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黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


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疑惑の武器屋と三人の幹部



前書き


人を信じるのは難しい。


一度裏切られた人なら尚更だ。


だが。


疑い続けることもまた苦しい。


黒狼団を襲った冤罪事件。


その裏には何者かの意図が見え隠れしていた。


そしてユウキたちは、

黒狼団の中にいる三人の幹部たちと向き合うことになる。



本文


《主人公・相良ユウキ視点》


黒狼団の砦へ戻る頃には、

すっかり夕方になっていた。


空は赤い。


風も冷たい。


だが。


砦の空気はもっと冷たかった。



「どうだった?」



ガレスが聞く。



クリフさんが答える。



「黒狼団ではない」



全員が静かになる。



「足跡は町側から来ている」



「つまり犯人は外だ」



ざわつく砦。



その中で。



ルガーだけは腕を組んだままだった。



「証拠は?」



「ある」



クリフさん即答。



「俺の目だ」



ルガー


「……」



元狩人と元兵士。



完全に睨み合いである。




その夜。



ガレスが俺達を呼んだ。



砦中央。



焚き火。



そこにいたのは。



ルガー


カシオン


アーサー



黒狼団幹部三人だった。



「紹介しておこう」



ガレスが言う。



「お前達にも知っておいて欲しい」




まずルガー。



槍使い。



元農民。



三十代前半。



黒狼団最強格。



だが。



超気難しい。



めちゃくちゃ気難しい。



話しかけるなオーラが出ている。




次。



「カシオンだ」



細身の男だった。



眼鏡。



書記官っぽい。



三十歳くらい。



「どうも」



めっちゃ普通。



普通過ぎる。




「元々は商人見習いでした」



なるほど。



だから頭良さそうなのか。




最後。



「アーサー」



でかい。



とにかくでかい。



二メートル近い。



坊主。



筋肉。



以上。



「よろしく」



声まででかい。




よっしー



「なんやこの人めっちゃ強そうやな」



アーサー



「強いぞ!」



即答。



みんな吹く。



初めて砦で笑いが起きた。




話し合いが始まる。



「武器屋が怪しい」



クリフさんが言う。



カシオンが頷く。



「私もそう思います」



「薬を安く売る理由が不自然です」



やっぱり。



商売人視点でも変だったらしい。




「ですが」



カシオンが続ける。



「武器屋程度ではありません」



「後ろに誰かいます」



ガレスも頷く。



「俺もそう思う」




「誰や?」



よっしーが聞く。



沈黙。



そして。



ガレスが答える。



「徴税官」



空気が変わる。




モンテーヌ周辺を管理する徴税官。



名前は



バルトン。



四十代。



領主代理。



実質支配者。




「アイツは金しか見ていない」



ルガーが吐き捨てる。



「村を潰したのもアイツだ」



「俺の村も」



そこで黙る。



やはり。



過去が深い。




「なら会えばええやん」



よっしーが言う。



全員



「無理だ」



即答。




バルトンは護衛を大量に抱えている。



しかも。



町長



商人組合



衛兵隊



全部と繋がっている。



つまり。



モンテーヌのボス。




「面倒やなぁ」



よっしーが頭を掻く。



「めっちゃ面倒や」



俺も同意だった。




その時。



砦の外から悲鳴が響いた。



「敵襲!!」



全員立ち上がる。



ガレスが斧を掴む。



ルガーが槍を持つ。



アーサーは盾。



クリフさんは弓。



俺も剣を握った。



門の外。



そこには。



燃えている荷車。



そして。



矢が突き刺さった男。



さらに。



地面には。



新しい木札。



【次は子供だ】



静寂。



ライラが青ざめる。



あーさんが息を呑む。



よっしーの顔から笑顔が消える。



ガレスが木札を握り潰した。



「……」



初めてだった。



ガレスが本気で怒ったのは。



「見つけ出す」



低い声。



「必ずだ」



そして。



モンテーヌ編は


さらに危険な領域へと踏み込んでいく。




後書き


ここまで読んでいただきありがとうございます。


今回は黒狼団幹部


* ルガー

* カシオン

* アーサー


が本格登場しました。


それぞれ全く違う考え方を持っています。


そして姿を見せ始めた黒幕。


徴税官バルトン。


果たして本当に彼が黒幕なのか。


それともさらに背後がいるのか。


次回は


ルガーとユウキの共同捜査編


です。


意外な組み合わせですが、

この二人かなり相性良いかもしれません。

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