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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第八十六話 スキピオが捕虜を解放して味方を増やしているので、カルタゴも人質政策を見直すことにした

紀元前209年。

ヒスパニア。

カルタゴ・ノウァの陥落から、数週間が過ぎた。

俺は、残されたカルタゴ軍の拠点で報告書を読んでいた。

そこには、予想していた内容が書かれていた。

『スキピオは、捕らえた現地部族の人質を丁重に扱い、帰郷を認めている』

俺はため息をついた。

「……やっぱり、そう来たか」

メルカルが尋ねた。

「何が問題なんですか?」

俺は答えた。

「スキピオは、戦わずに味方を増やしているんだよ」

俺は地図を広げた。

ヒスパニアの部族。

カルタゴ側についている部族。

ローマ側についている部族。

そして、どちらにもついていない部族。

俺は言った。

「人質を返された部族は、どう思う?」

メルカルが答えた。

「……ローマに感謝するでしょうね」

「そうだ」

俺は頷いた。

「しかも、カルタゴへの不満がある部族なら、なおさらだ」

俺は、ヒスパニア方面の指揮官たちへ会談を申し込んだ。

議題は、人質政策。

そして、現地部族との関係だった。

だが、反応は厳しかった。

「人質を返せば、部族が裏切る!」

一人の指揮官が叫んだ。

俺は頷いた。

「その可能性はあります」

「ならば、なぜ返す?」

俺は答えた。

「人質を持っていても、裏切られる可能性があるからです」

指揮官たちは黙った。

俺は続けた。

「カルタゴ・ノウァを見てください」

「……」

「人質を集めていた都市が、ローマ軍に奪われました」

「……」

「その結果、人質はローマの手に渡りました」

俺は言った。

「人質政策は、都市が守られることを前提にしています」

別の指揮官が尋ねた。

「では、どうする?」

俺は答えた。

「人質だけに頼らない協定を結ぶんです」

「……」

「交易」

「……」

「報酬」

「……」

「自治」

そして、続けた。

「カルタゴ側につくことで、部族にも利益がある状態を作る」

会議は、簡単にはまとまらなかった。

だが、一部の指揮官は理解を示した。

「確かに、部族との関係を改善する必要はある」

「報酬の遅延も問題だ」

「交易の条件を見直すべきかもしれない」

俺は頷いた。

「そうです」

数週間後。

一部の部族との再交渉が始まった。

俺は、現地の代表者たちと会談した。

「カルタゴとの協力について、条件を見直したいと考えています」

代表者たちは警戒していた。

一人が尋ねた。

「今さらか?」

俺は頷いた。

「今さらです」

代表者は驚いた。

俺は続けた。

「これまでの対応に問題があったことは、認めます」

代表者は黙った。

俺は言った。

「だから、改めて協定を結びたい」

「……何を約束する?」

「交易の自由を尊重する」

「……」

「報酬の支払いを明確にする」

「……」

「そして、部族の自治を尊重する」

代表者たちは、顔を見合わせた。

一人が尋ねた。

「ローマは、人質を返した」

俺は頷いた。

「知っています」

「カルタゴは?」

俺は答えた。

「可能な範囲で、同じことを進めたい」

代表者は眉をひそめた。

「可能な範囲?」

俺は頷いた。

「すべてを一度に決められる立場ではありません」

そして、続けた。

「ですが、少なくとも人質を増やす方向にはしたくありません」

代表者たちは、しばらく考えていた。

そして、一人が言った。

「……話し合いは続けよう」

俺は頷いた。

「ありがとうございます」

その夜。

メルカルが尋ねた。

「……うまくいきますかね?」

俺は答えた。

「分からない」

「……」

「でも、何もしなければ、もっと悪くなる」

数か月後。

ヒスパニアでは、部族の動きが変わり始めた。

ローマ側につく部族。

カルタゴ側に残る部族。

そして、両者を見比べる部族。

俺は地図を見つめた。

「……完全に競争になったな」

メルカルが尋ねた。

「何の競争ですか?」

俺は答えた。

「どちらが、信頼できる相手かという競争だよ」

そのころ。

スキピオは、ヒスパニア各地の部族と会談を続けていた。

ローマ軍の指揮官でありながら、政治家のように振る舞っている。

俺は報告を読み進めた。

「……本当に厄介な男だな」

メルカルが頷いた。

「そうですね」

俺は、スキピオについて調べ始めた。

年齢。

経歴。

軍事行動。

そして、現地部族との交渉。

俺は呟いた。

「……ハンニバルとは違うタイプの強さがある」

メルカルが尋ねた。

「どういうことですか?」

俺は答えた。

「戦場で勝つだけじゃなくて、勝ったあとを考えている」

俺は、ハンニバルへ書簡を送った。

『スキピオは、軍事的な能力だけでなく、政治的な能力も高いようです』

『カルタゴ・ノウァの攻略後、現地部族との関係改善を進めています』

『今後、ヒスパニアの戦況が大きく変わる可能性があります』

数週間後。

ハンニバルから返事が届いた。

『報告をありがとう』

『ヒスパニアの重要性は理解しています』

『ただし、イタリア方面も厳しい状況です』

俺は頷いた。

「……そうだよな」

俺は地図を見つめた。

イタリア。

ヒスパニア。

カルタゴ。

そして、ヌミディア。

戦争は、ますます広がっている。

俺は呟いた。

「……どこかで流れを変えないとな」

そのとき。

新しい報告が届いた。

『ヒスパニア方面のカルタゴ軍が、ローマ軍との大規模な戦闘を準備している』

俺は顔を上げた。

「……決戦?」

メルカルが頷いた。

「その可能性があります」

俺は地図を広げた。

ローマ軍。

カルタゴ軍。

そして、周辺の部族。

俺は眉をひそめた。

「……まずいな」

メルカルが尋ねた。

「なぜですか?」

俺は答えた。

「スキピオは、相手の弱点を見つけてから攻撃する男だ」

俺は、急いで書簡を書いた。

『敵の動きを慎重に確認してください』

『各軍の連携を最優先してください』

『兵力を分散させた状態で、敵に各個撃破されることを避けてください』

そして、最後に書いた。

『決戦を急ぐ必要はありません』

だが。

数日後。

俺のもとに、さらに重大な報告が届いた。

『ローマ軍が、カルタゴ軍の一部を攻撃するため、進軍を開始した』

俺は呟いた。

「……来たか」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「まず、各軍の位置を確認する」

俺は地図を広げた。

そして、カルタゴ軍の配置を確認した。

だが。

そこには、予想外の問題があった。

「……何だ、これ」

メルカルが尋ねた。

「どうしました?」

俺は答えた。

「カルタゴ軍の主力が、別々の場所にいる」

メルカルが頷いた。

「そうですね」

俺は眉をひそめた。

「……これじゃ、援軍が間に合わないかもしれない」

俺は、すぐに伝令を出した。

だが、ローマ軍はすでに動いていた。

そして。

ヒスパニアの戦争は、再び大きな決戦へ向かい始めていた。

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