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異世界でも保育士やってます~転生先に希望条件が反映されてないんですが!?~  作者: こじまき


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40 幸せなほっぺ

レオくんと手をつなぎ、「いっぱい勉強したらお腹が空くよねぇ」「今日のご飯は何かな?」と話しながらダイニングへ向かう。そのうしろからテオくんがついてくる。


ダイニングに着いたら、別で授業を受けていたクリスタちゃんは、先に着席していた。


「遅ーい!もうクリスタお腹ペコペコだよぉ」

「ごめんね、お待たせしました。クリスタちゃんは今日は何を勉強したの?」

「字の書き方!でもサティと書いたことある字ばっかりだったから、簡単だったよ!お母様も褒めてくれたの、ほら!」


クリスタちゃんが差し出したプリントには、「とってもとってもお上手よ!さすが私のクリスタだわ!!」とベルント伯爵夫人のコメントとキスマークがついていた。ベルント伯爵夫人はクリスタちゃんがいない生活に耐えられず、通いで彼女の家庭教師になったのだ。その行動力には感服するしかない。


そしてベルント伯爵夫人がクリスタちゃんの授業をほとんど受け持ってくれることになったため、クリスタちゃんについては、家庭教師によるトラウマ発生を心配する必要はなくなった。ありがたし。


「お母様に教えてもらうようになって、前よりもっと上手になったみたい」

「クリスタもそう思う!」


得意げに目を輝かせるクリスタちゃんは、たまらん可愛い。クリスタちゃんと離れるのが辛いベルント伯爵夫人の気持ちは、私にもよくわかる。


「テオくんの剣術や馬術の授業が始まったら、きっとテオくんを激愛しているベルント伯爵も出張ってくるのだろうな」と思う。


カウベルフェルトの朽ち果てた教会で、二人きりで飢えて震えていた子どもたちが、こんなにも愛されている。伯爵夫妻には本当に感謝だ。


と、床にある黒い塊にぶつかりそうになって、「おっと」と私は足を引いた。


「ごめん、クロ」


「どこに目ぇつけてんだよ」というような目で、クロは私を睨む。私も一応飼い主だと思うんだけど、どう考えても序列が低い。「ごめんってば」ともう一度謝ると、クロは「ふん」とお昼ご飯に向き直った。


栄養たっぷりのご飯をたらふく食べているせいか、クロはどんどん大きくなっている。もうすぐドアから出入りできなくなりそうだから、室内飼育を卒業しなくちゃいけない。


ちなみに王城の人達は、テオくんにくっついてきたクロを見ても、「ドラゴンか、人に懐くのは珍しいなぁ」「最近あまり見かけないよな?」と言いながらも、それほど驚いた様子ではなかった。


その反応から、この世界におけるドラゴンは、「実際周りにはあんまりいないけど、いても驚きはしないくらいの苗字の人」レベルの珍しさなのだとわかる。昔は王城でドラゴンを飼っていたこともあるらしく、クロが食べていいものと悪いものの判断もお任せできるので、とてもありがたい。


「さて」


本日の給食…じゃない昼食は、パン、ハンバーグ、キャベツとリンゴのサラダ、コーン入りポテトサラダ、野菜とベーコンのスープ、ブルーベリーパイ。豪華。


「いただきます」

「いただきまーす」


この世界の人にとっては謎でしかないだろう食前の挨拶も、もうすっかりお馴染み。そしてハンバーグ、キャベツとリンゴのサラダ、コーン入りポテトサラダは、小屋でも食べていた前世の勤務先の給食再現メニューだ。


「うん、美味しい」

「美味しいね!」


王城に来たとき、レオくんはびっくりするくらい痩せていた。


食事にも問題があるんじゃないかと思って見せてもらったら、メニュー自体の栄養バランスはばっちりだった。だけどレオくんの嫌いな「野菜そのものの味がする料理」が多くて、お肉やお魚も「どや!肉やで!魚やで!」という感じでどーんと出るものばかり。大人にとってはよだれが出そうな豪華なお食事とはいえ、もともと食の細いレオくんにはプレッシャーになっていたらしい。


レオくんが料理を残しまくるせいでクビ寸前だった料理長ヨハンさんは、「子どもの味覚は大人の味覚とは違う」「コーンやりんごなど、甘い食材を混ぜてみて」「マヨネーズが万能」「お肉やお魚は食べやすい大きさにするか、できるだけ柔らかく」という私のアドバイスを、疑い半分ながらも受け入れてくれた。


実際にレオくんがアドバイス通りのメニューをぺろりと完食するものだから、今では私のことを「師匠」なんて呼んでくれて、新しいメニューを考えるときには意見を求めてくれるまでになっている。


ちなみにヨハンさんに教えた手作りマヨネーズは子どもだけではなくアロイスさん含む大人にも好評で、「一度使ったら止められない、悪魔の調味料」というキャッチコピーで一般販売を開始するらしい。


「うどんの作り方も時間のあるときに教えてほしい」と言われていてるから、うどんもいつか「だしにもミートソースにもカルボナーラにも合ってしまう、悪魔の麺」として発売されるかもしれない。


再会したときよりも明らかにふっくらしたレオくんのほっぺ。元気のバロメーターと呼んで差し支えない。私は手を伸ばして彼の柔らかいほっぺに触れた。


「サティ、なに?」

「可愛くて」


レオくんのほっぺを元に戻せたことだけでも、私がここに来た意義はあったように思える。


「今日も美味しかったね」

「うん!」

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでしたー」

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