魔法都市ライツの攻城戦 << マイネ 24 >>
平和な国に生まれ、比較的過保護に育てられた中学二年生の僕にとって、大人同士の大人数のガチの喧嘩を見る機会ってあると思いますか?
それがどれだけ魅惑的で、興奮するものか、考えてみてください。
性的な動画に匹敵するくらい、僕を興奮させたことを白状します。
相当なもんだよ。
中2男子の性欲に匹敵するのは(笑)
新世界ギルドのチャードンとセルバート王の口頭による一騎打ちの後(セルバート王優勢か!)、新世界ギルドのメンバーがわわわらと集まり、王国チャットで劣勢を覆すために僕たち王立騎士団を非難する荒らし行為を行ったあとに、戦いの火蓋は切って落とされたんだけど、僕自身は王立騎士団の戦略の全貌を知らなかったので、正直不安になった。
フェアリーは、少し察してたみたいだったんだけど、でも彼女も最も重要な部分は聞いていなかったみたい。
最も重要な部分、つまりリゼア王国の参戦のこと。
たぶん知っていたのは、セルバート王、ザラ、マリス、ライゼン、ゴールネス、イザベラの6人だけ。
ライゼンは元サブリーダーだったからわかるけど、マリスが意外と重用されているのには何か理由があるんだろうか。
て、そんなことは別に今回話すことではないね。
そして僕たちが向かっていたのは、新世界ギルドの大都市ライツだった。
商人ギルド・西の強国連合軍は、南方の大都市ミダースに向けて進軍していて、大都市の同時攻略作戦が繰り広げられていることを知った。
王都では、リゼア王国の援軍が新世界ギルドの主力部隊を王都軍と挟撃して叩き、手薄になった新世界ギルドの大都市を王立騎士団と商人ギルドが強襲する。
全貌がわかった時は、すごい作戦だと思ったよ。
リアル時間で1年以上勢力拡大してきた新世界ギルドという組織が、一瞬にして破滅するという凄さ。
セルバート王は本当に凄いよ。
新世界ギルドの軍事担当者のグロームなんか、「俺たち全部失うのかな。。」とか泣きそうなこと言ってるし、新世界ギルドの人たちが破滅する瞬間が来たんだと確信した。
僕たちは、今まさに王国の覇者になるために突き進んでいるんだと。
フェアリーも少し興奮しているのが、僕にもわかった。
彼女、珍しく戦闘魔法を練習していたからね。
彼女の魔法の系統は、何か他の人とは違うみたいで、炎を出したりとか岩を飛ばすとかそういうんじゃないんだ。
今回、習得していたのは、足元を滑らせて転ばせる魔法や、方向感覚を狂わせて場違いな方角に進ませる魔法で、リアルで大軍勢に効力を発揮している姿を想像したら笑ったよ。
必殺魔法とは言えないけど、勢いづいた敵に対しては、その勢いを奪えそうだよね。
僕は魔法都市ライツが見えてきたところで、麒麟に乗って、ぐんぐんと上昇して行った。
シャルルもグリフォン部隊を率いて、険峻な山脈の頂上にある大都市を一気に眼下に収めた。
「これは普通に攻めたら、難攻不落だね」と僕はシャルルに話しかけた。
「だが今はここに防衛隊はほとんど残っていない。そしてこれを奪った後は、王国騎士団の難攻不落の防衛拠点になるだろうよ。ここなら1万も詰めれば10万のガルナス王国軍でも攻略は出来ないだろう」
「確かに。この瘴気の中、この険峻な山を登ってこの大都市を攻城するなんて無理だね」
僕たちは攻城軍が登ってくるのを3日待った。
宣戦布告の効力が切れると、ワープホールが使えるようになって、大都市内に新世界ギルドの防衛隊が増援されてしまうことから、シャルルが3度も効力切れ1秒の間も開けずに宣戦布告した。
攻城部隊が城に取り付くやいなや、僕とシャルルのグリフォン部隊は上空から大都市内に突入して、城門の開放に向けて動いた。
防衛隊は300人も居なかったと思う。
新世界ギルドからしたら、この大都市が攻撃を受けるとは思っていなかったのだと思う。
攻城開始から数時間で、王立騎士団は大都市ライツを制圧した。
王立騎士団はこの都市には、外務大臣経験者で王立騎士団に移籍した、トルエンというプレイヤーを都督として任命した。
彼は王立騎士団が王都を攻略するときに、魔法の粉で結界が破れることを教え、その魔法の粉をセルバート王に渡した功績があったので、この人事に対しては誰も異議を唱えなかった。
王立騎士団がこの大都市ライツに攻城を仕掛ける前日には、大都市ミダースは商人ギルドの手で陥落していた。
そして、王立騎士団がこの大都市ライツを攻略した翌日には、商人ギルドと西の強国ギルドは反転して、小都市シエラへ宣戦布告していた。
王立騎士団は、大都市ライツを攻略後はすぐに、新世界ギルドの最後の都市であり、彼らの拠点とも言える小都市ポプラに向けて進軍を開始した。
そして、その出発時には、王都での攻防はリゼア王国の援軍もあり、新世界ギルドは壊滅していたことがセルバート王から伝えられた。
正確には、王都での戦いは1日もかからずに終わっていたみたいだった。
また新世界ギルドのリーダーのチャードンは、その戦いでプレイヤー将校が戦死。
2日間ログインがなかった後、引退を表明して、ゲームを去ったとのことだった。
僕たちは大都市ライツでその話をセルバート王から聞き、一時の沈黙のあと、新世界ギルド壊滅に向けて、最後の進軍を行うことを宣言した。
それはもはや王の指示ではない。
そこにいた王立騎士団のメンバー全員が望んだことだった。
王立騎士団が、まさに一体となった瞬間だった。
ロマール王国の統一!
誰もが目を輝かせて、険峻な山道を下り始めた。




