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あの時、君はそこにいた2 → ロマール王国大戦  作者: マイノス
ロマール王国大戦

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立ちのぼる息吹 << マイネ 23 >>

「ねえ。僕らはどこに向かっているの。王妃のザラが死んだんだよ。遺体だけ王都に戻して、僕らはどこに行こうとしているの?」


 僕はフェアリーに聞いた。

 フェアリーは、「セルバート王が王都から離れなければならないという指示を出していた。考えられるのは、新世界ギルドが現実時間の1か月交代で王都の輪番制を求めていて、ちょうどそろそろその時期になるからかも知れない」と教えてくれた。

「でもセルバート王からこの話はしないように言われているの。知っているのは新世界ギルドのチャードンとグリーン、セルバート王とザラと私、それとあなただけ」とフェアリーが言った。


 僕らは深夜、ワープホールを2つ作り、一つは王都へ、もう一つは雪深い場所であることが穴の先から来る冷気で感じられた。

 ザラの遺体は、商人ギルドのゴールネスに引き渡され、ゴールネスは号泣していた。

 一方で、王都に詰めていた王立騎士団の兵士たちは、続々とこちらにやってきた。

 小都市アルンを力づくで攻め落とすのかと思われたけど、そうではなかった。

 全く別の雪深い場所へ、大軍勢が移動していた。

 僕は役員ではなかったので、あまりギルドの全体的な動きは意識していなかった。

 でもそこには、各ギルドプレイヤーの私兵も含まれていて、セルバート王がギルドに大規模な招集をかけていたことが伺われた。

 セルバート王は、イザベラにも連絡を取っていた。

 サブリーダーとの内戦があったので、その状況も聞いていた。

 イザベラは、「サブリーダーの町は破壊し、また島ギルドは籠城体制を解いておらず、支障はない」と言っている。


 何の話だろうか。

 イザベラとも、王都の引き渡しのことを話しているのだろうか。

 僕はフェアリーに、「よくわからない」と話しかけた。

 フェアリーも首を傾げた。

 僕たちは最後にワープホールに入り、一面銀世界のこの場所が、「ついこの間来たことのある場所だ」と言われて驚いた。

 魔法都市ライツと山の都市シエラの間だという。

 私たちがワープホールで着いた先には、西の強国ギルドがいて、リーダーのロドリゲスが僕たちに雪よけの魔法をかけてくれた。

「そういえば、新世界ギルドは都市の交換も要求していたわ。小都市ランタンを西の強国ギルドからビッグレイクギルドの所有に変更して、小都市シエラを新世界ギルドから西の強国ギルドの所有に変更するという要求だった。でも、それは西の強国ギルドが受け入れられないと断ったはずだったけど」とフェアリーがまた首を傾げた。

 王立騎士団の後に、王都側から商人ギルドの軍団もこちらに来た。

 ゴールネスとベラトリクスは見かけなかったけど。

 ゴールネスはザラの死にショックを受けていたので、そのせいかなとも思った。

 ベラトリクスも船団が壊滅したことで相当なショックを受けているという話だった。

 今回はライジという若い男性が代表として、セルバート王から指示を受けているようだった。


 僕は王立騎士団は、王国政権を明け渡す準備をしているのだとわかった。

 セルバート王は、その事実をみんなに伝えられなかったのだと思った。

 ビッグレイクギルドと島ギルドに大敗し、中央ギルドとの戦いでは王妃ザラを死なせてしまったことで、セルバート王は新世界ギルドの要求を受け入れることを決めたのだと理解した。

 みんなはそれを受け入れる準備は出来ているんだろうか。

 前もって、みんなに伝えるべきなんじゃないのか。

 僕はフェアリーにそっと聞いた。

 もちろん、セルバート王を差し置いて、僕らからそんなことを言える立場ではないけれど、粛々とセルバート王の指示を受けて動く王立騎士団グループのみんなの表情を見ていると、僕は不安に押しつぶされそうになった。

 フェアリーは僕の問いかけへの回答を保留し続けた。

 ただ黙って、雪原の世界で立ち上る軍団の息吹を眺め続けていた。


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