第七十九話 タレントゥムの補給路が襲われたので、ローマ軍に狙われる荷車を減らすことにした
紀元前212年。
タレントゥム周辺。
ローマ軍は、カルタゴ軍の補給路を狙い始めていた。
街道。
橋。
そして、荷車の通る場所。
俺は報告書を見つめた。
「……また補給か」
メルカルが頷いた。
「そうですね」
俺は地図を広げた。
タレントゥムへ向かう街道。
周辺の村。
そして、補給倉庫。
俺は尋ねた。
「今、一日に何台の荷車が動いている?」
メルカルが帳簿を確認した。
「かなりの数です」
俺は頷いた。
「……それを減らしたい」
メルカルは驚いた。
「減らすんですか?」
俺は説明した。
「荷車が多いほど、敵に見つかりやすい」
メルカルが頷いた。
「はい」
「しかも、護衛も必要になる」
「……」
「だから、輸送の回数を減らせないか考えたい」
俺は、物資の輸送記録を調べた。
すると、同じ街道を別々の荷車が何度も往復していた。
穀物。
武器。
衣類。
そして、建築資材。
俺は眉をひそめた。
「……まとめて運べないかな」
メルカルが尋ねた。
「まとめる?」
俺は頷いた。
「そう」
俺は、輸送計画を見直した。
同じ方面へ向かう物資は、できるだけまとめる。
ただし、一度に大量の物資を集中させすぎない。
輸送時間を調整する。
そして、護衛部隊を効率よく配置する。
メルカルが頷いた。
「なるほど」
数週間後。
輸送回数は、少しずつ減った。
俺は帳簿を確認した。
「……よし」
メルカルが笑った。
「減りましたね!」
俺は頷いた。
「うん」
だが、俺は続けた。
「これだけでは足りない」
メルカルが尋ねた。
「まだ何か?」
俺は答えた。
「現地調達を増やしたい」
俺は、タレントゥム周辺の村へ使者を送った。
「余剰穀物を買い取ります」
村の代表者が尋ねた。
「いくらで?」
俺は答えた。
「市場価格を基準に、輸送費も考慮します」
代表者は頷いた。
「それなら、検討しよう」
俺は続けた。
「ただし、村の人たちが食べる分は残してください」
代表者は驚いた。
「……全部買わないのか?」
俺は首を振った。
「村が飢えたら、来年の収穫もなくなりますから」
代表者は笑った。
「なるほど」
数週間後。
タレントゥム周辺の村から、穀物の供給が始まった。
俺は帳簿を確認した。
「……よし」
メルカルが笑った。
「補給が安定してきましたね」
俺は頷いた。
「そうだね」
だが、ローマ軍は諦めなかった。
今度は、周辺の村へ圧力をかけ始めた。
俺は報告を聞いて眉をひそめた。
「……やっぱり、そうなるか」
メルカルが尋ねた。
「どうします?」
俺は答えた。
「村の安全を守る」
俺はハンニバルへ相談した。
「周辺の村が、ローマ軍に狙われている」
ハンニバルは頷いた。
「報告を受けています」
俺は続けた。
「警備部隊を配置できないかな?」
ハンニバルは考え込んだ。
「兵士を分散させるのは危険です」
俺は頷いた。
「分かってる」
ハンニバルは続けた。
「ですが、地元の警備組織と協力することはできます」
俺は顔を上げた。
「……なるほど」
ハンニバルは頷いた。
「必要な場所へ、機動的に支援部隊を送る形にしましょう」
俺は頷いた。
「それなら、できそうだね」
数週間後。
タレントゥム周辺では、地元の警備組織とカルタゴ軍の協力が始まった。
村の代表者たちは、少し安心した様子だった。
俺は言った。
「危険があれば、早めに知らせてください」
代表者たちは頷いた。
だが、俺は分かっていた。
ローマ軍は、また別の方法を考えるだろう。
俺は地図を見つめた。
「……本当に、終わらないな」
メルカルが笑った。
「戦争ですからね」
俺はため息をついた。
「そうだね」
その夜。
俺は、タレントゥムの港を見つめていた。
市街地は、カルタゴ側が確保している。
だが、ローマ軍の城塞は残っている。
港の利用も制限されている。
そして、周辺の補給路も危険だ。
俺は呟いた。
「……港を取るだけじゃ、駄目なんだな」
そのとき。
メルカルが、新しい報告書を持ってきた。
「アドン殿!」
俺は顔を上げた。
「何?」
メルカルは答えた。
「ローマ軍が、カプア方面で大規模な作戦を始めたようです!」
俺は動きを止めた。
「……カプア?」
メルカルは頷いた。
「はい!」
俺は地図を広げた。
カプア。
カルタゴ側についた重要都市。
そして、ローマが取り戻そうとしている都市。
俺は眉をひそめた。
「……まずいな」
タレントゥムを守る。
カプアを守る。
そして、ヒスパニアも守る。
カルタゴ軍の戦力は、限られている。
俺は呟いた。
「……全部を守るのは、難しいな」
そして、ハンニバルのもとへ向かった。
ローマは、カルタゴ軍を複数の戦場へ引き裂こうとしていた。




