクエストを」


「これもダメですか!? じゃあ、これなんてどうです?」



=====================================


 ~ゴブリンの捕獲~


 クエストの種類:依頼捕獲クエスト


 クエスト達成方法:ゴブリン1匹の捕獲


 クエスト達成報酬:6G


 依頼主:売春宿の店主


=====================================



 お前はいったい何者なの!? 店主よ!

 なんか……疲れたわ。   


「……もう、これでいいわ」




 こうして、ゴブリンの捕獲を引き受けたわたしは単身でゴブリンの集落に乗り込み、ゴブリンを一匹残らず捕獲したのであった……。


 クエスト報酬:6G

 

 アイテム報酬:ゴブリン14匹 → 42G






 

 ゴブリンをギルドに引き渡したあと、わたしは48Gという大金を持ってローゼの借り部屋に向かった。

 エンちゃんはわたしの隣を歩いている。


 フフフ……こんな大金を見たらおどろくかしら?

 そういえば、パーティー結成のお祝いをまだしてなかったわ。

 今日はローゼにご飯を奢ってあげよう!


「ローゼ! 大金が手に入ったわよ!」 


 バンッ!


 足音を立てないように魔法で浮遊しながら、静かにドアの前までいき、思いっきりドアを開けた。

 ローゼは剣の手入れをしていた。


「うわっ、ビックリした!? あれ、クエストは失敗したはずじゃ…?」


「フフフ……今さっき、わたし1人でゴブリンの集落を壊滅させてきたの」


 わたしは、大金の入った袋を見せながらピースをした。

 

「ほ、ホントですか!?」


「今日の夕食はわたしが奢ってあげるわ! さぁ、ギルドの酒場に行きましょ!」


「あ、ありがとうございます……」


 ローゼはなんだかうれしくなさそうだ。

 どうしたんだろう……?


「どうしたの?」


「……僕、アリアさんに頼ってばかりだなと思って」


 ……なるほどね。

 わたしたちはパーティーなんだからそんなの気にしなくていいのに。


「……明日また一緒に冒険に行きましょ、ローゼ。 頼りにしてるわ」


「は、はい!」


 ローゼは嬉しそうに返事をし――――――


「あっしも頼りにしてもらっていいっスよ!」


 ……空気を読んでくれない? エンちゃん。

 

「あなたには、『おとり役』っていう重大な仕事があるから安心しなさい」


「ひどいッス!」


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