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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第八十八話 ハスドルバルがアルプスを越えて兄に会いに行くので、ローマ軍より先に合流場所を決めることにした

紀元前208年。

ヒスパニア北部。

ハスドルバル軍は、イタリアへ向かう準備を進めていた。

俺は、ハスドルバルの陣営を訪れていた。

「兄上と合流したい」

ハスドルバルは、地図を見つめながら言った。

俺は頷いた。

「そのために来ました」

ハスドルバルは尋ねた。

「兄上の状況は?」

俺は答えた。

「イタリア南部で戦っています」

「兵力は?」

「長年の戦闘で消耗しています」

ハスドルバルは頷いた。

「……やはり、援軍が必要だな」

俺は地図を広げた。

ヒスパニア。

ガリア。

アルプス。

そして、イタリア。

俺は言った。

「進軍そのものより、合流が難しいと思います」

ハスドルバルが尋ねた。

「なぜだ?」

俺は答えた。

「ローマ軍が、兄弟の合流を阻止しようとするからです」

ハスドルバルは頷いた。

「当然だろう」

俺は続けた。

「だから、合流地点を事前に決めたい」

「……」

「それから、複数の連絡経路を用意したい」

ハスドルバルは考え込んだ。

「なるほど」

俺は、ハンニバルへ送る書簡の案を見せた。

『ハスドルバル軍は、イタリア方面への進軍を計画しています』

『合流地点について、複数の候補を設定したいと考えています』

『敵に伝令を捕らえられる可能性を考慮し、連絡方法を分散させます』

ハスドルバルは頷いた。

「よい考えだ」

俺は続けた。

「ただし、合流地点を一か所に固定しない方がいい」

ハスドルバルが尋ねた。

「なぜだ?」

俺は答えた。

「ローマ軍に知られたら、待ち伏せされるからです」

ハスドルバルは少し笑った。

「商人らしい慎重さだな」

俺は苦笑した。

「戦争で大損したくないだけです」

ハスドルバルは笑った。

数日後。

俺は、ガリア方面の商人たちへ連絡した。

食料。

馬の飼料。

冬を越すための衣類。

そして、山道の情報。

メルカルが尋ねた。

「……またアルプスを越えるんですか?」

俺は頷いた。

「ハスドルバル軍はね」

「……大変ですね」

「大変だよ」

俺は、ハンニバルのアルプス越えを思い出していた。

雪。

寒さ。

落石。

そして、食料不足。

あのとき、多くの兵士を失った。

俺は呟いた。

「……同じことを繰り返したくないな」

俺は、山岳地帯の商人たちへ協力を求めた。

『安全な道を調査してください』

『補給可能な集落を確認してください』

『現地部族との交渉を進めてください』

そして、最後に書いた。

『住民から食料を奪うことなく、購入できる仕組みを作りたいと考えています』

数週間後。

報告が集まり始めた。

通行可能な峠。

補給できる村。

そして、危険な場所。

俺は地図に印をつけた。

「……よし」

メルカルが笑った。

「準備が進んでいますね」

俺は頷いた。

「そうだね」

だが、問題はあった。

ローマ軍が、ハスドルバルの動きを警戒している。

俺は報告を見つめた。

「……やっぱり、気づかれているな」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「進軍経路を、簡単には読まれないようにする」

俺は、ハスドルバルへ提案した。

「補給拠点を複数用意しましょう」

ハスドルバルが頷いた。

「分かった」

「それから、連絡役を増やしたい」

「……」

「敵に伝令を捕らえられても、別の伝令が届くようにします」

ハスドルバルは頷いた。

「重要だな」

数か月後。

ハスドルバル軍は、ガリア方面へ進軍を始めた。

俺は、後方の補給拠点から報告を受けていた。

『進軍は順調』

俺は頷いた。

「……よし」

だが、次の報告は厳しかった。

『一部の補給拠点で、食料の調達が難航』

俺は眉をひそめた。

「……やっぱり、簡単じゃないな」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「別の村へ協力を求める」

俺は、ガリア方面の商人たちへ追加の書簡を送った。

『無理な徴発は避けてください』

『購入できる食料を優先してください』

『必要であれば、輸送費を追加で支払います』

数週間後。

補給状況は、少しずつ改善した。

俺は帳簿を確認した。

「……よし」

だが、問題はまだあった。

アルプスを越えたあと、イタリアでローマ軍と遭遇する可能性がある。

俺は地図を見つめた。

「……ここからが難しいな」

その夜。

ハスドルバルから書簡が届いた。

『アルプス越えの準備は整いつつある』

『兄上との合流を必ず実現したい』

俺は頷いた。

「……頼むぞ」

俺は、ハンニバルへ新しい書簡を書いた。

『ハスドルバル軍は、イタリアへ向かっています』

『合流に備え、北方のローマ軍の動きを警戒してください』

『合流地点は、状況に応じて変更できるよう準備しています』

数週間後。

ハンニバルから返事が届いた。

『弟の到着を待っています』

俺は、少し笑った。

だが、続きがあった。

『ローマ軍は、我々の合流を阻止するため、兵力を集中させる可能性があります』

俺は頷いた。

「……そうだよな」

俺は地図を見つめた。

ハスドルバル。

ハンニバル。

そして、ローマ軍。

俺は呟いた。

「……あと少しなんだけどな」

だがそのとき新しい報告が届いた。

『ローマ軍が、北イタリア方面で部隊を集結させている』

俺は眉をひそめた。

「……やっぱり、動いたか」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「まず、敵の配置を確認する」

俺は地図を広げた。

ローマ軍の拠点。

街道。

河川。

そして、ハスドルバル軍の予想進路。

俺は呟いた。

「……このままだと、ぶつかるな」

メルカルが尋ねた。

「どこでですか?」

俺は、地図の一点を指差した。

「……メタウルス川の周辺だ」

メルカルは、その地名を見つめた。

「メタウルス……」

俺は頷いた。

「そう」

そして、静かに続けた。

「ここだけは、避けたい」

俺は、ハスドルバルへ緊急書簡を送った。

『イタリアへ入ったあと、ローマ軍との決戦を急がないでください』

『合流を最優先してください』

『特に、メタウルス川周辺の敵軍の動きに注意してください』

そして、最後に書いた。

『兄上との合流こそが、最大の目的です』

その夜。

俺は、遠くのアルプスを見つめていた。

ハンニバルが越えた山。

今度は、その弟が越えようとしている。

俺は呟いた。

「……兄弟が会えれば、歴史が変わるかもしれない」

だが。

ローマも、それを許すつもりはなかった。

紀元前207年。

メタウルスの戦い。

本来の歴史では、ハスドルバルが戦死する戦い。

その運命が、少しずつ近づいていた。

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