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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第八十三話 ローマの名将スキピオがヒスパニアへ来る前に、カルタゴ軍の弱点を全部調べることにした

紀元前211年。

イタリア南部。

俺は、ヒスパニアから届いた報告書を何度も読み返していた。

ローマ軍の指揮官。

プブリウス・コルネリウス・スキピオ。

そして、その弟グナエウス・コルネリウス・スキピオ。

二人が戦死したという報告だった。

俺は呟いた。

「……歴史が、また動いたな」

メルカルが尋ねた。

「そんなに重要なことなんですか?」

俺は頷いた。

「重要だよ」

俺は地図を広げた。

ヒスパニア。

カルタゴ軍の拠点。

ローマ軍の拠点。

そして、重要な港。

俺は言った。

「ローマは、ヒスパニアを諦めない」

メルカルが頷いた。

「そうでしょうね」

「だから、新しい指揮官を送ってくるはずだ」

「……」

「問題は、その指揮官が誰になるかだ」

俺は、未来の歴史を思い出していた。

プブリウス・コルネリウス・スキピオ。

後に、スキピオ・アフリカヌスと呼ばれる男。

彼はヒスパニアで戦い、カルタゴ軍の重要拠点を奪う。

そして、最終的にはアフリカへ侵攻する。

俺は眉をひそめた。

「……あの男が来る前に、準備しないとな」

俺はハンニバルへ相談した。

「ヒスパニアに、新しいローマ軍指揮官が来る可能性がある」

ハンニバルは頷いた。

「当然でしょう」

俺は続けた。

「その指揮官が、かなり優秀かもしれない」

ハンニバルは少し笑った。

「優秀な敵は、これまでも何人もいました」

俺は頷いた。

「そうだね」

俺は続けた。

「でも、今度はヒスパニアの補給拠点を狙ってくる可能性がある」

ハンニバルは真剣な顔になった。

「……重要な問題ですね」

俺は頷いた。

「そうなんだよ」

俺は、ヒスパニア方面へ緊急書簡を送った。

『ローマ軍の新指揮官が到着する可能性があります』

『重要拠点の防衛体制を再確認してください』

『特に、港湾都市と補給倉庫の防備を優先してください』

そして、最後に書いた。

『敵が大軍を集める前に、小規模な奇襲を仕掛ける可能性にも注意してください』

数週間後。

ヒスパニア方面から返事が届いた。

『防衛体制の見直しを開始した』

俺は頷いた。

「……よし」

だが、続きがあった。

『各軍の指揮官が、それぞれ別の地域で作戦を実施している』

俺は眉をひそめた。

「……別々に?」

メルカルが頷いた。

「そう書かれています」

俺はため息をついた。

「……そこが問題なんだよ」

ヒスパニアのカルタゴ軍には、複数の指揮官がいた。

それぞれが軍を率いている。

だが、指揮系統が十分に統一されているわけではない。

俺は呟いた。

「……敵が一か所を狙ったとき、間に合わないかもしれない」

メルカルが尋ねた。

「どういうことですか?」

俺は説明した。

「例えば、ローマ軍が重要な港を攻撃したとする」

「はい」

「近くにカルタゴ軍がいなければ、守れない」

「……」

「別の軍がいても、連絡が遅れれば援軍が間に合わない」

メルカルは頷いた。

「なるほど」

俺は、ヒスパニア方面の指揮官たちへ新しい提案を送った。

『重要拠点ごとに、緊急時の援軍計画を作成してください』

『各軍の担当区域を明確にしてください』

『連絡が途絶えた場合の対応も決めておく必要があります』

そして、最後に書いた。

『ローマ軍が分散したカルタゴ軍を各個撃破する可能性に注意してください』

数週間後。

返事が届いた。

『提案について協議する』

俺は頭を抱えた。

「……また協議か」

メルカルが苦笑した。

「すぐには決まりませんね」

俺は頷いた。

「そうなんだよ」

俺は、さらに別の資料を調べた。

ヒスパニアの重要拠点。

港湾都市。

倉庫。

造船施設。

そして、銀山。

俺は地図を見つめた。

「……ここを取られたら、かなり厳しいな」

メルカルが尋ねた。

「どこですか?」

俺は指差した。

