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家系図のバグと、足りない信仰心

マナが両手に集めた黄金色の魔力を空間に放つと、何もない白い空中に光の線が走り、巨大なホログラムの『家系図』が浮かび上がった。


「まずは、はじめちゃんのルーツからさかのぼってみるね」


マナが空中のパネルを指先で操作すると、はじめを起点とした光の樹形図が上へと広がっていく。


しかし、どれだけ先祖を辿っても、光の線は穏やかな青色のままだ。


「神龍」はおろか、龍族との繋がりを示すような特異な反応や接点は、全く見当たらなかった。


「……じゃあ、次は義理のお母さんを見てみるか」


はじめの提案で義母の家系を展開するが、当然ながら龍との繋がりはない。


「母さんも見てみよう」


実の母親も見てみるが接点は見当たらない

「それなら、親父だ」


しかし、仮面の青年に人質にされていた父親の家系をどこまで遡っても、やはり完全に人間の血筋だった。


「どうなってるんだ? まったく接点がないじゃないか……」


はじめは頭を抱えた。


青年の「神龍の一族」という言葉は、ただの勘違いやハッタリだったのだろうか。


「うーん……おかしいね。あんなにはっきり名指ししてたのに」


マナも小さな腕を組み、空中の家系図を睨みつけながら困惑している。


しばらくの間、二人は沈黙して考え込んでいた。


その時、はじめの脳裏にある思いつきがよぎった。


「そういえば……リフリッジだけ父親が違うよな…」


はじめはふと顔を上げた。


「俺や親父たちに何もないなら……念のために、リフリッジのルーツも見てみるか?」


「わかった、やってみる!」


マナがパネルを操作し、リフリッジを起点とした家系図を新たに展開した。


スゥッ……と光の線が伸びていくが、途中でマナの指がピタリと止まった。


「……あれ?」


はじめも目を丸くした。


リフリッジの家系図の中に、一つだけ明らかに奇妙な部分があったのだ。


リフリッジの『父親』にあたる部分のパネルだけが、まるでシステムエラーを起こしたように黒く塗りつぶされ、選択できなくなっていた。


「なんだこれ。ロックがかかってるのか?」

はじめが近づいて覗き込む。


「ちょっと待って、私が神の権限で強引に解析してみるから!」


マナが気合を入れ、その黒く塗りつぶされた項目に向かって、指先に魔力を込めて「えいっ!」と突っついた。


『ピポッ』


無機質な電子音と共に、空中に赤い警告メッセージのウィンドウがポンッと飛び出した。


【警告:信仰心が足りません】


「…………は?」


はじめは自分の目を疑った。


「なんだこれ…… 『信仰心が足りません』って何!?」


あまりにもメタ的でシステムライクな警告文に、はじめは素で困惑の声を上げた。


しかし、神様であるマナにとって、このメッセージが意味する事実はあまりにも残酷で、物理的なダメージよりも深く心に突き刺さるものだったらしい。


「うぅ……っ、私の……私の信仰ポイント(パワー)が足りないせいで、情報が開示できないなんて……っ」


マナは涙目になり、自らの神としての力不足と信者不足というシビアな現実を突きつけられ、ガックリと肩を落としてその場にうなだれてしまった。


真っ白な夢の世界に、赤いエラーメッセージの光と、マナの悲しげなすすり泣きだけが虚しく響いていた。

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