必勝の合図 << マール >>
数日して、駐屯地の建設が終わったと、グロームさんが私のところに来ました。
私たちはキャンプを片付け、小都市内の駐屯地へと向かいました。
駐屯地はかなり大規模なもので、1万人は収容できそうなものでした。
荷物の整理をせいているときに、グロームさんから、声をかけられました。
「実は、鷹の眼ギルドから、防衛戦を小都市モルトではなく、この大都市ミダースで共同で行いたいという連絡が来ました。私たちもそれを受け入れました。20万の大軍が向かってきているという話なので、小都市モルトで抵抗しても、一瞬で飲み込まれるでしょう。そしてそれは、この大都市ミダースでも、僅かな違いしかないでしょう」
「はい。20万の軍勢となると、いくら大都市でも守り切ることは出来ないと思います。こちらはどのくらい兵力が集まるのですか?」
「誰も絶望的な戦いに私兵を投じたいとは思いません。魔法都市ライツも籠城体制なので援軍は送れません。小都市ポプラと小都市シエラから2000人ずつ、この大都市ミダースで4000人、それと都市近辺に町があって、命運をともにするしかない領主の私兵が5000人くらいはあるかも知れませんので、合計13000人といったところでしょうか」
「この大都市ミダースまでの行路は密林になっています。道がほとんどありません。戦うなら、これを利用した奇襲攻撃を繰り返すならば、ある程度時間稼ぎは出来るかもしれませんね」
「はい。私たちもそのチャンスにかけています。しかし、その手段も多用してしまうと、相手が警戒しますし、力押しする布陣で押しつぶされる危険があります。やるなら一撃必殺のタイミングです。ガルナス王国のヌーア王を行軍中に奇襲し暗殺します。その時、力を貸してほしいのです。マールさんの部隊は今回遠征した部隊の中でも、最も練度の高い傭兵団でした。少数精鋭での奇襲になりますので、最適です」
「わかりました。王国のために、そして仲間のために、私は命をかけます」
ふと、グロームさんの視線が、私の胸元にあることに気づきました。
戦争中が気が高まっていますし、今回の奇襲作戦は命がけです。
男性は誰でもそういう気分になることは知っています。
そしてそんな私の感情に気づいたのでしょう。
「いや、綺麗なネックレスですね」なんて言うものだから、苦笑するしかありませんでした。
彼を刺激しては良くないと思いましたが、この場において確認は必要だったので、恐る恐るネックレスを見たとき、ネックレスの色は白く光り輝いていたのです。
私はグロームさんに伝えました。
「これは必勝の合図です。今回の奇襲は成功します」




