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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第六十六話 未来の敵マシニッサに会ったので、なぜローマ側につくのか本人に聞いてみた

紀元前215年。

北アフリカ。

ヌミディア。

俺は、久しぶりにアフリカの大地を踏んでいた。

イタリアでの仕事をメルカルと補給担当者たちに任せ、海を渡ってきたのだ。

目的は一つ。

マシニッサと会うためだった。

俺は馬車の中で、地図を見つめていた。

「……遠いな」

同行していた護衛が尋ねた。

「何がですか?」

俺は答えた。

「イタリアから、ここまで来るのが」

護衛は笑った。

「海を渡るだけでも大変でしたからね」

俺は頷いた。

「本当にね」

マシニッサとの会談は、ヌミディアの有力者が管理する町で行われた。

俺は、案内された建物へ入った。

そこには、若い男がいた。

年齢は二十代前半。

鋭い目。

引き締まった体。

そして、落ち着いた態度。

俺は、すぐに分かった。

この男が、マシニッサだ。

「アドン殿か」

マシニッサが言った。

俺は頭を下げた。

「はい」

マシニッサは頷いた。

「カルタゴの商人だと聞いている」

俺は答えた。

「そうです」

「ハンニバル将軍とも親しいそうだな」

「長い付き合いです」

マシニッサは少し笑った。

「面白い商人だ」

俺も笑った。

「よく言われます」

会談が始まった。

マシニッサは、率直だった。

「カルタゴは、我々に騎兵を求めている」

俺は頷いた。

「はい」

「馬も求めている」

「はい」

「だが、ヌミディアに何を与える?」

俺は答えた。

「公平な報酬と交易の機会です」

マシニッサは首を振った。

「それだけか?」

俺は顔を上げた。

「……ほかに、何を望まれますか?」

マシニッサは、しばらく俺を見つめた。

そして言った。

「ヌミディアの未来だ」

俺は黙った。

マシニッサは続けた。

「我々は、いつまで他国の戦争に兵士を送るのだ?」

「……」

「カルタゴがローマと戦えば、ヌミディアも戦う」

「……」

「だが、戦争が終わったあと、我々には何が残る?」

俺は頷いた。

「……重要な質問ですね」

俺は少し考えた。

そして答えた。

「カルタゴが勝ったあと、ヌミディアがどうなるか」

マシニッサは頷いた。

「そうだ」

俺は続けた。

「その問題を、今から話し合う必要があると思っています」

マシニッサは少し驚いた。

「……今から?」

俺は頷いた。

「はい」

「戦争が終わってからでは遅いと?」

俺は答えた。

「そのとおりです」

マシニッサは、しばらく考えた。

そして尋ねた。

「カルタゴは、ヌミディアの統一を認めるのか?」

俺は息を呑んだ。

来た。

これが、重要な問題だ。

ヌミディアは、複数の勢力に分かれている。

そして、マシニッサは、その統一を目指している。

本来の歴史では、ローマは彼の野心を利用した。

俺は慎重に答えた。

「俺個人に、カルタゴ政府を代表して約束する権限はありません」

マシニッサは眉をひそめた。

「……そうか」

俺は続けた。

「ですが、ヌミディアの人々が合意する統一を、カルタゴが妨げるべきではないと考えています」

マシニッサは、俺をじっと見つめた。

「……本気で言っているのか?」

俺は頷いた。

「はい」

マシニッサは続けた。

「カルタゴは、ヌミディアが分かれている方が都合がいいはずだ」

俺は答えた。

「そう考える人もいるでしょう」

「……」

「でも、分裂を利用し続ければ、いつか恨みを買います」

マシニッサは黙った。

俺は続けた。

「その恨みを、ローマが利用するかもしれません」

マシニッサは、少し笑った。

「……よく分かっているな」

俺は肩をすくめた。

「商人ですから」

「商人が、そこまで政治を考えるのか?」

俺は答えた。

「取引相手の国が戦争になれば、商売もできなくなりますから」

マシニッサは笑った。

「なるほど」

俺は、協定案を取り出した。

「まず、交易と軍事協力について、明確な約束を作りたいんです」

マシニッサは頷いた。

「見せてくれ」

俺は書類を渡した。

報酬。

馬の供給。

負傷者への補償。

戦死者の遺族への補償。

そして、ヌミディアの自治の尊重。

マシニッサは、ゆっくりと読んだ。

しばらくして。

マシニッサは言った。

「……悪くない」

俺は少し安心した。

だが、彼は続けた。

「ただし、これだけでは足りない」

俺は頷いた。

「何が必要ですか?」

マシニッサは答えた。

「カルタゴ政府の正式な保証だ」

俺は黙った。

当然だ。

商人の約束だけでは、国家の未来は決められない。

俺は答えた。

「分かりました」

マシニッサは尋ねた。

「本当に、カルタゴ政府を動かせるのか?」

俺は苦笑した。

「簡単ではありません」

「……」

「でも、やってみます」

マシニッサは笑った。

「面白い」

そして、言った。

「では、期待しよう」

会談が終わったあと。

俺は、しばらく一人で考えていた。

マシニッサは、金だけで動く男ではない。

彼が求めているのは、ヌミディアの未来だ。

そして、自分がその未来を作ることだ。

俺は呟いた。

「……なるほどな」

本来の歴史では、彼はローマ側についた。

だが、もしカルタゴがヌミディアの統一を認め、対等な関係を築けたなら。

歴史は変わるかもしれない。

俺は拳を握った。

「……やる価値はある」

数日後。

俺はカルタゴ本国へ向かった。

目的は、評議会との交渉だった。

ヌミディアの自治。

統一への姿勢。

そして、長期的な同盟。

俺は、書簡を整理していた。

だが。

カルタゴへ到着した俺を待っていたのは、予想外の知らせだった。

ハンノが、ヌミディア政策について新しい提案をしていたのだ。

その内容は。

『ヌミディア内部の対立を利用し、カルタゴへの従属を維持する』

俺は書簡を見つめた。

「……最悪だ」

メルカルの代わりに同行していた書記官が尋ねた。

「どうしました?」

俺は答えた。

「このままだと、マシニッサをローマへ追いやる」

そして、拳を握った。

「……絶対に止めないと」

俺は、カルタゴ政府のヌミディア政策を変えるため、評議会へ乗り込むことにした。

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