ヒーリング
翌日、顔を腫らし右の脇腹は青くなっていた
肋骨は折れてるみたいだ……
「痛つっっ……」
「男なら我慢しなさい!」
学園に向かう途中まだリジハマ村を出て少ししか経ってないが全身が痛む
顔と脇腹は勿論だが全身筋肉痛なのだ
それに引き換えフリージアはあっけらかんと隣を歩いている
これが実力の差だろうな……
一人でそんな事を考えながらソフィアの村に着いた
朝は家まで迎えに行く約束になっている
ソフィアの家も、村の中ではかなり大きい方で裕福な暮らしが垣間みえる
敷地内には入らず庭の外から声をかける
「ソフィアー!迎えにきたよー!」
「もぉ!リョウ君来ちゃったじゃない!もっと早く起こしてよー!」
「ちゃんと起こしたわよー」
そういうやりとりが家の中から聞こえてくる
しばらくして何事もなかったかのように落ち着きをみせ
「フリージアさん、リョウ君お待たせしました。すみません遅くなってしまっ……
リ、リョウ君その顔どうしたの!?」
謝罪の途中で俺の顔に気付き心配して駆け寄ってくる
ソフィアのお母さんも玄関まで出てくれて何も言わずニコニコ手を振ってくれている
一応軽く会釈をして
「学園に向かいながら話すよ……」
「今ヒーリングするから!」
「あ、いや、何となくここじゃ恥ずかしいから途中のあそこでやってくれないかな?」
「いいけど…ヒーリングされるよりその顔で歩く方が恥ずかしいよ?」
「なんかまぁまぁ失礼な事言ってませんか?」
「あ、いや、そう言う意味で言ったわけでは……」
なんて話をしながら『あそこ』に向かう
しばらく山道を歩くとソフィアの村から学園に向かい3分の2ほど進んだところに少し広場になった木陰がある
3人が余裕で座れる縦半分に切った丸太が椅子として置いてある
あとは1人掛けの丸太の椅子が2席
フリージアは1人掛けの椅子に座る
「そう言うわけだから、申し訳ないけどヒーリングしてあげて」
腰をかけたタイミングでこの顔の経緯を話し終える
主にフリージアが
「わ、わかりました。姉弟仲良いですね……」
「でしょ!?」
まんざらでもない顔で本気にする
「ねぇさん……返す言葉がないから無難なセリフを選ばれてる事に気づいて……」
俺の声が聞こえたか聞こえてないか
フリージアはスクッと立ち上がり
「後は若い2人に任せて私は先に学園に行ってまぁす」
「無責任な張本人ですねぇ」
「なんか言った?」
「別にぃ〜」
姉弟のやり取りを見て
「ふふふ。やっぱり仲いいよ!」
「でしょ!?」
「どこが!?」
タイミングが綺麗にかぶってしまいそれを聞いてソフィアはまたクスクスと笑うのであった
「もう、ねぇさんいいから早く学園いきなー」
「はいはぁい」
そういうと颯爽と走っていきあっという間に姿が見えなくなる
「リョウ君が心配で一緒に居てくれてたんだね」
「かもね」
「よし!ヒーリング始めるよ!」
「お願いします」
ソフィアが集中し詠唱し始める
――万物を創造し神よいま一度創造しこの者の傷を癒したまえ――
「ヒーリング!」
顔がほのかに温かくなる少しずつだけど確実に腫れが引いていくのがわかる
「おおぉぉ!」
はじめてのヒーリングに感動する
しばらく経って完全に顔の痛みが消えた
「っふぅ……終わったよ!」
「あ、ありがとう……」
はじめてのヒーリングに感動したし勿論凄いと思ったのだが
「ソフィア……ちょっと言いにくいんだけど……」と言いつつ服を捲り脇腹を見せる
「え??こっちの方が酷いじゃない!」
「う、うん。全身治るのかと思って何も言わなかったんだけど……」
「全身も出来るけど部分的なダメージだとそこに集中した方が早く治るから……」
「あ……そうなんだ……こっちもできる?」
「魔力が足りるかなぁ…」
「だよね…無理しなくて良いよ!責任取ってねぇさんにしてもらうから」
「ううん。リョウ君の傷は私が治したいから!」
「ん?あ、ありがとう。じゃぁお願いします」
「はい。じゃぁ服を捲ってて」
「了解」
再び詠唱しヒーリングをかけてくれる
「無理しなくていいからね」
何も関係ないソフィアに無理をさせるわけにはいかない
無言で頷き集中するソフィア
また見る見るうちにアザがなくなり痛みもひいてくる
骨までくっ付いているのだろうか?
切り傷なんかも塞がるんだから骨がくっ付いてもおかしくはない
そして全く痛みがなくなりヒーリングが解ける
と、同時にソフィアが俺に体を預けるように倒れてくる
「おい!ソフィア大丈夫か?」
「ちょっと魔力使い過ぎちゃったみたい。ちょっと休めば大丈夫だから」
そう言ってぐったりしている
ヒーリングは魔力を大量に使うと聞いたことがあるがここまでなのか
「わるい。ソフィア、頼りすぎちゃったな」
魔力は自然と回復するものなので安静にしてれば回復するとは思うが学園の時間が迫ってきている
「おぶっていくから背中に掴まってくれ」
「えっ!あっ!ちょっ!恥ずかしいって!」
と、あたふたするソフィアを問答無用で背中に乗せて走り出す




