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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第七十四話 ローマ海軍が商船を狙ってきたので、軍船より先に商人同士の連絡網を作った

紀元前213年。

カルタゴ本国。

ローマ海軍の活動が活発になっていた。

商船の拿捕。

港の監視。

そして、交易路への圧力。

俺は、商人たちから届いた報告書を読んでいた。

「……これは困ったな」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「まず、どこが危険なのか整理しよう」

俺は海図を広げた。

ローマ海軍が活動している海域。

商船が襲われた場所。

安全に利用できる港。

そして、交易船の主要航路。

俺は言った。

「危険な場所が分からなければ、避けようがない」

メルカルは頷いた。

「そうですね」

俺は、カルタゴの商人たちを集めた。

「皆さんが持っている航海情報を、共有できませんか?」

商人たちは顔を見合わせた。

一人が尋ねた。

「……情報を共有?」

俺は頷いた。

「はい」

「航路は、商会の重要な秘密だぞ」

俺は答えた。

「もちろんです」

そして、続けた。

「商売上の秘密まで公開する必要はありません」

俺は説明した。

「共有したいのは、危険情報です」

商人たちが顔を上げた。

「ローマ海軍が現れた場所」

「……」

「商船が襲われた海域」

「……」

「港が封鎖された情報」

そして、続けた。

「そういう情報だけでも、十分に役立ちます」

商人たちは、少しずつ頷いた。

「確かに、それなら共有できるかもしれない」

「自分の船が襲われるのは困るからな」

「危険な海域が分かれば、航路を変えられる」

俺は頷いた。

「そういうことです」

こうして、カルタゴの商人たちによる情報共有が始まった。

俺は、それを『商船航路情報網』と名づけた。

メルカルが笑った。

「……また新しい仕組みですね」

俺は頷いた。

「そうだね」

最初は、情報が集まらなかった。

商人たちは、互いに警戒していた。

だが、ある商船が危険な海域を避けて無事に帰港すると、状況が変わった。

「情報が役に立った!」

「次からは、俺たちも報告しよう!」

「危険な海域を共有した方が得だ!」

俺は笑った。

「……よし」

数週間後。

情報網には、各地の報告が集まるようになった。

ローマ軍船の目撃情報。

港の状況。

海賊の活動。

そして、天候による航行障害。

俺は帳簿を確認した。

「……思ったより役に立つな」

メルカルが頷いた。

「はい」

だが、問題もあった。

情報が届くまでに時間がかかる。

船が出港したあとに、危険情報が届くこともあった。

俺は考えた。

「……港ごとに、連絡役を置こう」

メルカルが尋ねた。

「連絡役?」

俺は頷いた。

「はい」

「……」

「各港で情報を集めて、次に出港する船へ伝える」

メルカルは頷いた。

「なるほど」

俺は、エルダンへ相談した。

「港の商人たちが、情報を共有できる場所を作りたい」

エルダンは頷いた。

「倉庫の一角を使えます」

俺は笑った。

「ありがとう」

エルダンも笑った。

「また倉庫ですか?」

俺は頷いた。

「また倉庫だよ」

数週間後。

カルタゴの港に、航路情報を共有する場所ができた。

商人たちは、そこで最新の情報を確認できるようになった。

俺は、掲示された記録を見つめた。

「……これなら、少しは安全になる」

だが。

そのころ。

ローマ海軍も、カルタゴの動きに気づき始めていた。

商船が危険な海域を避けるようになった。

輸送船団が分散するようになった。

そして、港の利用方法が変わった。

ローマ側の指揮官は、報告を聞いて眉をひそめた。

「……カルタゴの商人たちが、連携しているのか」

数週間後。

ローマ海軍は、別の海域へ活動を広げた。

俺は報告を聞いて頷いた。

「……やっぱり、動いてきたな」

メルカルが尋ねた。

「どうします?」

俺は答えた。

「情報網を更新する」

「……」

「敵が動けば、こちらも変える」

俺は、商人たちへ新しい指示を出した。

『危険情報は、できるだけ早く共有してください』

『確認できない情報は、その旨を明記してください』

『誤った情報による混乱を防ぐため、情報源も記録してください』

そして、最後に書いた。

『商船の安全は、商人全体の利益です』

数か月後。

商船航路情報網は、少しずつ広がっていった。

カルタゴ本国。

北アフリカ沿岸。

ヒスパニア。

そして、イタリア南部。

俺は地図を見つめた。

「……かなり広がったな」

メルカルが笑った。

「はい!」

だが、俺は分かっていた。

情報網だけでは、ローマ海軍を止められない。

必要なのは、海軍との協力だ。

俺は、アドヘルバル提督へ書簡を送った。

『商船航路情報網の情報を、海軍とも共有したいと考えています』

『輸送船団の護衛や、危険海域の回避に役立ててください』

数週間後。

返事が届いた。

『有用な提案である』

『海軍側でも情報共有を進める』

俺は頷いた。

「……よし」

その夜。

俺は港を歩いていた。

商船が並ぶ。

軍船が停泊している。

そして、荷物を運ぶ人々が働いている。

俺は思った。

商人と軍人。

本来なら、別々の仕事をしている人たちだ。

だが、戦争中は協力しなければならない。

俺は呟いた。

「……カルタゴの強さは、こういうところにあるはずだ」

そのとき。

エルダンが、急いで近づいてきた。

「アドン殿!」

俺は顔を上げた。

「どうした?」

エルダンは答えた。

「イタリアから、急報です!」

俺は眉をひそめた。

「……何があった?」

エルダンは続けた。

「タレントゥムで、反ローマ派の動きが活発になっています!」

俺は息を呑んだ。

「……タレントゥム?」

エルダンは頷いた。

「はい!」

そして、続けた。

「カルタゴ軍との協力を求める者たちが、増えているようです!」

俺は地図を広げた。

タレントゥム。

イタリア南部の重要な港。

俺は呟いた。

「……ついに、動き始めたか」

だが、すぐに考え直した。

都市が協力しても、ローマ軍の守備拠点が残る。

港を使うには、さらに準備が必要だ。

俺は頷いた。

「……よし」

そして、静かに言った。

「今度こそ、タレントゥムの港を使えるようにしよう」

カルタゴ軍が長年求めてきた、イタリア南部の重要な港。

その獲得をめぐる戦いが、いよいよ始まろうとしていた。

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