↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時、君はそこにいた2 → ロマール王国大戦  作者: マイノス
ロマール王国大戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/83

戦場の答え << マール 54 >>

「この戦いは、私たちビッグレイクギルドにとっても命運をかけた戦いになるだろう。持てる力の全てを使用して、戦いに挑んで欲しい」


 マイノスさんが、軍団の一兵卒に至るまで視線を送り、話しかけた。

 新世界ギルドが本拠地である小都市ポプラに籠り、籠城の準備を進める中で、私たちは都市の東側に陣取り、東側から進軍してくるであろう王立騎士団を待ち構えた。


 小都市内ではグロームさんが、城門前に落とし穴を掘って破城槌を使えなくしたり、弓矢や食料の調達の指示を出していた。

 彼は弱気になったことを後悔し、今は誰よりも良く動いて、最期の戦いを前に万全の備えを準備していた。


 しかし東側に陣取った私たちは、あえて防御施設の建造は行わなかった。

 私たちは守るのではなく、攻撃を仕掛けるつもりだった。

 戦いの障害になるものは全て排除した。

 北から吹く風は、砂漠の砂を伴っていた。

 髪がざらつき、もう春だというのに、肌寒さを感じさせた。


「がーーーーーーー!!!!」


 私は出せる限りの声を発し、全身を震わせ、敵の襲来を周囲に伝えた。

 そして遥か前方を睨みつけた。


 私の発した声と同時に、私の周囲の兵士たちは足を踏み鳴らし、「が!が!が!が!」と全身を弾ませて槍を、弓を、剣を慣らした。

 その振動が周囲に伝わり、全軍が今まさに敵に向かって飛びかからんとする時、マイノスさんが大声量で「前進!」と告げた。

 もう誰もが、弓を引き絞ったような体制で、今にも跳躍して襲いかかろうという姿勢で、ぐいぐいと前に進んだ。


 私には見える。

 王立騎士団が恐怖に顔を引き攣らせて、私たちが一歩近づくたびに体をこわばらせる姿が。

 感じる。

 彼らの緊張が、私たちの肌に伝わってくる。


「がーーーーーーー!!!!!」


 私が再び声を発すると、敵は南北に部隊を展開して、小都市包囲に動き出す。

 私と相対することを避けたいとばかりにその速度がどんどん早くなる。


「が!が!が!が!」


 周囲の兵士たちは、槍や剣を自由に振り回せる自分の空間を作り、いつでも駆け出せる体制になった。

 血が全身を駆け巡る。

 声が出る。

 大地が吠える。


「突撃!!!」


 私が発したのは確かだが、それはもはや私の声ではない。

 天地一体となった号令は、兵士一人ひとりの中から発せられたたった一つの命令を帯びたものだ。


「敵に死を」


 歩兵隊の大盾が敵の弓矢を防ぎ、追いかけた弓隊がしゃがみこんだ歩兵隊の後方から真っ直ぐに斉射し、敵を威嚇する。

 その直後、私たち騎馬隊は弓隊、歩兵隊をすり抜けて、敵陣に突っ込んだ。


 敵の先陣はコーベン!

 軍事大臣の一人で王立騎士団創設時からの将軍!

 私は彼の姿を見かけると「はっ!」と一声掛けてから馬を鞭打った。

 私は左手で盾と手綱を捌きながら、体重を自在に動かして軍馬に進むべき道を伝えた。

 見える!

 私は戦場の答えが見えるようになっていた!


「ドウ!」


 私がコーベン将軍の胴を横から打ち払う時、魔力を帯びた鋼の剣は対象物に触れる前に、それを切り裂いた。

 周囲の敵兵士がそれを見て絶叫する。

 私の側近は、その残党を次々と葬り始める。

 しかし、私の目線は、もうその先の2陣目を探している。

 ここから距離がある。

 次はマリスの部隊だ。

 第二内務大臣。

 強いという話は聞いていない。


 私は四方に感覚を広げ、全軍の動きを感じる。

 王立騎士団は城の包囲を始めた。

 たなびく軍旗から、西側に回るのがマイネ、北側がシャルル、南側が、あれはボレオだ。

 久しぶりね。

 私はルナさんやロドリゲスやパクがいた時の、匂いを思い出した。

 私たちはまだ背後を取られるほどは前進していない。

 マイノスさんは私たちが側面から攻撃されないように、私たちの側面に遊軍を展開して前方を円陣で組もうとしている。


「掃討後、防御!勝ち鬨!」


 私たちは周囲の敵を殲滅したあと、その場で再び防御体制を作り、勝ち鬨を上げた。


「が!が!が!が!」


 大地を踏み、声を発する度に、敵が縮こまるのを感じた。


「が!が!が!が!」


 私たちは再び身体を慣らし、弓を引き絞るように、次の戦いの準備を始めた。


 その時、北側の部隊が、城攻めを開始した。

 西側、南側もそれに続くのが見えた。

 東側のみ、敵が動かない。


 来い!来い!来い!

 私たちが今か今かと待ち構える中、マリスの軍勢は動かない。

 その先にシンシアの軍勢、その先にセルバート王の軍勢、その後方にはライゼンの軍勢がある。

 私たちは斉射し、敵を挑発する。

 しかし、マリスの軍勢は防御体制のまま、まだ動く気配を見せなかった。


 小都市への総攻めが続いていた。

 私たちは新世界ギルドの戦いを信じるしかない。

 私たちはゆっくりと緊張を解き、小都市の戦いの音を聞いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。