「カルタゴ・ノウァ」

カルタゴ・ノウァ。

ヒスパニアにおけるカルタゴの重要拠点。

港。

軍需物資。

そして、周辺地域の資源。

俺は呟いた。

「……ここを失うわけにはいかない」

メルカルが頷いた。

「そうですね」

俺は、カルタゴ・ノウァの防衛について調べ始めた。

城壁。

港。

守備兵。

そして、周辺の地形。

俺は報告書を読み進めた。

すると、気になることがあった。

「……守備兵が少ないな」

メルカルが尋ねた。

「少ないんですか?」

俺は頷いた。

「重要拠点なのに、野戦軍が近くにいない場合がある」

「……」

「これは危険だ」

俺は、すぐに書簡を書いた。

『カルタゴ・ノウァの守備兵を増強してください』

『港と城壁の防衛を再確認してください』

『周辺の地形について、敵の侵入経路を調査してください』

そして、最後に書いた。

『敵が短期間で都市を攻略しようとする可能性があります』

数週間後。

返事が届いた。

『守備兵の増強について検討する』

俺はため息をついた。

「……検討ばかりだな」

メルカルが笑った。

「カルタゴですからね」

俺は苦笑した。

「そうだね」

だが、俺は諦めなかった。

軍隊を増やせないなら、別の方法を考える。

俺は、カルタゴ・ノウァの商人たちへ連絡した。

『都市の食料備蓄を増やしたいと考えています』

『倉庫の利用状況を確認してください』

『非常時の物資分散について協力をお願いします』

数週間後。

商人たちから返事が届いた。

『協力可能』

俺は頷いた。

「……よし」

メルカルが笑った。

「商人たちは、動きが早いですね」

俺は頷いた。

「そうだね」

俺は、カルタゴ・ノウァの港湾関係者とも連絡を取った。

船の避難場所。

軍需物資の保管場所。

そして、港の防衛。

俺は言った。

「都市が攻撃されたとき、すべての物資を一か所に置かないようにしたい」

港湾関係者は頷いた。

「分かりました」

数か月後。

カルタゴ・ノウァでは、少しずつ防衛準備が進んだ。

食料備蓄。

倉庫の分散。

そして、港湾施設の確認。

俺は報告を聞いて頷いた。

「……よし」

だが、まだ十分ではなかった。

その夜。

俺は地図を見つめていた。

ヒスパニア。

カルタゴ・ノウァ。

そして、ローマ軍の勢力圏。

俺は呟いた。

「……スキピオが来る前に、どこまで準備できるかだな」

メルカルが尋ねた。

「本当に、そのスキピオという人物が来るんですか?」

俺は少し考えた。

そして答えた。

「分からない」

「……」

「でも、来る可能性があるなら、備えておきたい」

そのとき。

メルカルが、新しい報告書を持ってきた。

「アドン殿!」

俺は顔を上げた。

「何?」

メルカルは答えた。

「ローマで、新しいヒスパニア方面の指揮官を選ぶ動きがあるようです!」

俺は息を呑んだ。

「……名前は?」

メルカルは、報告書を確認した。

そして答えた。

「まだ正式には決まっていません」

俺は頷いた。

「……そうか」

だが、メルカルは続けた。

「ただし、候補の一人として、若いスキピオという人物の名前が挙がっているようです」

俺は動きを止めた。

「……やっぱり、来るのか」

メルカルが尋ねた。

「知っている人物ですか?」

俺は答えた。

「直接は知らない」

そして、静かに続けた。

「でも、絶対に甘く見てはいけない相手だ」

俺は、カルタゴ・ノウァの地図を見つめた。

港。

城壁。

倉庫。

そして、周辺の浅瀬。

俺は呟いた。

「……ここが、最初の勝負になるかもしれない」

そして、心の中で決めた。

ローマの新しい英雄が現れる前に、カルタゴ軍の弱点を一つでも減らしておく。

それが、未来を変えるために、今の俺ができることだった。

しかし――。

俺はまだ、重要な問題を見落としていた。

カルタゴ・ノウァを守るために必要なのは、城壁や兵士だけではない。

都市の周辺に住む人々が、カルタゴのために戦ってくれるかどうか。

その問題が、やがて戦争の行方を大きく変えることになる。

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