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転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


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第六十五話 ローマがヌミディアに手を伸ばしてきたので、金ではなく約束を守ることで味方を増やすことにした

紀元前215年。

イタリア南部。

ヌミディアの有力者の一部が、ローマと接触している。

その報告を読んだ俺は、しばらく黙っていた。

メルカルが尋ねた。

「……どうします?」

俺は答えた。

「まず、誰が接触しているのか調べる」

「……」

「それから、何を求めているのか」

メルカルは頷いた。

「分かりました」

俺は、ヌミディア方面の商人たちへ書簡を送った。

『ヌミディアの政治情勢について、情報を集めてください』

『ただし、危険な調査は避けてください』

『特定の勢力への接近を無理に進める必要はありません』

数週間後。

報告が届いた。

俺は書簡を開いた。

そこには、こう書かれていた。

『ヌミディア内部では、王位継承をめぐる対立が強まっている』

俺は頷いた。

「……やっぱり」

さらに、別の報告が届いた。

『ローマ側は、カルタゴとの関係に不満を持つ勢力へ接近している』

俺は眉をひそめた。

「……当然だな」

メルカルが尋ねた。

「どういうことですか?」

俺は答えた。

「ローマも、ヌミディア騎兵の価値を知っているんだよ」

「……」

「だから、こちらから奪おうとしている」

俺はハンニバルへ報告した。

「ヌミディア内部で、ローマとの接触が進んでいる」

ハンニバルは頷いた。

「警戒が必要ですね」

俺は続けた。

「でも、金だけで引き止めるのは危険だと思う」

ハンニバルが尋ねた。

「なぜです?」

俺は答えた。

「ローマが、もっと多くの金を出せば終わりだから」

ハンニバルは頷いた。

「確かに」

俺は続けた。

「だから、長期的な信頼関係を作りたい」

俺は、ヌミディアとの協定案を見直した。

報酬。

交易。

馬の供給。

負傷者への補償。

そして、政治的な自治の尊重。

だが、俺は一つだけ新しい項目を加えた。

『カルタゴは、ヌミディア内部の王位継承問題について、当事者間の協議を尊重する』

メルカルが尋ねた。

「……これでいいんですか?」

俺は答えた。

「少なくとも、勝手に王を決めるよりはいいと思う」

だが。

ヌミディア内部の争いは、簡単ではなかった。

各勢力には、それぞれの利害がある。

土地。

家畜。

交易路。

そして、王位。

俺は考えた。

「……契約だけで解決できる問題じゃないな」

メルカルが頷いた。

「そうですね」

俺は続けた。

「でも、契約を守ることはできる」

数週間後。

ヌミディアから、新しい使者が到着した。

前回とは違う男だった。

名をマサエルという。

彼は、ヌミディアの有力部族の代表者だと名乗った。

俺は迎えた。

「遠いところを、ありがとうございます」

マサエルは頷いた。

「こちらこそ」

俺は尋ねた。

「どのような用件でしょうか?」

マサエルは答えた。

「カルタゴとの交易について、話し合いたい」

俺は頷いた。

「もちろんです」

マサエルは続けた。

「我々は、馬を供給できます」

俺は顔を上げた。

「ありがたい話です」

「ただし、条件があります」

俺は頷いた。

「どうぞ」

マサエルは言った。

「カルタゴは、我々の土地を尊重すること」

俺は答えた。

「当然です」

「そして、交易路の安全を保証すること」

俺は頷いた。

「協力できる範囲で、検討します」

俺は尋ねた。

「馬の供給量は?」

マサエルは答えた。

「季節によります」

「価格は?」

「交渉次第です」

「輸送方法は?」

「我々が港まで運べます」

俺は頷いた。

「なるほど」

そして、帳簿を開いた。

「では、具体的な条件を決めましょう」

交渉は、数日にわたった。

馬の価格。

支払い時期。

