平原ギルドと第一ギルドへの対応 << フェアリー 20 >>
大都市ライツと小都市シエラが、新世界ギルドグループに奪還された。
なおかつ、王立騎士団に協力的だった西の強国ギルドが、新世界ギルドと和平を結んだという情報が流れた。
王立騎士団はあと一つの都市を獲得することで、新世界ギルドを壊滅させ、ロマール王国の統一が見えていた。
それが今や次々に都市を奪還され、完全に勢いを失っている。
商人ギルドが奪った、大都市ミダースにも新世界ギルドが奪還の宣戦布告をした。
ここで更に、王立騎士団にとって、厳しいニュースが飛び込んできた。
王立騎士団の本拠地である小都市スアンが、平原ギルドによって宣戦布告されたのです。
これを奪われた王立騎士団は終わるぞ!という声が、ギルドチャットだけでなく、連合軍チャットにも書き込まれた。
セルバート王はこの状況に対して、何も書き込みをしない。
ログインしていないわけじゃない。
ギルドメンバーのログイン状況は、王立騎士団の場合は上位者のものは見れない権限設定になっているの。
でも私は友人申請して許可されているので、友人一覧で見るとログイン状況がわかるのです。
どうしたんだろう。
姿隠しの魔法の施行をすっぽかしてしまった私が言うのもなんだけど、この状況で何もしないのはまずいと思う。
マイネもこの状況を危惧してる。
そして王立騎士団の企みから目をそらさずに抗議の声を上げたギルドがあった。
勢力第三位ギルドの、第一ギルドです。
リーダーのファンリーは、新世界ギルドの次に自分たちが攻撃を受けることを察知して、平原ギルドをそそのかして、小都市スアンに宣戦布告させたのだと思う。
きっと第一ギルド内でも、侃々諤々(かんかんがくがく)の意見は出ていたと思う。
王立騎士団には軍事支援も受けたことがあったし、友好関係にあったから、敵対的なことをすることには反対意見もあったはず。
でも、王国規則に反して都市持ちギルドを攻撃した王立騎士団が、第一ギルドを攻撃するのは時間の問題だとは、誰もが気づいたはず。
ただ気づいていても、自分たちだけは大丈夫という甘い気持ちもあったと思う。
リスクを犯してまで王立騎士団のやり方に異議を唱えることが正しいのか。
ファンリーだって人間です。
恐怖と逡巡はあったと思う。
それを最大限緩和した形が、今回の平原ギルド支援と、王国政権の輪番制の要求なんだと思う。
そしてこれは、王立騎士団グループにとって、危険を伴う事態よ。
ロマール王国のこの戦争前の都市勢力を見ると、
王立騎士団グループ:27000人
王立騎士団:王都1(兵力8000人)、大都市2(兵力4000人×2)、小都市小都市1(兵力1000人)=17000人
商人ギルド:大都市1(兵力4000人)、小都市1(兵力2000人)=6000人
懲罰ギルド:小都市2(兵力2000人×2)=4000人
新世界ギルドグループ:14000人
新世界ギルド:大都市2(兵力4000人×2)、小都市(2000人×2)=12000人
山賊ギルド:小都市1(兵力2000人)=2000人
第一ギルドグループ:8000人
第一ギルド:大都市1(兵力4000人)、小都市1(兵力2000人)=6000人
アルプスギルド:小都市1(兵力2000人)=2000人
現在攻撃を受けている大都市ミダースを商人ギルドが守りきれたとしても、輪番制で王都を失い、本拠地の小都市スアンを失い、新世界ギルドと第一ギルドが手を結んだとしたら、都市勢力に関しては、私たちの勢力は相手勢力より劣る。
実際には各プレイヤーの町の力は、王立騎士団は他のギルドメンバーを圧倒するので、一概に都市勢力だけでギルドの強さを判断することは出来ないけど、それにしても危険な状態に陥っていることは間違いない。
どうするの、これ?
私はセルバート王に個人チャットするか悩んだ。
彼はログインしている。
何か手伝えることはないか、私は彼に声をかけようと思ったけど、何かがそれを押し留めた。
私は彼にそこまでしてはいけない。
そんな気がしたのです。
今の私には、全力で助けたい人がいる。
そんな気がしたのです。
私はそっとゲームをログアウトし、スマホを節電しました。
節電したそのすぐ後に、スマホはメッセージを受信しました。
ギルド公告が発行されました。
発行者:セルバート王
私はそれだけ確認して、スマホを閉じることにした。
ギルド公告が発行されました。
発行者:セルバート王
ギルドメンバーのみんな。
平原ギルドの後ろに隠れて、恐怖に震えながら、正義を振りかざした男がいる。
第一ギルドのファンリーだ。
思い出してほしい。
皆さんが初めてこのゲームで他のプレイヤーに戦争を仕掛けた時のことを。
怖くなかったか?
行軍ボタンを押した瞬間、世界が変わっただろう。
私も同様だし、ファンリーも同様だ。
彼も震えている。
今まで、軍事支援まで受けてきたのに、裏切り、そして敵対することを決めたのだからな。
私たちは怒りの中にいて、彼は恐怖の中にいる。
彼はこの王国において最適なタイミングで、平原ギルドをけしかけて宣戦布告させた。
だが、彼は気づいていない。
彼は、彼の仲間を死地に追いやる危険を犯したことを。
私はリゼア王国のモラルード王に、先ほど確認した。
戦況は芳しくないが、私たちの同盟は継続されるのかどうかを。
答えはYESだ。
リゼア王国にとって最大の敵はガルナス王国であり、私たちとの同盟の有効性を忘れたりはしないと言ってくれた。
そして皆さんは、リゼア王国に、第一ギルドの同胞ギルドがあることをご存知だろうか。
第5位のギルド・一番星ギルドがそれだ。
私たちと敵対するということは、リゼア王国において、この一番星ギルドがリゼア王国政権と敵対関係になることを意味する。
みなさんがご存知かわからないが、リゼア王国は第1位から第4位のギルドは、王国政権グループのギルドだ。
第5位のギルドが、どれだけ弱くて心細ない立場にあるか、考えればわかることだろう。
ファンリーはこの一番星ギルドのメンバーの立場を考えて、我々に敵対することを決めたと思うか?
きっとスパイがこのメッセージを見て、初めて気づくことだろう。
状況は流動的だ。
何も確定していない。
我々はロマール王国政権であり、王立騎士団グループの絆は強固だ。
まずは状況を見よう。
大都市ミダースは、商人ギルドが守っている。
小都市スアンの隣には、我々のギルド拠点があり、総力戦になれば間違いなく平原ギルドは死ぬ。
第一ギルドにとって、平原ギルドは捨て駒だからな。
皆さんは平原ギルドが怖いか?
リーダーのルーデルは戦死し、後継者はルーデルジュニアだ。
このネーミングセンスには驚くしかない。
伏せ字にならないのが不思議なくらいだ。
もし神や悪魔の名前が、下ネタに出てくるような名前だったら、私たちが畏怖することはないだろう。
彼の息子は縮こまって、今も援軍の到来を祈っているだろう。
私は失笑し、大丈夫そうねと、スマホの電源を落とした。




