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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第九十三話 ローマが食料を売るなと言うので、売らなくても食料が届く仕組みを作った

紀元前207年。

北イタリア。

ローマは、ハスドルバル軍への食料供給を禁止した。

違反した商人は財産を没収される。

協力した都市も処罰の対象になる。

俺は、その命令書の写しを読んでいた。

「……なかなか厳しいな」

メルカルが頷いた。

「当然でしょう。

ローマはハスドルバル将軍の軍を飢えさせたいんですから」

「そうだね」

「どうします?」

俺は帳簿を開いた。

「まず、食料を売ってくれる商人を探すのはやめよう」

メルカルが目を丸くした。

「諦めるんですか?」

「違うよ」

俺は地図を指差した。

「ローマの命令が届く都市から買うのをやめるんだ」

「……同じことでは?」

「全然違う」

俺は北方の山岳地帯を指差した。

「ローマの支配が及んでいない地域がある」

そこには、ガリア人の集落が点在していた。

「ガリア人から買うんですか?」

「それも一つの方法だ」

俺は続けた。

「ただし、軍が通るたびに食料を買い集めれば、村が飢える。

だから、それは避けたい」

「では?」

「村ごとに余剰分を調べて、買い取る量を決める」

メルカルは少し考えた。

「……つまり、村の冬越し用の食料は残す?」

「そう」

「ずいぶん親切ですね」

「親切というより、必要なんだ」

俺は言った。

「村が飢えれば、次から協力してくれなくなる」

数日後。

俺たちはガリア人の集落を訪れた。

村長は、こちらを見るなり不機嫌そうに言った。

「またカルタゴ人か」

俺は苦笑した。

「以前、何かありました?」

「軍隊が来るたびに麦を持っていく」

「代金は?」

「払うと言って、払わない」

俺は頭を下げた。

「それは申し訳ありません」

村長は鼻を鳴らした。

「謝罪で腹が膨れるか」

「膨れません」

俺は革袋を机に置いた。

中には銀貨が入っていた。

「だから、先に払います」

村長の目が変わった。

「……先に?」

「はい。

ただし、村が必要とする分は売らないでください」

「何?」

「来年の種麦も残してください」

村長は、しばらく俺を見つめた。

「お前、本当にカルタゴ人か?」

俺は笑った。

「ええ。

商人です」

交渉は成立した。

だが、問題は運搬だった。

ローマ軍は主要街道を監視している。

大量の荷車を動かせば、すぐに発見される。

俺は村長に尋ねた。

「この地方で、普段から穀物を運ぶ人は?」

「村の者だ」

「どこへ?」

「北の集落や市場だ」

俺は頷いた。

「その道を使わせてもらえませんか?」

村長は首を振った。

「軍隊を通すなら断る」

「軍隊は通しません」

「では何を?」

「食料を、北の集積所まで運びます」

俺は説明した。

集落から集落へ、少量ずつ輸送する。

最終的に、ローマ軍の監視が薄い地域でまとめる。

そこから、カルタゴ軍の護衛をつけて運ぶ。

危険な地域に村人を入れない。

「……そんな面倒なことをするのか?」

村長が尋ねた。

俺は答えた。

「軍隊一万人分の食料を、一度に運ぼうとする方が無理ですから」

十日後。

最初の食料が届いた。

大量ではない。

だが、確実に届いた。

メルカルが帳簿を見ながら言った。

「小麦、大麦、干し肉、豆……」

「馬の飼料は?」

「それも届いています」

「よし」

俺は頷いた。

しかし、メルカルは続けた。

「輸送費が高すぎます」

「分かってる」

「普通に買う場合の倍近い費用がかかっています」

「それも分かってる」

「……赤字ですよ」

俺はため息をついた。

「戦争って、基本的に赤字なんだよ」

メルカルが真顔で答えた。

「では、早く終わらせてください」

「俺に言うなよ」

その日の夕方。

ハスドルバルが補給拠点を訪れた。

「食料が届いたと聞いた」

「はい」

「ローマの封鎖を破ったのか?」

俺は首を振った。

「封鎖されていない場所から運びました」

ハスドルバルは笑った。

「なるほど。

敵の強い場所を避けたわけか」

「そうです」

将軍は倉庫を見回した。

「これで、どの程度持つ?」

俺は正直に答えた。

「軍を維持することはできます。

でも、大規模な南下を続けるには不足です」

ハスドルバルの笑みが消えた。

「……まだ足りないか」

「はい」

俺は地図を広げた。

「だから、次の作戦が必要です」

「どんな作戦だ?」

俺は答えた。

「今度は、ハンニバルに動いてもらいます」

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