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龍の性質と、2番目の決意

光が収まり、はじめとマナは現実の自室でパチリと目を覚ました。


夢の世界から帰還した二人は、ひとまずリフリッジには父親の件を伏せたまま、こっそりとイオリだけを部屋の隅に呼んで「オロチ」という名前に心当たりがないか尋ねてみることにした。


「オロチ様、ですか?」


イオリは少し驚いたように目を丸くしたが、すぐにコクリと頷いた。


「はい、もちろん存じ上げています。

龍族の中でも名の知れたお方ですから。


でも、まさかリフリッジさんと繋がりがあったなんて、思いもしませんでした」


イオリは顎に手を当て、少し考えるような素振りを見せた後、ふと納得したような柔らかい表情になった。


「でも、リフリッジさんが龍の血を引いていると聞いて、性格的にはすごく納得しました」


「性格的に?」はじめが聞き返す。


「はい。ぼくたち龍の一族は、一度『この人にお仕えする』と心に決めた方には、その身にどんな事があっても、一生涯にわたって誠心誠意尽くし抜くという強い性質を持っていますから……」


そこまで言うと、イオリはチラリとはじめの方を見上げ、頬をほんのりと赤く染めた。


まるで「ぼくも、はじめさんに一生尽くします」と無言で強烈にアピールしているような、甘く熱を帯びた視線だった。


その分かりやすすぎる態度を見ていたマナが、ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて茶化した。


「あーあ。これはまた、正妻気取りのリフリッジちゃんと激しい一悶着あるかなぁ~?」


「ひっ!?」


昨日の殺気立ったリフリッジの顔を思い出したのか、イオリはビクッと肩を跳ねさせた。


しかし、今回は逃げ出さずに、ギュッと両手で拳を握りしめて力強く宣言したのだ。


「ぼ、ぼくは……! 2番目でも、全然大丈夫ですからっ!!」


はじめへの好意と「お兄様」の隣にいたいという欲求が、ついにダダ漏れになってしまった瞬間だった。


「ぷっ……はははっ」


「あははは、イオリちゃん必死すぎ!」


そのあまりにも健気で斜め上の決意表明に、はじめとマナは思わず顔を見合わせて吹き出してしまった。


笑われたイオリは「ふぇぇ……」と顔を限界まで真っ赤に茹で上げ、両手の人差し指をツンツンと合わせながらモジモジと恥ずかしそうに俯いてしまった。


場面は変わり、リビング。


朝食の片付けもすっかり終わり、皆がひと息ついたところで、タバコをふかしていたクレアが静かに切り出した。


「さて……そろそろ、エアリアルとの戦いで壊れた隣町の『修復』のために、出かけた方がいいんじゃないか? いつまでも放っておくわけにはいかないだろう」


「あ、そうだね! すっかり忘れるとこだった!」


マナがポンと手を打つ。


話し合いの結果、町の修復に向かうのは、マナ、はじめ、イオリ、カエデ、クレアの5人に決まった。


玄関先まで見送りに来たリフリッジは、昨日の修羅場が嘘のように、まるでお出かけする夫を見送る新妻のような、完璧で晴れやかな笑顔を浮かべていた。


「気をつけてね、お兄ちゃん! 皆が戻ってきたら、とびっきりのご馳走を用意して待ってるからね!」


はじめの背中に向かって、元気よく手を振るリフリッジ。


その後ろを歩きながら、イオリはこっそりと胸を撫で下ろしていた。


(よかった……さっきの『2番目でも大丈夫』っていうやり取り、リフリッジさんに聞かれてなくて、本当によかった……)


背筋に冷たい汗をかきながらも、イオリは足取りも軽くはじめの後を追う。


こうして一行は、親父の残した謎と手紙の重みを一旦胸に秘めつつ、エアリアルとの戦闘によって破壊された隣町へと歩みを進めるのだった。

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