ローゼくんと、男性冒険者たち
ローゼくん視点です!
「わ~~~~~~~い、わ~~~~~~い!」
壁の向こう、つまりは女湯のほうからアリアさんの楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
そういえば、管理人さんが女湯には誰もいないとか、アリアさんに話していたっけ?
男湯には……めっちゃ男性冒険者がいますけど。
どの男性冒険者も、さっきの宴で見た顔だ。
「あ~~~、やっぱり1日の締めくくりに集会浴場は欠かせねぇな!」
「冒険の疲れがきれいさっぱり流れるぜ!」
「まぁ、今日はただスライムに食べられただけだがな!」
男湯もけっこう賑やかだけれど、冒険者になったばかりの僕には話し相手がおらず、端っこの方で小さくなっていた。
僕も会話に入りたいなぁ……。
「おい、女湯の方から聞き覚えのある笑い声がしねぇか?」
「おう、たしかに」
「この声ってアリアちゃんじゃね?」
「か、かわいいブヒ~~~」
アリアさんは、冒険者1日目にしてすでに男性冒険者たちの注目の的となっていた。
僕と違ってアリアさんは陽気で誰とでも気兼ねなく話すことができるし、エルフの血を引いているからどこか人間離れした美しさがある。
人気者にならないわけがない……僕なんかがアリアさんのパーティーメンバーでいいのだろうか?
「……この壁の向こうにアリアちゃんが」
「おいおい、お前何考えてるんだよ。 アリアちゃんはまだまだ小さい女の子だぜ」
「……そんなの関係ねぇ! 俺は行く!」
「バカ言ってんじゃねぇよ、俺も行くに決まってんだろ!」
「み、見たいブヒ~~~」
男性冒険者たちは、覗きをするために壁のほうへ向かった。
僕以外の全男性冒険者が……だ。
だ、ダメだこの冒険者たち!
倫理観のかけらもない!
「ちょっ! 何やってんですか!?」
このままじゃ、アリアさんが変態冒険者たちの餌食になってしまう!
守らないと! アリアさんは僕が守るんだ!
「おいおい、しらけること言ってくれるなよぉ~~。 こういうのは団結って言うか連係プレーって言うか、そういうのが大事だろぉ~~」
「にいちゃん、本当に冒険者かぁ? お宝がこの壁の向こうにあるんだぞ、そんなの行くしかねぇじゃねえか! オラ、ワクワクすっぞ!」
「なにアホなこと言ってるんですか!?」
「ん? にいちゃん確か、アリアちゃんとパーティー組んでたよな?」
「なるほど……アリアちゃんは俺の宝物だって言いたいのか?」
「そ、そういう事じゃないですけど……な、仲間を守るのは当然じゃないですか!」
「おいおい、熱いじゃねぇかにいちゃん! 気に入ったぜ! おい、お前ら! バカなことは終いだ! このにいちゃんの手助けをしてやろうぜ!」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
え!? 手助け!?
そんなものいらないですよ!
な、なんか嫌な予感しかしないんですけど……
男性冒険者たちはニタニタしながらこちらに向かってくる。 コワイ。
僕は後ずさんだ。
「にいちゃん、準備はいいか!?」
僕は両腕をガッチリと掴まれた。
だ、だめだ逃げることができない!
「な、なんの準備ですか!?」
「「「せぇぇぇぇぇぇぇぇのっ!」」」
ポ―――――――――ンッ
この感覚、なんだか昼間にも感じた気がする。
あ、そうだった。
これは空を飛ぶ感覚だ……。
――――男性冒険者たちは、僕を女湯めがけて放り投げた。
「何やってんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
本日二度目のフライング。
今度の狙いはキングスライムではなく……アリアさんだった。




