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織花童話集Ⅱ  作者: 織花かおり


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23/24

23、小人の靴工場

仕事ができない人はできる人に迷惑をかけるような気がして、縮こまりがちですよね。

でも、小人の靴工場では様子が違うようですよ?

 森の奥に小さな小人たちの靴工場があります。

ここでは妖精たちの靴をつくっていて、その靴は軽く、きれいな色で、良い香りもして妖精たちに大人気でした。


 その靴工場に、3日でくびになるのを繰り返している若い小人が入ってきました。

若い小人は緊張していますが、社長はにこにこの笑顔。

さっそくその若い小人に仕事を頼みました。


 まず材料となる季節の花ばなを取ってくる仕事を任せることにしました。

 工場の庭に咲いているので、簡単に取ってこられるだろうとみんな思ったようです。

「らんらんらん」

ところが……

スキップしてでかけた若い小人は美しい花々に目移りしているうちに、工場の庭で迷子になってしまいました。

若い小人は、とんでもなく方向音痴だったのです。


 社長に工場に連れ戻された若い小人は、小さくなって謝りました。


 次に社長は、花びらを妖精の足にそって採寸する仕事を任せることにしました。

 きれいな妖精たちと仲良くなるチャンスなので、人気の仕事です。

「いたいっ」

 ところが、その若い小人は妖精の足をペンでつついてしまい、妖精の女の子が泣いてしまいました。

若い小人は、とんでもなく人に見られるときんちょうして失敗するタイプだったのです。


 妖精にぺこぺこ謝った若い小人は、社長にも小さくなって謝りました。


 次に社長は、花びらを靴の形にそよ風の糸で縫って仕上げる仕事を任せました。

 そよ風の糸は貴重品なので、その糸をさわれるだけで喜ぶ小人がいるくらいです。

「糸が見えないっ」

ところが、その若い小人は透明なそよ風の糸を見失ってしまい、みんなで探す羽目になりました。

若い小人は、とんでもなくおっちょこちょいだったのです。


 みんなにぺこぺこ謝った若い小人は、社長にも小さくなって謝りました。


 社長はそれでも笑顔で、「慣れるまで見学したらどうだい!」と言いました。


そういうわけで、若い小人は、ベテランの小人さんたちについて仕事を見学するようになったのです。


 花摘みのベテラン小人さんは、早起きしてあさつゆが光るバラの花びらを「ありがとう」と言いながら、丁寧に摘みました。

若い小人はそれを見て、「そんなに感謝の思いをこめるなんて、だからあなたの摘んだ花びらは、とりわけ色があせず、香りもなくならないのですね。きっとそのバラもあなたに摘まれてよかったと思っているでしょう」と感激したのです。

 花摘みのベテラン小人さんは、たいそうよろこびました。


 採寸係のベテラン小人さんは、きれいな妖精たちと仲良しで、足のサイズやとくちょうが頭にすっかり入っていて、「妖精たちの足はとても柔らかですぐ傷ついてしまうから、赤ちゃんを扱うように採寸するのさ」とペンを走らせました。

若い小人はそれを見て「そんなに大切に足を守っているなんて、だからあなたは妖精さんたちから必要とされているだけでなく、信用されているのですね」と感激したのです。

 採寸係のベテラン小人さんは、たいそうよろこびました。


 靴を仕立てるベテラン小人さんは、透明なそよ風の糸がなくならいよう、必ず糸の始まりに赤い糸をつけていて、「このそよ風の糸はね、風の妖精が早起きして気持ちが向いた時に作るだけだから、とても貴重なんだ。だから、絶対になくさないよう大切に扱うのさ」とそよ風の糸を箱につめました。

若い小人はそれを見て、「こんなに責任感があるだけでなく大切にしているから、この工場には貴重なそよ風の糸がたりなくなることがないのですね」と感激しました。

 靴を仕立てるベテラン小人さんは、たいそうよろこびました。


 3日たっても、7日たっても、若い小人はなにもできないままでした。

そしてひと月がたったころになっても、やはり失敗ばかりだったのです。


 しかし、社長もベテラン小人さんたちも、一言も「やめろ」とは言いませんでした。

その若い小人がいると、ベテラン職人の小人の機嫌がいいからです。


 ほら、うわさをすれば妖精たちがあの小人についてささやき始めました。

「あの子がいるので、靴を作りにいくのが楽しみになったわ」

「ほんと。あの子、ありがたそうに靴をみて、さわって、みんなの心をうきたたせる」

「あの子、この靴工場のムードメーカーよね」


 今日も若い小人は見学しながら、職人の小人の仕事を感激しながら見て、おつかれさまですと頭を下げるのでした。


 こんな仕事でないような仕事をする小人がいる靴工場、あなたものぞいてみたくなったでしょう?




おわり



最後までお読みくださり、ありがとうございました!

織花も仕事ができないタイプなので、迷惑ばかりかけてきました。

でも、自分に合った仕事は必ずあるものですし、仕事が遅かったり、失敗ばかりでも、きっとこの若い小人が出会った「靴工場」のような場所は、あなたにもきっとあると思います。

がんばりましょう!

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作成:コロン様
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※※2026年度ドワーフ鍛冶屋組合幹部候補生研修セミナー資料より抜粋 今回、ドワーフの鍛冶屋組合の幹部候補生研修の教材としてこの小人の靴工場のお話を使用するにあたって、最も大切なポイントは、これを単…
靴工事のみんなは、日々当たり前のように仕事をしていながら、それぞれに本当に凄い仕事をしているのですよね。自分がうまくできない分、若い小人からみると、そのことを率直に感じることができて。 若い小人の、…
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