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織花童話集Ⅱ  作者: 織花かおり


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19/20

19、つゆの神さまのなやみごと

雨好きな作者は、これからの季節が楽しみで仕方ないです。

 しとしと。ザーザー。ぽつぽつ、ゴロゴロピカッザー。つゆの神様は、どんな雨の音をきいても「は~っ」とため息をつきました。

つゆの神さまというくらいですから、この神さまのおしごとは雨をふらせて、農作物を育てること。でも、なぜかきらわれるのです。


 「また、雨かぁ」

 「いやになるなぁ」

 「かみがた、きまらな~い」


 つゆの神さまは、けっこうなガラスのハートのもち主。子供たちが下げた、のきさきのテルテルぼうずを見て、ひどくおちこみました。そして、けっしんしたのです。

「よし!私は人にすかれる神さまになるぞ!」


 何をするのかと思ったら、それはそれはきらきらかがやくえがおで、ぱぱぱ~ん。キャンディをふらせたではないですか!

「このアメなら、人もかんげいするだろう?」


 人間たちは、大よろこび!

キャンディをひろって口にぽい!

「あま~い」

「おいし~い」

気をよくした神さまは、それを一週間つづけました。


 ところが……

「むしばになった~」

「ふとった~」

「犬がひろいぐいしてこまる」などの声が聞こえてきました。

とどめは……

「アメなんてふらすなよ~」。


 「ううむ、キャンディもだめか。さすれば……」と、今度はそれはそれはがっつりじしんのある顔で、ぱぱぱ~ん。お金をふらせたではありませんか!

「人間は、お金がすきだろう?」


 ところが、お金がふりはじめたとたん、あちこちでケンカがはじまりました。

「ちょっと!それ、わたしのお金よ!」

「よこどりしたのは、あんただろう」

「ずるい!それうちのにわに落ちてきたのに!」

「はやいものがちだ!」


 神さまは、いそいでお金をふらすのをやめました。

「ううむ、お金もだめだ。いったい何をふらせばよいのやら」

よくよくまいりながらも、今度はそれはそれはどきどきいのるような顔をして、ぱぱぱ~ん。夏に雪をふらせたではありませんか!

「これなら暑さもやわらぐし、ふりすぎなければ、子供たちはよろこぶだろう?」


 ところが……

「うわぁ、かぜをひいた」

「夏ようのタイヤだから、車がスリップした」

「せっかく長そでの服をしまったのに、またださなきゃならない。めんどうくさい」


 神さまは、頭をかかえました。

「どうすりゃいいんじゃい」

そして、とうとう仕事をほっぽりだして、いっさい何もふらさなくなりました。


 毎日毎日お日様がにこにこ照らしています。

それが一週間、二週間と続き……。

ニュースになり始めた頃、つゆの神さまはひびわれたガラスのハートをガムテープでくっつけたような顔をして、地上の様子をうかがいました。


 一番にこまった声をあげていたのは、農家の人たちです。

「こんなにだいじなじきに雨がふらないなんて。農作物がそだたない」

「お米が大凶作になりそうだ」

そして、人々も

「飲み水がたりなくなったら、どうしよう?」

「ダムの貯水率2パーセントきったって」


 日本中でテルテルぼうずが、のきしたに下げられました。家々には、白、赤、青、ピンクなどの色とりどりのテルテルぼうずがずら~り。ただし、ふつうのテルテルぼうずではありません。そう、さかさテルテルぼうず、雨をねがったのです。


 つゆの神様は、「ふへへへへ」とやっときげんをなおして、ずばばーんとこれぞつゆの神さまという顔をして、ぱぱぱ~ん、ぱぱぱ~ん、ぱぱぱ~ん。今度こそ、雨をふらせました。


 「わぁ、雨だ~~~!!」

 「お花もかたつむりもよかったね」

 「稲が育つぞ~~~!」

 「あめあめふれふれ、かあさんが~~~♪」



 つゆの神様のガラスのハートがこれ以上ないくらいきらきらして、雨も心なしか輝いているような気がする夏でした。


おしまい


読んでいただき、ありがとうございました!

何か感じたことなどございましたら、感想などで教えていただけたら嬉しいです。

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織花かおりの作品
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作成:コロン様
― 新着の感想 ―
みんなに喜んでもらいたい神様の奮闘、なんだか可愛いです。それなのに喜ばなくなる人間たち。ひび割れたガラスのハートをガムテープで止めたような、の表現が良いなと思いました。 最後、本来の季節のありがたさみ…
雨が楽しくなるようなお話でした。 織花さまは雨がお好きなんですね。私は好きな時もありますが、どうも気分が落ちてくることが多くて。もうすぐ梅雨になってしまうと思い、どんよりしていたのですが、これを読んで…
つゆの神さまが実はガラスのハートで…という冒頭から惹き込まれました。たしかに天気予報などでは雨より晴れが好まれている気もしますね。みんなに喜んでほしくて、雨ならぬアメを降らせたり、色々試すところもとて…
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