反撃 << マイノス 37 >>
敵が、王立騎士団が退いていく。
私たちは、新世界ギルド最後の砦となる小都市ポプラへの王立騎士団の侵攻を防いだ。
この戦いに負けていたら、新世界ギルドと同盟を組む私たちビッグレイクギルドは、新世界ギルドと共に滅亡しただろう。
そしてそれは、山賊ギルドも同じだったかも知れない。
王立騎士団の侵攻を防いで不可侵条約を結んでいたとしても、それは王立騎士団の本意ではなく、可能ならば滅ぼしたいという本音はあっただろうからな。
私は連合軍チャットに、奪われた都市の奪還にすぐに動くことを提案した。
マールの部隊がシンシアの部隊の落とし穴にハマり壊滅してしまうという、大きな損害があった。
だがそれまでの戦闘をマールの部隊がほとんどこなしていたということもあり、まだ私たちの部隊は戦うことが出来た。
新世界ギルドは籠城戦だったので、まだ兵力は残っている。
山賊ギルドも新世界ギルドと挟撃していたので、大きな損害はなかった。
新世界ギルドはリーダーのチャードンが不在だったが、サブリーダーのグリーンが都市の速やかな奪還に動くかどうかをギルドチャットに聞くと、誰もがその方針に賛同したようだった。
兵力としては新世界ギルド7000人(今までの戦いに参戦していなかった領主も加わったようだ)、ビッグレイクギルド1900人、山賊ギルド2500人が、大都市ライツへと進軍を始めた。
今回の戦いで、宣戦布告された都市には、ワープホールの作成と兵力移動が出来ないということがわかっていたので、グロームがすぐに魔法都市ライツに宣戦布告した。
王立騎士団は退却先を魔法都市ライツにしている部隊は少なかった。
出発地である都市や自分の町に退却していた。
魔法都市ライツが宣戦布告された時、彼らの一部は退却先に失敗したことに気づいたかもしれない。
長い戦いだったこともあり、王立騎士団の多くのメンバーは退却先を確認した後は、接続を切った人も多かった。
だが魔法都市ライツへ退却すべきだと気づいた者もいたはずだ。
しかし本陣を失い、補給線を失った中で、新世界ギルドの追撃を受けながら魔法都市ライツまで行軍するのは、現実的には不可能に近かった。
行くなら、宣戦布告される前に、ワープホールで魔法都市ライツに入るべきだったのだ。
魔法都市ライツが、大都市の中では生産力が最も低い代わりに、難攻不落の防御力を有していることは、王立騎士団の人たちの話で知ることになった。
しかし、歴史上では難攻不落の城は、得てしてあっさりと陥落する。
稲葉山城が竹中半兵衛率いる16人の武士によって陥落したり、小田原城が戦わずして豊臣秀吉に降伏したりしたようにだ。
魔法都市ライツでは、王立騎士団のトルエンが守っていたが、その配下の領主が城門を開いた。
その領主が裏切った理由は、トルエンが気に食わなかったからだそうだ。
トルエンはかなり強硬な指示で、防衛体制を作ろうとしたようだ。
管轄となった領主に対し、多大な兵力の入城を求め、少なかった領主を罵倒した。
罵倒された領主が、あっさり城門を開いたようなのだ。
トルエンは戦わずに降伏した。
王国チャットで、己の未熟さを謝罪し、王立騎士団から離れようとしたが、それをシャルルが引き止めた。
ここで王立騎士団を離れたら、ただの裏切り者だぞと。
敗戦は王立騎士団が引き受けるもので、個人が背負うものではないと諭した。
トルエンはそれを了承し、部隊を王都へ移した。
我々は一兵も失うことなく、魔法都市ライツに入城した。
連合軍チャットでは、新世界ギルドのグリーンが、山賊ギルドのヴァイスに参戦の礼を述べた。
山賊ギルドのヴァイスは、全ての都市を奪還するまで、魔法都市ライツの防衛支援を引き受けると言った。
この支援により、我々は更に進軍できるようになった。
グリーンは、小都市シエラはビッグレイクギルドのものだ、すぐに宣戦布告すべきだと、私に指示をした。
私はそれを受け、小都市シエラに宣戦布告し、マールの部隊は湖の本拠地に帰還させたが、それ以外のビッグレイクギルド全軍に、小都市シエラへ進軍を指示した。
新世界ギルドも兵力2000人を魔法都市ライツに残して、5000人で共に小都市シエラに行軍した。
私たちは強行軍で進軍したこともあり、小都市シエラにはゲーム時間で4日ほどで到着した。
到着するなり、ロドリゲスから個人メールが来た。
「なぁ。わいはあんたとは敵対するつもりはなかったんや。小都市シエラは撤退してもええ。その代わり和平を結びたいんや。あんたらと仲間になりたいんや」
「こちらは約7000人の兵力がある。和平などしなくても攻略することは容易いのだが」
「そう言わんてや。ガルナス王国ではマールさんと一緒に敵と戦ったんや。ロマール王国で内戦したくはないんや」
「ここにマールがいなくて良かったな。嫌いなタイプだと言ってたぞ。まぁいい。グリーンに確認する」
私はグリーンに西の強国ギルドが都市の割譲の代わりに和平を求めていることを伝えた。
「まだ大都市ミダースを取り戻さねければならない。和平しよう」とグリーンは言い、ロドリゲスの提案は了承された。
この時をもって、私たちは念願の都市持ちギルドとなった。
そして最後に、商人ギルドが支配する黄金都市ミダースへ進軍を開始した時、私たちに大きな吉報があった。
平原ギルドが、王立騎士団の本拠地がある小都市スアンに宣戦布告したのである。




