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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第九十二話 メタウルスで負けたのにハスドルバルが生き残ったので、ローマ軍の追撃を商人の知恵でかわすことにした

紀元前207年。

北イタリア。

ハスドルバル軍は、ローマ軍の追撃を受けていた。

俺は、地図を見つめていた。

「……このまま南へ進むのは危険だな」

メルカルが頷いた。

「ローマ軍が街道を押さえています」

俺はため息をついた。

「……そうだよな」

ハスドルバルは、残存兵力を集めていた。

兵士たちは疲れ切っている。

負傷者も多い。

馬も不足している。

俺は尋ねた。

「現在、何日分の食料がありますか?」

補給責任者が答えた。

「節約しても、長くは持ちません」

俺は頷いた。

「……まずいな」

俺は、地図を広げた。

主要街道。

川。

山道。

そして、周辺の村。

俺は言った。

「大軍が通る道は、ローマ軍に監視されています」

ハスドルバルが頷いた。

「そうだな」

俺は続けた。

「だから、軍を一度に動かすのではなく、いくつかに分けて移動する方法を考えたい」

ハスドルバルは眉をひそめた。

「分散すれば、各個撃破される危険がある」

俺は頷いた。

「そのとおりです」

そして、続けた。

「だから、戦闘部隊を無理に分けるのではなく、荷車と負傷者の移動を先行させたいんです」

ハスドルバルは考え込んだ。

「……補給部隊だけを先に?」

俺は頷いた。

「はい」

「危険ではないか?」

「護衛をつけます」

俺は続けた。

「ただし、ローマ軍に軍の主力が移動したと思わせないようにします」

俺は、周辺の商人たちへ協力を求めた。

荷車。

馬。

そして、食料。

さらに、ローマ軍の検問所についても調べた。

メルカルが尋ねた。

「……商人たちは協力してくれますかね?」

俺は答えた。

「条件次第だよ」

「条件?」

「報酬を払う」

メルカルは苦笑した。

「……やっぱり」

俺は商人たちと会談した。

「荷車を貸してほしい」

商人の男が尋ねた。

「何に使う?」

俺は答えた。

「負傷者と食料の輸送です」

男は眉をひそめた。

「戦争に巻き込まれるのは御免だ」

俺は頷いた。

「分かっています」

そして、続けた。

「だから、危険な地域には行かせません」

男は考え込んだ。

「……報酬は?」

俺は答えた。

「通常の輸送費に、危険手当を加えます」

男は少し笑った。

「……話を聞こう」

数日後。

補給部隊の一部が、別の経路で移動を始めた。

俺は、その報告を受け取った。

「……よし」

メルカルが尋ねた。

「成功しますかね?」

俺は答えた。

「分からない」

「……」

「でも、何もしないよりはいい」

そのころ。

ローマ軍は、ハスドルバル軍の追撃を続けていた。

だが、カルタゴ軍の主力は、予想より慎重に移動していた。

ローマ軍の将校が報告した。

「敵は、大規模な南下をしていません」

ネロが眉をひそめた。

「……何をしている?」

将校が答えた。

「負傷者と荷車の移動を優先しているようです」

ネロは地図を見つめた。

「……軍を立て直すつもりか」

俺は、ハスドルバルへ提案した。

「追撃を受けている間は、大規模な戦闘を避けましょう」

ハスドルバルが頷いた。

「分かっている」

「そして、補給が整うまで待つ」

「……」

「ローマ軍が、いつまでも追撃を続けられるとは限りません」

ハスドルバルは尋ねた。

「なぜだ?」

俺は答えた。

「ローマ軍にも補給が必要だからです」

ハスドルバルは頷いた。

「……なるほど」

数週間後。

ローマ軍の追撃は、少しずつ弱まった。

俺は報告を見つめた。

「……よし」

メルカルが尋ねた。

「諦めたんでしょうか?」

俺は首を振った。

「諦めたわけじゃない」

「……」

「ただ、追撃を続けるにも限界があるんだ」

俺は、ハスドルバル軍の再編を進めた。

負傷者の治療。

