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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第九十話 ローマ軍に伝令を捕らえられたので、歴史どおりに負ける前に作戦を変更する

紀元前207年。

北イタリア。

俺のもとに届いた報告は、最悪だった。

『ハスドルバル軍の伝令が、ローマ軍に捕らえられた』

俺は目を閉じた。

「……やられた」

メルカルが尋ねた。

「重要な書簡を持っていたんですか?」

「その可能性が高い」

俺は地図を広げた。

「ローマ軍が、ハスドルバルの進路と合流計画を知ったかもしれない」

そのころ。

ローマ軍の陣営。

捕らえられた伝令の書簡が、執政官クラウディウス・ネロのもとへ届けられていた。

ネロは、書簡を読み進めた。

そして、顔を上げた。

「……ハスドルバルは、兄と合流するつもりか」

将校が頷いた。

「そのようです」

ネロは地図を見つめた。

「ならば、合流する前に叩く」

ネロは、南方のハンニバル軍を監視する部隊を残し、自ら精鋭を率いて北上する決断をした。

ハンニバルに気づかれないよう、夜間に移動する。

そして、北方のローマ軍と合流する。

それが、ネロの作戦だった。

数日後。

俺は、新しい報告を受け取った。

『南方のローマ軍の一部が、所在不明』

俺は顔を上げた。

「……ネロだ」

メルカルが尋ねた。

「ネロ?」

「南方のローマ軍を率いている執政官だよ」

俺は地図を指差した。

「こいつが、北へ向かった可能性がある」

メルカルは息を呑んだ。

「……ハスドルバル将軍を攻撃するために?」

「そうだ」

俺は、すぐにハンニバルへ連絡した。

『南方のローマ軍の一部が移動した可能性があります』

『ネロが北上した場合、ハスドルバル軍が危険です』

『敵の動きを至急確認してください』

同時に、ハスドルバルへも連絡を送った。

だが、問題があった。

どこにいるのか、正確に分からない。

俺は頭を抱えた。

「……これが、一番困るんだよ」

メルカルが尋ねた。

「何がですか?」

「連絡先が動いていることだ」

俺は、商人たちの連絡網を使うことにした。

北イタリアには、カルタゴと交易していた商人がいる。

彼らの中には、ローマ軍の移動を見ている者もいた。

俺は、複数の商人へ書簡を送った。

『ハスドルバル軍の位置を確認してください』

『ローマ軍の大規模な移動があれば、報告してください』

『危険な行動は避けてください』

数日後。

情報が集まり始めた。

ハスドルバル軍は、メタウルス川周辺へ接近している。

ローマ軍も、同じ地域へ集まりつつある。

俺は地図を見つめた。

「……やっぱり、ここか」

その夜。

俺は、ハスドルバル軍へ向かう商人の一団と会った。

「この書簡を届けてほしい」

商人の男が尋ねた。

「何が書いてある?」

俺は答えた。

「ローマ軍の増援についてだ」

男は頷いた。

「分かった」

俺は続けた。

「ただし、無理はしないでくれ」

男は笑った。

「商人は、命あっての商売だからな」

俺も少し笑った。

「そのとおりだ」

数日後。

書簡は、ハスドルバルの陣営へ届いた。

ハスドルバルは、内容を読んだ。

『南方のローマ軍が、北上した可能性があります』

『敵の兵力が増えている場合、決戦を避けてください』

『兄上との合流を最優先してください』

ハスドルバルは、しばらく考えていた。

そして、将校たちを集めた。

「敵の兵力が増えている可能性がある」

将校が尋ねた。

「どうします?」

ハスドルバルは答えた。

「まず、敵の陣営を調べる」

偵察兵が出された。

数時間後。

報告が届いた。

「敵の陣営に、見慣れない部隊がいます」

ハスドルバルが顔を上げた。

「……増援か?」

「その可能性があります」

ハスドルバルは頷いた。

「……アドンの警告どおりか」

その夜。

ハスドルバルは、軍議を開いた。

「ローマ軍が増援を受けた可能性が高い」

将校たちが顔を見合わせた。

一人が言った。

「ならば、撤退すべきです」

別の将校が反論した。

「撤退すれば、兄上との合流が遅れます!」

ハスドルバルは黙っていた。

やがて、ハスドルバルは言った。

「……夜間に移動する」

将校が尋ねた。

「どちらへ?」

「敵の正面を避け、別の渡河地点を探す」

俺の警告が、ようやく届いた。

そして、ハスドルバルは歴史とは違う判断をしようとしていた。

だが。

夜間の移動は、簡単ではなかった。

道が分かりにくい。

荷車が遅れる。

兵士たちも疲れている。

そして、川の水位が予想より高かった。

将校が報告した。

「渡河できる場所が見つかりません!」

ハスドルバルは眉をひそめた。

「……別の場所を探せ」

そのころ。

ローマ軍も、カルタゴ軍の動きを察知していた。

ネロは、報告を受けた。

「ハスドルバル軍が、夜間に移動しています」

ネロは頷いた。

「逃がすな」

翌朝。

ハスドルバル軍は、ローマ軍に追いつかれた。

俺は、その知らせを受け取った。

「……追いつかれた?」

メルカルが頷いた。

「はい」

俺は目を閉じた。

「……くそっ」

俺は地図を見つめた。

メタウルス川。

ローマ軍。

ハスドルバル軍。

そして、南方にいるハンニバル。

俺は呟いた。

「……まだ、間に合うか?」

だが、距離がありすぎた。

ハンニバルが今から北上しても、すぐには到着できない。

俺は拳を握った。

「……ハスドルバル、頼む」

そのころ。

ハスドルバルは、軍を戦闘隊形に並べていた。

「敵は、我々を逃がすつもりがない」

将校が頷いた。

「はい」

ハスドルバルは、静かに剣を抜いた。

「ならば、戦う」

そして、続けた。

「だが、全軍を失うつもりはない」

俺は、その場にいなかった。

だが、後に届いた報告によれば。

ハスドルバルは、戦闘開始前に一部の荷車を後方へ下げた。

負傷者。

補給物資。

そして、予備の馬。

さらに、撤退路を確保するための部隊を配置した。

俺は報告書を読みながら頷いた。

「……よし」

そして。

メタウルスの戦いが始まった。

ローマ軍が前進する。

カルタゴ軍が迎え撃つ。

両軍の兵士たちが激突した。

ハスドルバルは、戦場を見つめていた。

彼は知っていた。

ここで負ければ、兄ハンニバルと合流する夢は消える。

だが。

勝てば、戦争の流れが変わるかもしれない。

ハスドルバルは叫んだ。

「全軍、持ちこたえろ!」

歴史を変えるための戦いが、ついに始まった。

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