入園祝い 完結
1人で走ればほんの数分で着く距離を
登校時間に間に合う速度でゆっくり走る
それには訳があって
ソフィアは魔力を使い果たしてぐったりしているのだ
当然、騎馬戦のように俺の背中の上で状態を起こし視界を広く取っているのとは訳が違い
そう!まさに今ソフィアのカラダを余すところなく背中で感じ、あまつさえ俺が右に顔を向けるとキス出来てしまうのではなかろうか。
と、いう位置に小さな顔があるのだ!
香水の類いか物凄く良い匂いがしてくる
しかも3つ上のフリージアよりも発育がよろしいとなれば……ゆっくり走るしかないだろう!
「ソフィア大丈夫か?」
「うん。ごめんね。ありがとう」
と、少し恥ずかしそうに返事を返す
「俺こそ、無理させてすまなかった」
「だから、良いってばー。それよりちゃんと治って良かった」
色んな意味でソフィアを感じながら途切れ途切れにそんな会話をしていたら学園に着いてしまった
もう少しこの幸せを感じていたかったが
流石に俺なんかの固い背中なんかより医務室のベッドの方がいいのは明確で教室に入る前に泣く泣く医務室にソフィアを運ぶ事にした
キィィっと音を立て医務室のドアは力を入れずに簡単開く
はじめて入った医務室はまるで理科の実験室みたいにビーカーみたいなものがたくさん並べられていて
反対側にベッドが2台並んでいた
朝1番だからか先生は居なかったので
勝手にソフィアをベッドに寝かせる
「オリバー先生には伝えておくから魔力が少し戻って楽になるまで寝てな」
「うん。ありがとう」
そう返事をすると綺麗に結んであったツインテールの髪紐を解く
「じゃ、俺は教室に戻るから。ヒーリングの事何も知らなくてごめんな、ありがとう…」
「ううん。私もおぶって来てくれてありがとう…」
さっと医務室を出ればよかったのに一瞬出るのが遅れたのが原因で2人きりの空間でなんとも言えない空気が流れる
「あ、あぁじゃ、行こうかな」
「あ、う、うん」
な、なんなんだこの空気は…
不自然に回れ右をし、思いっきり後ろ髪をひかれながら医務室を出る
医務室のドアをゆっくり閉めて
自然と少し上を見て目をつむって
はぁーっふぅぅー……
溜息にも似た深呼吸を1つ
「どうだった?私の入園祝い」
「どぉわぁっ!ね、ねぇさん?いつからここに?」
「ん?いつからってリョウとソフィアが心配で、ヒーリングかけられてる時から陰で見守ってたよ?」
「はぁ!!?つけてたの?」
「声が大きい!」
そう小声で伝えるとさらに小声でこう続けた
「ソフィアをおぶってゆっくりゆっくり走ってたねぇ」
「いや!あれはソフィアがぐったりしてたからあまり揺らしちゃ悪いなと思って…」
「ほーん。まぁソフィアはー?私よりー?出るところ出てるしー?」
「ち、ちがっ…」
違わない事実に口どもってしまう
「まぁそういう事にしといてやる」
と悪戯に笑いながら伝えると
「ここまでが入園祝いだから。よく練られたお祝いだったでしょう?」
そう言って後ろ手で手を振りながら自分の教室に戻っていった
なんか散々騙されっぱなしの入園祝いだったが俺は心の中で何度もこう言っていた
ねぇさん本当にありがとう!と……




