19、つゆの神さまのなやみごと
雨好きな作者は、これからの季節が楽しみで仕方ないです。
しとしと。ザーザー。ぽつぽつ、ゴロゴロピカッザー。つゆの神様は、どんな雨の音をきいても「は~っ」とため息をつきました。
つゆの神さまというくらいですから、この神さまのおしごとは雨をふらせて、農作物を育てること。でも、なぜかきらわれるのです。
「また、雨かぁ」
「いやになるなぁ」
「かみがた、きまらな~い」
つゆの神さまは、けっこうなガラスのハートのもち主。子供たちが下げた、のきさきのテルテルぼうずを見て、ひどくおちこみました。そして、けっしんしたのです。
「よし!私は人にすかれる神さまになるぞ!」
何をするのかと思ったら、それはそれはきらきらかがやくえがおで、ぱぱぱ~ん。キャンディをふらせたではないですか!
「このアメなら、人もかんげいするだろう?」
人間たちは、大よろこび!
キャンディをひろって口にぽい!
「あま~い」
「おいし~い」
気をよくした神さまは、それを一週間つづけました。
ところが……
「むしばになった~」
「ふとった~」
「犬がひろいぐいしてこまる」などの声が聞こえてきました。
とどめは……
「アメなんてふらすなよ~」。
「ううむ、キャンディもだめか。さすれば……」と、今度はそれはそれはがっつりじしんのある顔で、ぱぱぱ~ん。お金をふらせたではありませんか!
「人間は、お金がすきだろう?」
ところが、お金がふりはじめたとたん、あちこちでケンカがはじまりました。
「ちょっと!それ、わたしのお金よ!」
「よこどりしたのは、あんただろう」
「ずるい!それうちのにわに落ちてきたのに!」
「はやいものがちだ!」
神さまは、いそいでお金をふらすのをやめました。
「ううむ、お金もだめだ。いったい何をふらせばよいのやら」
よくよくまいりながらも、今度はそれはそれはどきどきいのるような顔をして、ぱぱぱ~ん。夏に雪をふらせたではありませんか!
「これなら暑さもやわらぐし、ふりすぎなければ、子供たちはよろこぶだろう?」
ところが……
「うわぁ、かぜをひいた」
「夏ようのタイヤだから、車がスリップした」
「せっかく長そでの服をしまったのに、またださなきゃならない。めんどうくさい」
神さまは、頭をかかえました。
「どうすりゃいいんじゃい」
そして、とうとう仕事をほっぽりだして、いっさい何もふらさなくなりました。
毎日毎日お日様がにこにこ照らしています。
それが一週間、二週間と続き……。
ニュースになり始めた頃、つゆの神さまはひびわれたガラスのハートをガムテープでくっつけたような顔をして、地上の様子をうかがいました。
一番にこまった声をあげていたのは、農家の人たちです。
「こんなにだいじなじきに雨がふらないなんて。農作物がそだたない」
「お米が大凶作になりそうだ」
そして、人々も
「飲み水がたりなくなったら、どうしよう?」
「ダムの貯水率2パーセントきったって」
日本中でテルテルぼうずが、のきしたに下げられました。家々には、白、赤、青、ピンクなどの色とりどりのテルテルぼうずがずら~り。ただし、ふつうのテルテルぼうずではありません。そう、さかさテルテルぼうず、雨をねがったのです。
つゆの神様は、「ふへへへへ」とやっときげんをなおして、ずばばーんとこれぞつゆの神さまという顔をして、ぱぱぱ~ん、ぱぱぱ~ん、ぱぱぱ~ん。今度こそ、雨をふらせました。
「わぁ、雨だ~~~!!」
「お花もかたつむりもよかったね」
「稲が育つぞ~~~!」
「あめあめふれふれ、かあさんが~~~♪」
つゆの神様のガラスのハートがこれ以上ないくらいきらきらして、雨も心なしか輝いているような気がする夏でした。
おしまい
読んでいただき、ありがとうございました!
何か感じたことなどございましたら、感想などで教えていただけたら嬉しいです。