輸送中の事故。

病気の馬の扱い。

そして、取引の継続期間。

マサエルは、途中で笑った。

「……細かいな」

俺は頷いた。

「よく言われます」

「戦争中なのに、商売の話ばかりだ」

俺は答えた。

「戦争中だからこそ、約束を守ることが大切だと思っています」

数日後。

契約が成立した。

俺は、マサエルと握手した。

「ありがとうございます」

マサエルは頷いた。

「こちらこそ」

そして、少し笑った。

「カルタゴの商人は、もっと強引だと思っていた」

俺は答えた。

「人によりますよ」

その夜。

俺はメルカルへ言った。

「今回の契約は、必ず守ろう」

メルカルが頷いた。

「はい」

俺は続けた。

「支払いが遅れないようにする」

「はい」

「馬の検査も公平にする」

「はい」

「そして、相手に不利な条件を勝手に追加しない」

メルカルは笑った。

「分かりました」

数か月後。

ヌミディアから、最初の馬が届いた。

俺は、馬の状態を確認した。

健康状態。

年齢。

そして、輸送中の負傷。

記録を照合する。

メルカルが尋ねた。

「……問題ありませんか?」

俺は頷いた。

「大きな問題はなさそうだ」

そして、支払いを指示した。

数週間後。

マサエルから書簡が届いた。

『約束どおり、代金を受け取った』

『今後も取引を継続したい』

俺は笑った。

「……よし」

メルカルが尋ねた。

「成功ですか?」

俺は答えた。

「最初の一歩だね」

だが。

その日の夕方。

別の報告が届いた。

『ヌミディアの若い有力者マシニッサが、勢力を拡大している』

俺は動きを止めた。

「……マシニッサ?」

メルカルが尋ねた。

「知っているんですか?」

俺は答えた。

「……名前はね」

本来の歴史では、マシニッサは後にローマ側へつく。

そして、ザマの戦いでカルタゴ軍と戦う。

俺は書簡を握りしめた。

「……ついに出てきたか」

俺は、マシニッサについて調べ始めた。

所属する勢力。

親族関係。

政治的な立場。

そして、カルタゴとの関係。

数週間後。

報告が届いた。

マシニッサは、若いながらも有能な騎兵指揮官として知られ始めていた。

俺は頷いた。

「……やっぱり、優秀なんだな」

メルカルが尋ねた。

「敵になるんですか?」

俺は答えた。

「まだ分からない」

「……」

「だからこそ、今から関係を作りたい」

俺は、マシニッサの周辺へ正式な使者を送ることにした。

ただし、いきなり軍事同盟を求めるつもりはない。

まず、交易。

馬の供給。

そして、相互の利益。

俺は書簡を書いた。

『カルタゴとの交易について、意見交換の機会をいただきたい』

『ヌミディアの自治と利益を尊重し、公平な取引を目指したい』

そして、最後に付け加えた。

『長期的な協力関係を築けることを願っています』

数週間後。

返事が届いた。

俺は封を開いた。

そこには、短い文章が書かれていた。

『話し合いには応じる』

俺は息を吐いた。

「……よし」

メルカルが笑った。

「会ってくれるんですね!」

俺は頷いた。

「そうらしい」

だが。

俺は分かっていた。

マシニッサは、簡単な相手ではない。

優秀な指揮官であり、政治家でもある。

そして、ヌミディアの未来を自分の手で切り開こうとする人物だ。

俺は呟いた。

「……こちらの都合だけでは、動いてくれないだろうな」

メルカルが尋ねた。

「では、どうするんですか?」

俺は答えた。

「相手が何を望んでいるのか、聞く」

そして、少し笑った。

「商売と同じだよ」

その夜。

俺は地図を見つめていた。

ザマの戦い。

紀元前202年。

まだ十三年ほど先の出来事だ。

だが、その勝敗を決める条件は、今から少しずつ作られていく。

俺は呟いた。

「……今度こそ、ヌミディアを敵に回さない」

そのためには、マシニッサを理解する必要がある。

そして。

俺は、後にカルタゴ最大の敵となる男と、初めて交渉することになった。

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