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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第九十六話 ハンニバルとハスドルバルが十年以上ぶりに再会したので、ローマ軍が大慌てになった

紀元前207年。

イタリア中部。

丘陵地帯。

朝霧の向こうに、カルタゴ軍の旗が見えた。

俺は馬の上から、その光景を見つめていた。

「……あれだ」

メルカルが頷いた。

「ハスドルバル将軍の軍ですね」

「そうだ」

俺は胸が熱くなるのを感じた。

ここまで、長かった。

アルプス越え。

ヒスパニアでの敗北。

メタウルスの戦い。

そして、ローマ軍の追撃。

何度も失敗しかけた。

何度も、もう駄目だと思った。

だが。

ついに、二つの軍が同じ場所へ到着した。

ハンニバルは、馬を進めた。

向こうからも、一人の将軍が馬を走らせてくる。

ハスドルバルだった。

二人は、互いの姿を確認した。

そして、馬から降りた。

「……兄上!」

ハスドルバルが叫んだ。

ハンニバルは、少し笑った。

「久しぶりだな」

次の瞬間。

二人は、強く抱き合った。

周囲の兵士たちが歓声を上げた。

「ハンニバル将軍!」

「ハスドルバル将軍!」

「兄弟が合流したぞ!」

俺は、その光景を見つめていた。

メルカルが呟いた。

「……本当に、合流できましたね」

俺は頷いた。

「……ああ」

そして、小さく言った。

「歴史が変わった」

ハスドルバルは、兄を見つめた。

「兄上、長い間、お会いできませんでした」

ハンニバルは頷いた。

「お前も苦労したようだな」

「メタウルスでは、危うく命を落とすところでした」

「聞いている」

ハンニバルは静かに続けた。

「生きていてくれて、よかった」

ハスドルバルは、少し笑った。

「兄上も」

その日の午後。

合同軍議が開かれた。

ハンニバル。

ハスドルバル。

そして、両軍の将校たち。

俺も参加した。

ハンニバルが言った。

「まず、兵力を確認しましょう」

ハスドルバルが頷いた。

「私の軍は、メタウルスで大きな損害を受けました」

「それでも、戦える兵士は残っています」

「はい」

俺は帳簿を広げた。

「補給については、しばらく維持できます。

ただし、二つの軍が合流したことで、食料の消費も増えています」

ハンニバルは頷いた。

「重要な問題ですね」

俺は続けた。

「兄弟が合流したからといって、すぐにローマへ進軍するのは危険です」

ハスドルバルが尋ねた。

「なぜだ?」

「兵士が疲れています」

俺は答えた。

「それに、ローマ軍はまだ健在です」

ハンニバルは頷いた。

「そのとおりです」

俺は地図を広げた。

「まず、周辺のローマ軍の配置を確認したい」

ハンニバルが頷いた。

「必要ですね」

「それから、補給拠点を整備する」

ハスドルバルが笑った。

「……また補給か」

俺は苦笑した。

「はい。

また補給です」

そのころ。

ローマ元老院には、重大な報告が届いていた。

『ハンニバルとハスドルバルの軍が合流』

議場は騒然となった。

「何だと!」

「メタウルスで敗れたはずではないのか!」

「ハスドルバルは生き残っていた!」

「そして、ハンニバルと合流しただと!」

一人の議員が叫んだ。

「これは危険だ!」

別の議員が反論した。

「まだカルタゴ軍が勝ったわけではない!」

「だが、二つの軍が合流したのだぞ!」

議場は混乱した。

やがて、年長の議員が立ち上がった。

「静粛に!」

議員たちが黙った。

「我々は、これまでハンニバルを南部に封じ込めてきた」

「……」

「だが、今や彼は北上し、弟の軍と合流した」

議員は続けた。

「これまでの戦略を見直す必要がある」

ローマは、各地の軍へ新しい命令を出した。

『カルタゴ軍の動向を監視せよ』

『主要都市の防衛を強化せよ』

『無理な決戦は避けよ』

俺は、その情報を聞いて頷いた。

「……ローマも慎重になったな」

メルカルが尋ねた。

「いいことですか?」

俺は答えた。

「少なくとも、今すぐ大軍で攻撃される可能性は減った」

「……」

「でも、その代わり長期戦になる」

俺は、ハンニバルへ相談した。

「このまま戦争を続けても、ローマは簡単には降伏しないと思います」

ハンニバルは頷いた。

「私もそう考えています」

俺は続けた。

「だから、軍事的な勝利だけじゃなくて、政治的な勝利も必要です」

ハンニバルが顔を上げた。

「……具体的には?」

俺は答えた。

「ローマの同盟都市です」

俺は地図を指差した。

「ローマは、同盟都市から兵士と食料を集めています」

ハンニバルが頷いた。

「はい」

「その同盟都市が、戦争を続けたくないと思い始めたら?」

ハスドルバルが答えた。

「ローマの戦力が弱まる」

俺は頷いた。

「そうです」

だが、ハンニバルは慎重だった。

「カプアの例があります」

俺は黙った。

カプア。

カルタゴ側についた都市。

そして、ローマに奪還された都市。

俺は頷いた。

「……そうですね」

ハンニバルは続けた。

「我々が同盟都市を守れなければ、再び同じことが起きます」

俺は答えた。

「だから、今回は守れる都市だけに協力を求めたい」

ハスドルバルが尋ねた。

「では、どうする?」

俺は答えた。

「まず、ローマ軍の補給を支えている地域を調べます」

「……」

「その中で、戦争による負担が大きい都市を探す」

「……」

「そして、無理に寝返らせるのではなく、停戦や中立の可能性を探ります」

ハンニバルは頷いた。

「……興味深い」

その夜。

俺は、地図を見つめていた。

ローマ。

カルタゴ。

そして、イタリア各地の都市。

ハンニバルとハスドルバルは合流した。

それは大きな成果だった。

だが。

俺は分かっていた。

これだけでは、ローマは倒せない。

俺は呟いた。

「……次は、ローマが戦争を続けられない状況を作る」

メルカルが尋ねた。

「どうやって?」

俺は答えた。

「兵士を倒すだけじゃなくて、戦争を続ける理由を減らすんだ」

そのとき。

新しい報告が届いた。

『ローマの一部同盟都市で、戦争負担への不満が高まっている』

俺は顔を上げた。

「……来たか」

メルカルが尋ねた。

「何がですか?」

俺は答えた。

「交渉の機会だよ」

二人の兄弟が合流したことで、カルタゴ軍は新しい戦力を得た。

そして、アドンは次の戦場を、都市と都市の交渉へ移そうとしていた。

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