食料の確保。

馬の補充。

そして、部隊の再配置。

俺は帳簿を確認した。

「……少しずつ戻ってきたな」

メルカルが頷いた。

「はい」

だが、問題は残っていた。

ハンニバルとの距離だ。

俺は地図を見つめた。

「……まだ遠いな」

メルカルが尋ねた。

「合流できますかね?」

俺は答えた。

「分からない」

そして、続けた。

「でも、今度は焦らない」

その夜。

ハスドルバルが、俺の天幕を訪ねてきた。

「アドン」

俺は顔を上げた。

「将軍」

ハスドルバルは言った。

「兄上に会いたい」

俺は頷いた。

「分かっています」

「だが、また同じように負けるわけにはいかない」

俺は答えた。

「そのとおりです」

ハスドルバルは、しばらく黙っていた。

そして言った。

「……次は、勝てる状況を作りたい」

俺は頷いた。

「はい」

俺は地図を広げた。

ハンニバル軍。

ハスドルバル軍。

ローマ軍。

そして、周辺の都市。

俺は言った。

「兄弟が合流するためには、ローマ軍の配置を変える必要があります」

ハスドルバルが尋ねた。

「どうやって?」

俺は答えた。

「ローマ軍が、北と南の両方に兵力を置き続けられない状況を作るんです」

ハスドルバルは考え込んだ。

「……具体的には?」

俺は答えた。

「南方で、ハンニバル軍に動いてもらう」

「……」

「そして、北方では、我々がローマ軍を引きつける」

ハスドルバルは頷いた。

「……なるほど」

俺は続けた。

「ただし、同時に動く必要があります」

ハスドルバルが頷いた。

「分かっている」

「連絡が遅れれば、また失敗します」

「……」

「だから、今回は事前に日程と合流地点を決めておきたい」

ハスドルバルは、少し笑った。

「……商人の仕事だな」

俺も笑った。

「納期を守るのは大事ですから」

その夜。

俺は、ハンニバルへ書簡を書いた。

『ハスドルバル軍は、再編を進めています』

『ローマ軍の追撃は弱まりつつあります』

『今後、兄弟の合流を実現するため、南北で連動した作戦を検討したいと考えています』

そして、最後に書いた。

『次は、敵にこちらの予定を決めさせないようにしましょう』

数週間後。

ハンニバルから返事が届いた。

俺は封を開いた。

『アドンへ』

『弟の軍が立て直しつつあることを嬉しく思います』

『南北で連動する作戦について、賛成します』

『ただし、ローマ軍も同じことを考えるでしょう』

俺は頷いた。

「……そうだよな」

俺は地図を見つめた。

ローマ軍。

ハンニバル軍。

ハスドルバル軍。

そして、イタリア半島。

俺は呟いた。

「……今度こそ、先に動く」

だがそのときメルカルが、新しい報告書を持ってきた。

「アドン殿!」

俺は顔を上げた。

「何?」

メルカルは答えた。

「ローマ軍が、北イタリアの都市へ新しい命令を出したようです!」

俺は眉をひそめた。

「……どんな命令?」

メルカルは報告書を読み上げた。

『カルタゴ軍への食料供給を禁止する』

『違反した商人については、財産を没収する』

俺は黙った。

そして、呟いた。

「……なるほど」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「ローマも、補給を狙ってきたな」

俺は、帳簿を閉じた。

ローマ軍は、戦場だけで勝とうとしているわけではない。

補給。

交易。

そして、都市の支配。

そのすべてを使って、カルタゴ軍を追い詰めようとしている。

俺は少し笑った。

「……面白くなってきた」

メルカルが呆れた顔をした。

「面白がっている場合ですか?」

俺は答えた。

「もちろん、困ってるよ」

そして、続けた。

「でも、相手が商売を止めようとするなら、こっちも商人として考えないとな」

戦場では敗北した。

だが、補給と交易の戦いは、まだ終わっていなかった。

そして、ハンニバルとハスドルバルの合流をめぐる戦いは、新しい段階へ進もうとしていた。

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