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現場のオーナーと、張り切る青龍

翌朝。


はじめ、クレア、アズマの三人は、ニール鉱山での救助活動に向かうべく、屋敷の玄関前に集まっていた。


「私たちはここで待ってるから。何かあったら、『信者の絆』で念話を飛ばしてね。すぐに対応するから」


マナがはじめを見上げて、頼もしくウインクしてみせる。


今回は危険な現場ということもあり、マナとカエデは、オーナーの厚意で屋敷に待機させてもらうことになったのだ。


「はじめちゃん、お父さん見つかるといいね! 気をつけていってらっしゃーい!」


カエデも大きく手を振り、笑顔で見送ってくれた。


昨夜は色々あったが、純粋に応援してくれるその姿にはじめは勇気づけられ、「ああ、行ってくる」と力強く頷いた。


そこへ、屋敷の奥からオーナーが歩み寄ってきた。


昨日の仕立ての良いパリッとしたスーツ姿とは打って変わり、分厚い布地のジャケットに頑丈なブーツ、頭にはヘルメットという、完全に現場作業に適した服装に着替えていた。


「お待たせしました。準備はよろしいですか?」


オーナーのその姿を見て、クレアは感心したように目を細めた。


「……若いのに関心な事だな、自ら危険な現場に赴くとは」


「ニール鉱山を預かる責任者として、当然の事ですよ」


オーナーは嫌味のない爽やかな笑顔で答え、ヘルメットの紐を締め直した。


「よし。隊列は昨日の打ち合わせ通りに行こう。私が先頭、はじめが真ん中、アズマが殿しんがりだ」


クレアがオーナーに配置を告げると、オーナーも「わかりました。私は皆さんの案内に徹します」と頷いた。


一行は屋敷を出て、荒々しい岩肌が剥き出しになったニール鉱山へと足を踏み入れた。


露天掘りの巨大なクレーターのような地形を横目に、さらに奥の坑道口へと進んでいく。


周囲には崩落した土砂や岩が散乱しており、事故の生々しい爪痕が残されていた。


坑道の入り口に差し掛かったところで、アズマが一歩前に出て、真剣な表情でオーナーに申し出た。


「オーナーさん。はじめさんのお父様を探すのももちろんですが、まずは地滑りなどで土砂に埋まり、まだ行方不明になっている作業員の方々を優先して救助させてください」


アズマの言葉に、はじめは少し驚いたが、すぐに(そうだな、人命救助が先決だ)と心の中で同意した。


オーナーはアズマのその真っ直ぐな言葉を聞き、深く、深々と頭を下げた。


「ありがとうございます……! そう言っていただけると、本当にありがたい。


龍族の方がその強大な力を貸していただけるのなら、これほど心強いことはありません」


「ふふっ。任せてください!」


アズマは胸を張り、普段のオドオドとした自信のなさはどこへやら、非常に頼もしい態度を見せた。


(……アズマのやつ、キシアの町にいた頃はずっと一人ぼっちで、誰かに頼られることなんてなかったからな。


自分の力が人の役に立つのが嬉しくて、張り切っているのかな)


はじめは、少し微笑ましい気持ちでアズマの背中を見つめた。


はじめの視線に気がついたアズマは、クルッと振り返り、「ふんすっ!」と得意げに鼻息を鳴らして見せた。


(……なんだろう。あのドヤ顔、なんかカエデに似てきたな……)


はじめは内心でツッコミを入れつつ、少しだけ緊張がほぐれるのを感じた。


「では、行きますよ。下がっていてください」


アズマが崩落した巨大な岩の前に立ち、首元に下げた鎖を握りしめる。


意識を集中させると、アズマの胸元にある『青い勾玉』が、まるで深い海のように脈打つような青白い光を激しく放ち始めた。


龍の力が人間の器を通して解放されようとしている

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