↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの時、君はそこにいた2 → ロマール王国大戦  作者: マイノス
ロマール王国大戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/83

チャードンの最期 << マイノス 35 >>

 新世界ギルドが滅亡した場合、私たちの存続はない。

 もうそれは明らかだった。

 島ギルドで最大勢力だった私の町は壊滅状態だ。

 またビッグレイクギルドは立ち上げたばかりで、まだ町にすら発展していない原始的な村ばかりだった。

 王立騎士団グループを今回は撃退したものの、長期的に戦えるものではない。


 私はギルドメンバーに出陣の用意を急がせ、新世界ギルドと王立騎士団の戦いを見守った。

 新世界ギルドの主力部隊が、本陣から離れて王都を囲ったところを、リゼア王国軍が王立騎士団の援軍に来たので、新世界ギルドは戦いの布陣からやり直す必要があった。

 しかしリゼア王国軍はその猶予も与えぬように、奇襲部隊で新世界ギルドの本陣を襲撃した。

 これで新世界ギルドはパニックになった。

 本陣を奪われての敗北は、残りの部隊は戦うことなく敗北し、高確率で追撃を受ける。

 なので、とにかく本陣へ移動しての退却を目指した。

 殿を任されたグリーンは一部隊一部隊、本陣に移して退却をさせた。


 しかし、リゼア王国の戦い方は、更に上をいった。

 彼らはあえて本陣を落とさず、本陣に新世界ギルドを集めながら、これを攻撃した。

 新世界ギルドの部隊は、削られた上に、5割の確率の追撃を受けた。

 本陣を奪われて追撃を受けるだけの敗北より、より多くの被害を出していた。

 ハイドンの部隊が盾となり、ヘリオスやスライサーが最後まで敵を切り崩してグリーンを支援しなければ、無敵将軍オーバス率いるリゼア王国軍の猛攻から逃れられる兵士など一兵もいなかっただろう。

 そんな大損害を出しながらも、グリーンが最後の部隊を退却させた。

 そしてその後に、チャードンは王都へ最後の攻城を行った。

 それまでは、攻城を長期化させず、短期で切り上げていたところを、その時は切り上げずに部隊に城壁を最後までよじ登らせた。

 攻城初期なら軽微な被害も、長期化させると城壁を登り切る可能性も高くなるが、被害も多くなることが知られていた。

 チャードンは、ギルドの主力部隊の退却も終えたので、もうこの時には自分の部隊は全滅しても構わないという判断をしたのだと思う。


 チャードンから私に最後のメッセージがあった。


「マイノス。わいはこれまでや。わいは課金者ではない。ろくに村を育てず、ただひたすらプレイヤー将校を育てて来たことで、他のメンバーより優位性を持っていた。だが、わいの将校はここで死ぬと思う。予感がするんや。今までいくつもの敗北を見てきたが、将校が死ぬときは理にかなった死に方をする。包囲されたり、逃げ場を失ったり、圧倒的な戦力差だと、ほぼ確実に死ぬ。最後まで残り戦力差が大きく、本陣から正規の退却をするわけではない今回は、間違いなく死ぬやろう。わいがやる気を保てるのはここまでや。今まで協力してくれてありがとな」


 チャードンは戦いを良く知っていた。

 しかし知識があっても、力がなければ人も動かせないことも知っていた。

 私は返信することを躊躇った。


「チャードン、王都の城壁は高いだろう?」と、商人ギルドリーダーのゴールネスが残忍な笑いを浮かべて岩石を落とした時、チャードン戦死の報告が王国チャットに流れた。


 私はチャードンに「諦めるなよ」と返信をした。

 だが、チャードンからの返信はなかった。

 翌日、チャードンは王国チャットに引退のメッセージを残した。

 連合軍チャットではスライサーが、「都市一つでも守りきれれば立て直せるよ。心配ないよ」とパニックに陥りつつある仲間を励ましていた。


 私はサブリーダーのグリーンに連絡し、退却した部隊はどこにあるか聞いた。

 彼の話によると、「私兵は各プレイヤーの町に戻っている」と言った。

 「都市兵力は各都市に帰還しているが、大都市2つは宣戦布告を受けているので、復員できずに防衛戦力として使えない」と言った。

 「新世界ギルドのメンバーの町はどの辺りが多いのか」と聞いたら、「小都市ポプラ周辺が最も多い」というので、小都市ポプラにすべての戦力を集めて防衛しようと提案した。

 都市一つでも維持できれば、王国規則の保護対象になる。

 私たちも防衛支援するので、ワープホールの作成を要請した。

 グリーンはこれに応じた。

 私たちはビッグレイクギルドのほぼ全軍で、小都市ポプラに入城した。


 私はこの時、ダメ元でもう一つ手配をした。

 私たちの総兵力はわずか2500人しかいなかった。

 新世界ギルドがかき集めた兵力は5500人。

 両軍合わせて8000人だ。

 一方の王立騎士団は2万人弱と予想された。

 小都市ポプラの城塞値は2000。

 二倍の戦力差だが、3倍に達しているわけではない。

 まだチャンスはあるはずだ。

 何より、私のブラックナイトは今まで負けたことがない。

 今度の戦いに間に合うかわからないが、このブラックナイトを一人ではなく、部隊全体で召喚出来るよう魔法の研究に勤しんでいた。


 翌日、大都市ミダースが商人ギルドの攻撃で陥落した。

 その翌日、大都市ライツが王立騎士団の攻撃で陥落した。

 その翌日、小都市シエラが西の強国ギルドに宣戦布告された。


 私はギルドメンバーに、これが私たちにとって、最大の決戦になるだろうと伝えた。

 この戦いに負けたら、私たちはもう王立騎士団に勝つすべがないことを伝えた。

 全ての兵士、全ての魔力、全てのアイテムを使用して、この戦いに望んでほしいと伝えた。

 私たちは、王立騎士団グループに現在三連勝していることもあり、士気はとても高かった。

 私たちの入城は、新世界ギルドを大いに勇気づけたと思う。

 そして斥候の知らせにより、王立騎士団18000人が小都市ポプラに進軍していることが確認された。

 私は士気の高いビッグレイクギルドメンバーの部隊を、都市の東方に布陣した。

 中央最前線にマール、ミナコ、ローラの三軍。

 右翼にドノフ、ロボシンク、左翼にベスレア、スターネイムを布陣させ、他のメンバーを遊軍として、2列目の私の部隊の横に置いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。