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あの時、君はそこにいた2 → ロマール王国大戦  作者: マイノス
ガルナス王国遠征

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決戦か、撤退か << セルバート王 >>

 マイネとフェアリーが索敵から戻って来たとき、大都市タバタに10万の大部隊が集結しているという情報は確かだという確認は取れた。

 ただ同時に、商人ギルドから退路を絶たれたという情報には、嫌な予感が当たったという悔しさもあった。

 哨戒させるだけでなく、何か一戦させることが出来なかったのか。

 ゴールネスの力量ならば、何か出来たのではないかという思いがある。


 だが、負けるときはそんなものだ。

 私はもう一人の自分が、私に話しかけて来ていることに気づいた。

 私は緊急で役員会を開き、これからのことを決めねばならない。

 心の声を聞いている暇はない。

 私はそう思って、主だった役員を集めた。

 今回はフェアリーとマイネも呼んだ。


 この場には、王立騎士団の役員を全員呼んだ。

 ザラとシャルルは遠隔通信で会議に参加してもらった。

 新人役員のボレオがまず口を開いた。


「10万の敵が前方にいて、退路にもすでに回り込まれている。ガルナス王国が強大なのは初めからわかっていた。こうなる前に、リゼア王国が休戦した時点で勝ち目はなかったのではないか?」


 これに対して私は、「ガルナス王国の動員兵力がどれくらいになるかは、全体で20万人くらいになるだろうは予測していた。だが当然、その全てが私たちに向かってくるとは考えていなかった。リゼア王国が10万人くらいを引き受けてくれたら、我々に勝てる作戦があった。リゼア王国がガルナス王国と休戦してしまったのは、想定外だった。だが、我々には東部戦線部隊もあった。ここが想定の10万に近いくらいの戦力を引き受けてくれるなら、勝算はまだあった。実際に彼らは5万の兵力と対峙している」と回答するが、ボレオは更に問いを重ねた。


「この南部戦線の我々の戦力は3万弱です。どうやって10万を超える敵戦力と戦うのですか?」


 私はフェアリーの発言を促し、彼女に説明をさせた。


「姿を隠す魔法があります。おそらく、この魔法はまだ殆どの人に知られていません。姿が見えない状態なら、5倍の敵にも勝てる可能性があります。3倍の敵に対する勝率は8割はあると私は見込みます」


 私は彼女の話を一旦止め、話を続けた。


「そうだ。だが今回は状況がまだ見えない。退路を塞いだ敵がどれくらいいるのか、まだ情報が集まっていない。もし後方にも10万や20万の敵がいたら、姿を隠しても勝てるかどうかわからない。敵が対処する可能性もある。実際に、その姿を隠す魔法を見破る魔法も、フェアリーの話ではあるのとのことだ。むしろ、そちらのほうが先に習得するらしい。そして我々はこの未確定な状況の中で、これからの方針を決めねばならない。戦うのか、逃げるのか」


 私は役員全員の顔を見た。

 シンシアが発言した。


「勝って得られるものは何?姿を隠す魔法への対策がなされないまま、ガルナス王国を滅亡させることは出来ます?」

「ガルナス王国の勢いを止めることはできるだろう。滅亡までは可能性がないわけではないが、難しいだろう」


 私は回答し、次の発言を待った。

 すると、遠隔通信で参加しているシャルルが発言した。


「戦場では誰もが必死だ。敵がパニックになる可能性もあるが、必ず対策は立ててくる。対策魔法を習得しなくても、俺が戦うなら、盾を持ち、部隊に円陣を組ませて、まずは様子を見るだろう。実体があり、見えないだけだと気づけば、風魔法で砂や草などを張り付かせることも出来る。ガルナス王国の将軍も、そのくらいの知恵は回るだろう。初期に逃亡で使うなら、その魔法の実態をまだ伏せることが出来る」


 シャルルの話は、私にも強い印象を与えた。

 ここでトルエンが、「ワープホールは他国では使えません。退却するなら、その魔法が活きるでしょう」と発言した。

 時間はあまりないが、話しあいの流れは出来てきていた。

「他国でワープホールが使えないのは、ゴールネスからも報告が来ていた。事実だ」と私は言った。


 私はみんなの顔を見た。

 方針は決まった。


「退却だ」


 私はそう告げると、他のギルドリーダーへの伝達を急がせた。

 北側の城門の先に、王立騎士団の部隊が続々と集結する中、遥か向こうで舞い上がる砂煙が見えた。

 商人ギルドは大方戻って来たはずだが、まだいたかと目を凝らしたとき、それは味方ではない緊張を伴う気配を感じた。

 私はマイネに上空から索敵を要請した。

 マイネは戻って来るなり、「およそ10万人!」と言った。

 南方の大都市タバタから10万人、北方の退路にも10万人。

 ガルナス王国は我々を仕留めに来ていたのだ。

 退却を選んで正解だった。

 私はフェアリーに全軍に姿隠しの魔法を散布するよう指示をした。

 と同時に、チャードンが騎馬に乗って掛けてきて、私に言った。


「待ちに待った王国戦争や。わいが先陣で行かせてもらうで。ロマール国王、あんたは最後にゆっくり来たらええで」


 そうはいかん。

 そいつは殿だ。

 私の役目ではない。

 フェアリーが上空から姿隠しの魔法を散布した。

 それはどれだけの規模で撒けるのか心配もあったが、ロマール王国軍を隠すのには十分な量だった。


「お互いに見えなくなる。我々は王都に戻るが、各ギルドは所定の都市まで行き、防衛体制を整えてくれ。生きて再会しよう」


 私はチャードンに続いて駆け出した。

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