第二軍事大臣コーベンの最期 << セルバート王 17 >>
オンラインゲームは、人が遊ぶゲームだ。
人には都合があり、誰もが予定通りに遊べるわけではない。
それは私だって同じだ。
ゲーム会社の総務部長である私は、当然だが残業もするし、ゲームで遊べない日もある。
そして、あまりギルド内で公言すべきことではないが、遊ぶ時間があっても、遊びたくないときもある。
ギルドリーダーで国王となると、緊張もあるし、思い通りにならずにイラつくこともある。
ザラの死は、私を大いに滅入らせてもいた。
新世界ギルドとの決戦の日に、今回のようにフェアリーがログインせずに、姿隠しの魔法がかけれないというトラブルは大きな損失だけども、その程度のことで戦えなくなるとは思わない。
その程度のトラブルは、想定して置かねばならない。
フェアリーはいつも定期的にログインしていたので、珍しいといえば珍しいがな。
それよりも衝撃的だったのが、第二軍事大臣のコーベンが、ビッグレイクギルドのNPC将校のマールに、一刀両断で殺されてしまったことだ。
コーベンは、「俺、弱いな」の一言を残して、それからログインしていない。
マールは重課金者マイノスのNPC将校だ。
そしてコーベンは、無課金者だったが、極めてアクティブなプレイヤーだった。
勤勉なプレイヤーだった。
なんで、無課金で頑張ってる奴が、ただの金持ちに絶望を味あわされ、ゲームを止めなきゃならないんだ?
かわいそうだとか思わないのか?
マイノスは、最も残酷な仕打ちをしてくれたよ。
これでコーベンがゲームを止めたら、クルーべに続いて二人目だぞ。
マイノス、あいつは何なんだ。
しかし、マリスは良い仕事をしてくれた。
彼はペースが他の奴と違うからな。
流れに乗らないというか、ズレているというか。
みんなで一丸になって、ということができないタイプだ。
これがチャードンのような反対意見を持つ者だったら、王立騎士団にとっては役に立たない。
だがマリスはイエスマンだが、乗ってこないのだ。
二陣目が、マリスでなかったら、コーベンに続いてマールの部隊と戦闘し、壊滅していただろう。
マリスの戦術眼は本物だ。
偶然ではない。
彼はコーベンとマールの戦闘結果を見るまで、距離を詰めなかった。
良い判断だった。
そういえば、さっきフェアリーが姿隠しの魔法をマイネにもかけておきたいと言っていたな。
シャルルは自分たちだけといっていたが、マイネを加えても問題ないだろう。
マイネに戦死されたら、王立騎士団は危険なことになる。
彼の麒麟は、我々の宝だ。
死なせるわけにはいかない。
そして私たちのもとに、歓喜の知らせが届いた。
王国チャットと連合軍チャットに、西の強国ギルドが、新世界ギルドの小都市シエラを攻略したという報告が流れたのだ。
あと一つ!新世界ギルド滅亡まであと一つ!
王国チャットには、王立騎士団連合軍の書き込みが乱舞した!




