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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第九十九話 スキピオがアフリカへ攻めてくる前に、カルタゴ本国の防衛を見直すことにした

紀元前205年。

カルタゴ。

俺は、港に並ぶ商船を見つめていた。

かつて、カルタゴは地中海の交易を支配する大国だった。

だが、今は違う。

ローマとの戦争が長引き、各地の交易路が危険になっている。

ヒスパニアでは、カルタゴ軍が後退した。

イタリアでは、ハンニバルとハスドルバルが戦い続けている。

そして、ローマはアフリカへの侵攻を考え始めていた。

俺は呟いた。

「……いよいよ、本国か」

メルカルが尋ねた。

「ローマ軍が来るんですか?」

俺は頷いた。

「可能性は高い」

俺は、カルタゴの防衛体制を調べ始めた。

城壁。

港。

倉庫。

そして、周辺の農村。

俺は帳簿を見つめた。

「……食料備蓄が足りないな」

メルカルが頷いた。

「長期戦を想定した量ではありません」

俺はため息をついた。

「……まずいな」

俺は、元老院へ提案した。

「アフリカへの侵攻に備え、食料備蓄を増やしたいと考えています」

ハンノが尋ねた。

「ローマ軍が、わざわざ海を越えて来るというのか?」

俺は頷いた。

「可能性があります」

ハンノは鼻を鳴らした。

「ローマは、イタリアでハンニバルと戦っている」

俺は答えた。

「だからこそ、カルタゴ本国を攻撃することで、ハンニバルを帰国させようとするかもしれません」

議員たちは、顔を見合わせた。

一人が尋ねた。

「本当に、そのようなことが可能なのか?」

俺は答えた。

「ローマには艦隊があります」

「……」

「そして、ヒスパニアで経験を積んだ指揮官がいます」

俺は続けた。

「スキピオです」

ハンノは腕を組んだ。

「……あの若い将軍か」

俺は頷いた。

「はい」

「カルタゴ・ノウァを奪った男だな」

「そうです」

俺は続けた。

「彼は、単に戦場で勝つだけではありません」

「……」

「現地勢力との交渉にも長けています」

「……」

「アフリカへ来れば、ヌミディアの勢力と協力する可能性があります」

議場が静かになった。

俺は言った。

「だから、今のうちに準備したいんです」

元老院は、ようやく一部の予算を承認した。

食料備蓄。

城壁の補修。

港の警備。

そして、沿岸部の見張り。

俺は頷いた。

「……よし」

だが、問題は残っていた。

ヌミディアだ。

俺は、マシニッサとの交渉状況を確認した。

まだ、正式な協定は結ばれていない。

俺はため息をついた。

「……遅いな」

メルカルが頷いた。

「元老院の議論が続いています」

俺は呟いた。

「……時間がないんだけどな」

そのころ。

ローマでは、スキピオがアフリカ遠征の準備を進めていた。

スキピオは、地図を見つめていた。

カルタゴ。

ヌミディア。

そして、アフリカ沿岸。

将校が尋ねた。

「本当にアフリカへ向かうのですか?」

スキピオは頷いた。

「イタリアでハンニバルを追い続けても、戦争は終わらない」

「……」

「ならば、カルタゴ本国を攻撃する」

将校が尋ねた。

「ハンニバルは?」

スキピオは答えた。

「本国が危険になれば、帰国せざるを得ない」

俺は、その情報を受け取った。

「……やっぱり、そう来るか」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「まず、カルタゴを守る」

「……」

「それから、ハンニバルに連絡する」

俺は、ハンニバルへ書簡を書いた。

『ローマ軍がアフリカ遠征を準備している可能性があります』

『本国の防衛を進めています』

『今後、帰国を求められる可能性があります』

そして、最後に書いた。

『ただし、帰国する場合でも、軍を分散させないよう注意してください』

数週間後。

ハンニバルから返事が届いた。

俺は封を開いた。

『アドンへ』

『本国が危険なら、帰国も考えなければなりません』

『しかし、イタリアでの戦いを無駄にはしたくありません』

俺は頷いた。

「……そうだよな」

その夜。

俺は、カルタゴの城壁の上から海を見つめていた。

暗い海。

遠くの船の灯り。

そして、静かな港。

俺は呟いた。

「……ここまで来たか」

本来の歴史では、ローマ軍はアフリカへ侵攻する。

そして、カルタゴはハンニバルを呼び戻す。

その先にあるのが、ザマの戦いだ。

俺は拳を握った。

「……今度こそ、変えてみせる」

そのとき。

メルカルが駆け寄ってきた。

「アドン殿!」

俺は顔を上げた。

「どうした?」

メルカルは答えた。

「ヌミディアから、緊急の使者です!」

俺は眉をひそめた。

「……マシニッサか?」

メルカルは頷いた。

「はい!」

使者は、俺に書簡を差し出した。

俺は封を開いた。

そこには、短い文章が書かれていた。

『カルタゴの決断を待つ時間は、もう長くない』

『私には、ヌミディアの未来を選ぶ責任がある』

俺は、しばらく黙っていた。

そして、呟いた。

「……最後通告か」

俺は、すぐに元老院へ向かった。

「マシニッサから書簡が届きました!」

議員たちが顔を上げた。

俺は続けた。

「もう、時間がありません!」

ハンノが尋ねた。

「何を求めている?」

俺は答えた。

「ヌミディアの自治と、統一についての明確な方針です」

議場がざわめいた。

俺は言った。

「今ここで決めなければ、ローマが決めることになります」

議員たちは、黙った。

そして。

カルタゴ元老院は、ついに重大な決断を迫られた。

ヌミディアの統一を認めるのか。

それとも、マシニッサをローマ側へ追いやるのか。

その選択が、数年後のザマの戦いを左右することになる。

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