帰宅
武具屋を出るともうすでに太陽が沈みかけていた
リジハマ村から王都への馬車は少し遅くまであるが
王都からリジハマ村へ行く馬車はあまり遅い時間までないらしく
「ちょっと急ぎましょうか!」
そういうとフリージアが小走りでかけ出す
「はーい!」
それに軽々ついていくソフィア
そのソフィアについていく俺。この速さなら簡単についていけるんだけどなぁ……
行き交う人は昼間よりも少し減っていた
若者の時間から仕事を終えた大人の時間となっている感じがした
そうこうしていると無事馬車乗り場に到着した
王都に着いた時は大通りで降りたのでわからなかったがここが終着地点的となっていて数多くの馬車が集まっていた
少し待てば村に行く馬車が出るとの事だったので
「どっかで時間潰す?」
2人に問うと
「ん〜。今日は疲れちゃったから私はここで待っておくわ。ソフィアはどうする?」
「私もちょっと疲れちゃったかな」
「じゃ、あそこで待っておこうか」
と待合場みたいな場所を指差す
「賛成〜!」
「はーい!」
と、2人の同意をえて待合場へ向かう
今日は色々あったなぁ
そう思いふとフリージアと談笑しているソフィアを見るが
やっぱり可愛いよなぁ……
ポニーテールとなったソフィアに見惚れてしまう
その視線に気づいてかソフィアもこちらに視線を送ってきた、気がする。
途端に俺が視線を外したので正確にはわからないが……
プレゼントを大事にしてくれてたのは本当に嬉しいあの魔道具のリボンの前に今度、村で前髪を留める髪留めも買ってあげよう!
そう心に誓うのであった
そんな事をぼんやり考えていたら馬車が到着した
もう日は落ち、辺りは薄暗くなってきていた
王都を出て森に入る。来た時とはまた全然違う印象だ
たしかにこれなら魔獣や野盗が襲ってきても不思議ではない
そんな不気味さが森には溢れていた
が、そんな不気味な印象とは異なり馬車内は最初は賑やかだった
乗っているのは俺たちだけの3人なのだがフリージアとソフィアがキャッキャと女子トークを繰り広げていた
そのトークも尽き、村に着く頃には2人とも小さな寝息をたてて眠ってしまっていた
俺は何だか感じる嫌な予感が気になって寝る事は出来なかったが
「ソフィア」
ゆさゆさと肩を揺らす
「ソフィアもうすぐ着くよ」
ソフィアのナリト村は俺らの村の一つ前の村なので先に降りる事になる
「ん、ん……ん?」
多分寝る気がなく寝てしまったんだろう
今の状況を把握するのに一瞬時間がかかったが
「っは!あ!ちょっ、見ないで!」
そう言うと垂れてもいないよだれを確認する
「もうすぐ着きそうだよ」
「うん。ありがとう、ちょっと寝ちゃってた」
「だね!寝顔ありがとうございます!」
とちょっと意地悪を言ってみる
「もぉ!」
と、少しふくれる仕草がまた可愛い!
ヤバいこの1日で本格的に好きになり始めてしまったかも…
ふと視線を感じフリージアを見るといつから目が覚めてたのか元から寝ていなかったのか
凄いジト目で見られていた
そのジト目から視線を逸らすように
「おじさん次のナリト村で1人降ります!」
と馬車を操るおじさんに声をかける
「あいよー」
すぐにナリト村に着きソフィアが降りようとするが
なんか……なんか……いい雰囲気だ……
暗闇の馬車の中、デートを終えた2人が離れたくないのに離れてしまわないといけない……
まさに好機!キスの好機!
だがソフィアは気付いていないが俺は気付いている
フリージアが起きてる事に……
この沈黙がこの雰囲気を作り出している、2人きりなら願ったり叶ったりだがフリージアが……
こんなにお世話になってる姉に言っちゃいけない言葉だが
邪魔だな……
最低な弟だなと自分で思いながらも
「ソフィア今日は楽しかったよ!明日学園でね!」
と、あくまで軽いノリで別れを切り出した
「う、うんまた明日」
あー!切なそうなソフィアも可愛い!抱きしめたい!
ってかまだ付き合ってもいないけど…
そう言って1人馬車を降りる
もうすでに村の入り口で家々の灯りがともっているから安心だろう
笑顔で手を振るソフィア、それに応えて手を振る俺
未だに寝たふりを続けるフリージア
馬車が山道を曲がりソフィアが見えなくなる瞬間少し悲しい顔で髪留めを触る姿がみえた
やっぱり近いうちに買ってあげたいな
「ねぇさんいつまで寝たふりをしてるの?」
「ん、ん〜。もうすぐ着くの?」
と、わざとらしい演技で今起きましたみたいな事をやってきたのでジト目を仕返してやった
すると更にジト目を返され
「キスの1つでもしてやればよかったのに」
「い、い、いやいや、付き合ってもないし!」
「邪魔で悪かったわね!」
少し機嫌が悪そうな少し悲しいような声で言う
この人は人の心が読めるのか!?
「いや……、ねぇさん今日は色々案内してくれてありがとう」
ちょっと話を逸らしてみる
「次は2人きりで行けるんじゃないの!?」
逸らせてなかった……
「次も3人でいこうよ!」
「ふ〜ん」
機嫌が悪い、気のない返事
「機嫌なおしてよぉ」
「別に怒ってないし……あ!でも私にもリボン買って」
閃いた!と言わんばかりの企んだ笑顔で言い放つ
「はいはい。今度買いにいこう」
「やったぁ!」
血の繋がりがあるから意識しないけどやっぱり客観的にみたら美人だし可愛いなぁ
そんな事を考えていたらリジハマ村に着いた
帰宅の馬車賃は何故かフリージアが出してくれた
こうして中身の濃いあっという間の1日がおわった




