アリアちゃんとローゼ君の連係プレー
わたしたちは、酒でフラフラになった足を必死に動かし城壁の外へと向かった。
どうやら数人の冒険者たちがキングスライムの進行を食い止めようとしているようだ。
しかし、相手は50メートル級のキングスライム。
スライムの弱点である魔核石への攻撃も、厚い半透膜と体液で困難となっている。
倒すには、魔核石に届くまでの刺突攻撃か、火属性上級魔法で半透膜の大部分を破壊するしかないらしい。
魔王の言っていた最上位冒険者はちょうど今、辺境の最難関ダンジョンに遠征中でキングスライムを倒せるものは……私しかいないじゃない!
ヤッタァァァァァァァァ!
ちなみに、今の話はさっき聞いた話の受け売りよっ!
そういえば、この町「プリストル」に来る前に見たスライムの中にも小さな石があったわね。
「キングスライムが見えてきたぞ! 進めぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
「「お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」
ムキムキのオッサン冒険者が雄叫びをあげ、それに答えるかのように他の冒険者も雄叫びをあげる。
わたしとローゼは、少し出遅れ協調性を乱した……。
町の城壁から約900メートル向こうに見える、紫色のポヨポヨ。
50メートル級キングスライムだ!
5人の冒険者が応戦しているが、キングスライムの体内にはすでに10人ほど収納されて絶賛消化中だった。
って、早く助けないと!
――――あっ……その5人もちょうど今、飲み込まれた。
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」
スライムを目指し、草原を駆け抜ける冒険者たち。
戦いの始まりだ!
その時!
ボイ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ンッ!――――――――――――
突然、スライムは空高く飛び跳ねた!
50メートルの巨体とは思えないほど舞い上がるスライム。
冒険者たちを照らす太陽の光が、透明な体液によっていい感じに遮られる。
スライムを通して見る光は美しかった……。
「って、そんなこと思っている場合じゃない! ローゼ!」
「アリアさん!?」
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ボボボボボッ!」」」
わたしはローゼを抱きかかえ、ギリギリのところでスライムの攻撃を回避した。
しかし、わたしたち以外の冒険者は全員、半透膜の中にとじ込まれてしまった……。
「あっけなさすぎないっ!? 冒険者軍ザコすぎでしょ!」
スライムの中にとじ込まれた冒険者たちは、スライムの体液を肺の中に取り込んでしまい、もだえ苦しんでいる。
めっちゃボボボボ言っている。
「助けてくれてありがとうございます、アリアさん」
「気にしなくていいわ。 パーティーは助け合いが基本なのよ」
ローゼだけは助けることができたけれど、これからわたしはどうすればいいの?
わたしなら、そこら辺に転がっている石をぶん投げれば、スライムの魔核石をぶっ壊せる。
わたしなら、下級魔法の火球<ファイヤー・ボール>でもスライムを爆炎で包み込むことができる。
だけどそんなの……そんなの冒険じゃない!
私の目指す真の冒険者は、仲間とともに知恵と勇気で困難を乗り越える存在なの!
なにか……なにかいい方法はないのかしら?
……ハッ!
「そういえば、『冒険の書』に書いてあったわ!」
「こ、こんな非常時に何を言っているんですか!?」
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『冒険の書』~熟練冒険者の教え~
カキ―――ンッ!
「クッ……鱗が硬くて攻撃が効かない!」
ミスリル級の硬い鱗をもつアーマーリザードに、俺の剣はやすやすと弾かれた。
切りつけた鱗には傷1つ付いていないばかりか、こちらの剣が刃こぼれする。
「カイトどいてっ! 獄炎の牢獄<バーニング・プリズン>!」
俺は、ネイの魔法の巻き添えにならないようとっさに後ろへ下がった。
ネイの新魔法<バーニング・プリズン>がアーマーリザードを包む。
たとえ、鉄壁の鎧を身に着けていようとこれなら――――――
ギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!
「なに!?」
大気を切り裂くほどの咆哮。
アーマーリザードを包んでいた大炎は、咆哮1つであっけなくかき消されてしまった。
(略)
俺たちは間違っていた……。
俺たちの実力ではまだヴォルテール火山地帯は早すぎたのだ。
「もうダメか……」
諦めかけたその時―――――
ヒュンッ―――――ドスッ!
ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!
背後から光り輝く大槍が放たれ、あの硬い鱗を持ったアーマーリザードを貫いたのだ。
「なっ!?」
「お前さんたち、ホントに冒険者か?」
振り向くとそこには、屈強な肉体を持った1人の男と、魔法使いらしき女性がいた。
(略)
「強敵相手に力を分散して戦うなど愚の骨頂。 ああいう硬ぇモンスターはエンチャントをかけた武器で一思いにぶった切るのが1番いい。 まぁ、俺の場合はぶっ貫くだけどな!」
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これだわ!
強敵相手には、魔法使いが剣士の支援を。
ローゼの剣に魔法使いのわたしがエンチャントをかけて一思いにぶった切らせてあげるのが1番よ!
「ローゼ! 剣を出して!」
「えぇっ! まだ僕、剣を持っていません!」
「えぇっ! あなた何しに来たのよ!?」
武器を持たずに戦場に駆け付けるローゼ。
冒険者になったばかりだからしょうがないけど……いや、しょうがなくないわよ!
「しょうがないわね……生成・鉄剣<フォーム・オブ・アイアンソード>」
わたしは、魔力を物質に変換してアイアンソードを作った。
ちなみに上級魔法である。
「アリアさんヤバイです! キングスライムが身を縮めて飛び跳ねる準備をしています!」
「能力付加・破貫<エンチャント・ランス>……よし、この剣を持ってちょうだい」
「ちょっと、話聞いて――――え!? なんで剣を持ってるんですか!?」
「はやく、スライムが飛び跳ねちゃうわよ!」
「は、はい!」
言われるがままに、ローゼは剣を受け取る。
これから何が起こるか分かっていないローゼはあたふたしている。
「こんな剣でいったい僕にどうしろというんですか!?」
ボイ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ンッ!――――――――――――
スライムが飛び跳ねた。
狙いはもちろん、わたしたち。
「もうダメですぅぅぅぅぅ!」
「よし! 行ってきなさい!」
わたしはローゼの襟をつかみ――――――――
「え?」
スライムに向かって思いっきり投げた。
「エェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!?」
「強敵相手に力を分散して戦うなど愚の骨頂ね! ああいうでかいモンスターはエンチャントをかけた武器で一思いにぶった切るのが1番いいのよ! まぁ、ローゼの場合はぶっ貫くだけどね!」




