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x-LOGOS —凍てついた世界で僕は『兵器』の少女を掘り起こした—  作者: 操野形人
Season1:フリーランズ争乱 ―決戦!ゴミ捨て場の街の奪還劇―
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6/19

Ch.1『15000チップの約束 ―辺境の修理屋、旅立ちの決心―・1』

お読みいただきありがとうございます!

操野形人と申します。

本作は【SFファンタジー人形劇】と銘打った、凍てつく大地を舞台に熱血漢のメカニックの少年とアンドロイドの少女が太陽を取り戻す物語となっております。少し不器用な彼らの旅をぜひ楽しんでいってください!

挿絵(By みてみん)



一方、その頃。


激しい戦いが終わり、半壊した工房の外へ出た二人。

先ほどまで工房を閉ざしていた激しい吹雪は嘘のように止み、雲の隙間からこの時代には珍しい、穏やかな光が差し込んでいた。


「……あ、止んだッ!」


キッドはゴーグルのノブを回しながら、空を見上げて破顔した。


「ラッキー! ちょうど『活動期』に切り替わったみたいだぜ。これなら帰りの道も安全だ」


キッドの嬉しそうな声に、リアはきょとんとした表情で首を傾げる。彼女のデータベースにあるこの地の気象概念は150年前の古い記録で止まっていた。


「……活動期? キッド様、それは一体……?」


「ん? ああ、そうか。お前は長い間眠ってたんだったな」


キッドは歩き出しながら当然のことのように説明する。


「この大陸はな、吹雪が吹き荒れる『休眠期』と、こうして天候が安定する『活動期』が交互に来るんだ。皆、死に物狂いで『休眠期』を耐え抜いて、この短い『活動期』の間に物資を交換したりして生きてるのさ」


挿絵(By みてみん)


リアはキッドの隣を歩きながらその言葉を反芻する。彼女の内部では、大陸全土の気象観測データが更新され、この150年の間の過酷なサイクルが再構築されていく。 


「……つまり、この大陸の生物と機械たちは常に死と隣り合わせの周期を繰り返しているということですね」


「ま、そういうことだ。だから普通の奴なら『休眠期』には絶対に外に出ねェ。……まぁ、俺みたいなのは別だがな!」


キッドは腹部の傷が消えた場所をぽんぽんと叩き、相変わらずの笑顔で言い放つ。

リアは立ち止まり、その言葉の意味を理解した。彼が自分の眠る工房にたどり着いた時、外は猛烈な『休眠期』の真っ只中だったはずだ。


「……待ってください」


リアが眼鏡の奥の蒼い瞳で、キッドをじっと見つめる。


「先ほどまで……外は『休眠期』でしたよね? 貴方は、その過酷な吹雪を越えて……わざわざ来たのですか?あの場所に何があるかも分からなかったのに?」


「あぁ。じいちゃんの地図がどうしても『今だッ!』って言ってたからな」


キッドは天真爛漫に笑う。

リアはその姿を見て、データベースにはない感情――計算不能な熱が胸の奥に灯るのを感じた。呆れるほどの無謀さと、自分を見つけてくれたという、何にも代えがたい「救い」。


「……本当に、馬鹿な方です」


リアは小さくため息をつきながらも、その口元には今までで一番柔らかな笑みが浮かんでいた。


二人は光を浴びながら雪原に並んで歩き出す。


「……でもよ、リア」 


キッドは歩きながら、ふと思い出したように言葉を繋いだ。


「じいちゃんの伝承じゃあ、あの工房には『世界を救う鍵』が眠ってるはずだった。……お前がその鍵だってことでいいのか? それとも、俺はまだ何か別の宝物を見落としてるのか?」


リアは歩みを止め、少し困ったように自身の額に手を当てた。彼女の蒼い瞳の奥で、記憶のデータが高速で走査されていく。


「……申し訳ありません、キッド様。……私自身、自分が『世(そ)界を救う鍵(う)』なのか、確証は持てないのです」


彼女は空を見上げ、自身の内なるプログラムを確かめるように静かに続けた。


「ですが、私のメインメモリには、父――レオ・ヴァレンティノの切実なメッセージが刻まれています。『太陽のゆりかご』と呼ばれる場所へ向かい、そこで調律を行えば、この世界は救われると」


「太陽のゆりかご、か。それがどこにあるかは分かるのか?」


「いいえ。具体的な座標も、到着した先で何をすればいいのかも、私のデータベースからは欠落しています」


リアは自身の胸元に手を当て、力強く言い切った。


「ですが、私のプログラムは、そこへ向かうことこそがこの世界の唯一の正解であると訴え続けています。何が待ち受けていようと、私はそこへ到達しなければならない……。これは、父が遺した私の、抗えない使命なのです」


「使命、か」


キッドはどこか楽しげに鼻を鳴らした。


「……なるほどな。どこにあるかも分からねぇ場所を目指すってのは、俺の性分に合ってるぜ。地図もねぇ、道も分からねぇ場所を探し出す……冒険ってのは、そうやって始まるもんだろ?」


「……本当に、馬鹿な方です」


リアは小さくため息をつきながらも、その口元には今までで一番柔らかな笑みが浮かんでいた。その時だった。


キッドが腰に提げていた「ラクガキの地図」が突如として淡い光を放ち始めた。


さらにペアリングが呼応するように熱を帯びる。


「……キッド様、地図が」


「うおっ!? なんだこの光は!」


地図上に描かれた大まかなラインが激しく点滅し、大陸の各地に点在する「7つのポイント」を浮かび上がらせた。


そのうちの一つがフリーランズから少し離れた場所で強く明滅している。


「……これは、灯台(ビーコン)の座標データでしょうか。キッド様、この地図は単なる工房までの案内図ではなく、灯台(ビーコン)の位置を特定するための『コンパス』そのものだったのかもしれません」


リアは地図が指し示す場所を凝視した。

それは「太陽のゆりかご」という終着点への道筋であり、同時に道中で経由すべき「7つの灯台」の場所だった。


「なるほどな……。どうやら世界を救うための『鍵』は、この大陸のあちこちに隠されてるってわけか」


キッドはニヤリと笑い、光る地図を乱暴に畳んで懐にしまった。


「まずはフリーランズだ。そこで装備を整え、この『灯台』とやらの場所を詳しく調べてみよう。……どうやら相当な冒険になりそうだな!」


「はい。どうやら大陸横断の長い旅になりそうですし、"大"冒険、という言葉がぴったりですね」


リアは明確な「目的」を得た瞳で微笑んだ。


「……もう迷うことはありません。この光が、私たちの道標です」


二人は来た道を引き返し、フリーランズの街を目指す。


その先で、キッドたちの噂を聞きつけた「赤い影」が待ち構えていることも知らずに。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

楽しんでいただけましたでしょうか?

次回!!満を持して!セクシー担当・中華娘登場!!

もし続きが気になったら、ぜひブックマークと評価で応援していただけると、激務の合間に執筆している私の大きな糧になります……!

次回の更新もぜひ楽しみにしていてください!

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