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因果の木材と、茄子のゴーレム

ギコギコ、トントン。


復興したばかりの町の一角で、はじめとイオリによるホテルの扉の修理作業が始まった。


イオリは「お兄様との初めての共同作業……!」と目を輝かせ、パタパタとしっぽを揺らしながらかいがいしく工具を手渡してくれる。


その健気な働きぶりは非常に助かるのだが、作業を進めるうちに致命的な問題が発生した。


「ダメだ。完全に扉を塞いで直すには、どうしたって木材や蝶番ちょうつがいの材料が足りない」


はじめは寸法を測っていた手を止め、がっくりと肩を落とした。


「これ以上の出費とか、絶対にゴメンだぞ……」


先ほどマナに強制操作されて支払わされた『100Excel』の痛手が、はじめの財布と心を重く圧迫している。


これ以上、見知らぬ町で自腹を切るなど冗談ではない。


はじめが頭を抱えて悪態をついていると、後ろで見ていた子供の姿のマナが、ふんすっと胸を張った。


「もー、仕方ないなぁ。それぐらいなら、特別に助けてあげるわよ!」


マナがパチンッと指を鳴らすと、何もない空間がポッカリと開き、そこから真新しい木材やサイズの合う金属の金具がゴトゴトと都合よく転がり出てきた。


「……お前なぁ」


はじめは額に青筋を浮かべ、持っていた金槌かなづちを振り下ろす勢いでマナに詰め寄った。


「そんな便利な事ができるなら、最初から魔法でパパッと扉を修理してくれよ!! なんで俺に自腹を切らせて大工仕事までさせてるんだ!」


「だーかーら! これは因果いんがの問題なの! 私には直接手出しできないことわりになってるんだってば!」


マナは口を尖らせ、相変わらずはじめにはよく分からない神様特有のフワッとした理由で堂々と言い返した。


「都合のいい時だけ神様のルールを持ち出しやがって……!」


はじめが理不尽な世界システム(マナの気まぐれ)に文句を言い続けていると、そこへ、町をぐるりと見回ってきたクレアが合流した。


「ふぅ……」


クレアは白衣のポケットに手を入れたまま、木材を前にギャーギャーと言い合っているはじめとマナ、そしてオロオロしているイオリの姿を見て、静かに息を吐いた。


(やれやれ……私が少し目を離した隙に、また一悶着あったようだな……)


全く緊張感のない一行の様子に、クレアは内心で呆れつつも、町自体には異常がないことを確認して密かに安堵していた。


「ほら、お兄様! これで材料は揃いましたから、一緒に頑張りましょう!」


「あぁ、そうだな……文句を言ってても扉は直らないしな」


イオリの眩しい笑顔に癒やされつつ、はじめは気を取り直して作業を再開した。


マナが出した素材は見事にサイズがピッタリで、作業はスムーズに進み、やがて頑丈な新しい扉が枠にしっかりと収まった。


「よし、これで完璧だ」


はじめは額の汗を拭い、満足げに出来上がった扉を叩いた。


「それじゃあ、オーナーを呼びに行ってくるか」


はじめがホテルの奥へ声をかけようと振り返った、その時だった。


「あの……」


背後から、ひどくか細い声が一行を呼び止めた。


振り返ったはじめたちの目に飛び込んできたのは、ひどく奇妙で異様な二人組(?)の姿だった。


一人は、今にも倒れてしまいそうなほど顔色が悪く、ひどく病弱そうな見知らぬ少女。


そしてもう一人は――その少女の隣にヌボッと立ち尽くす、巨大な『茄子なす』のような不気味な形をした、泥と植物が混ざり合ったような異形のゴーレムだった。


「……なんだ、あいつ」

はじめは警戒して身構えた

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