↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したらカルタゴ人だったので、ハンニバルを勝たせてローマに勝利します  作者: レモンティー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
115/137

第百十五話 ザマの戦いで最後の予備兵を投入したら、ローマ軍の隊列が崩れ始めた

紀元前202年。

ザマの平原。

太陽が高く昇っていた。

戦場には、砂埃と怒号が満ちている。

俺は、補給部隊の移動を終えて丘へ戻ってきた。

メルカルが息を切らして言った。

「……間に合いましたね」

俺は頷いた。

「うん」

だが、戦場を見た瞬間、俺は言葉を失った。

カルタゴ軍の中央が、激しく押されていた。

ローマ軍の歩兵が、少しずつ前進している。

俺は呟いた。

「……まずい」

ハンニバルの本陣。

将校が叫んだ。

「中央が限界です!」

ハンニバルは静かに頷いた。

「分かっています」

ハスドルバルからの伝令も到着した。

「右側の騎兵戦は、まだ続いています!」

ハンニバルは地図を見つめた。

そして、静かに言った。

「……今ですね」

ハンニバルは、最後の予備兵を投入することを決めた。

イタリアで長年戦ってきた精鋭兵。

彼らは、ハンニバルとともにアルプスを越え、数々の戦場を生き抜いてきた。

その兵士たちが、ついに前進を始めた。

俺は、丘の上からその光景を見つめた。

「……来た」

メルカルが尋ねた。

「何がです?」

俺は答えた。

「ハンニバル将軍の精鋭だ」

精鋭兵たちは、乱れた前衛の間を進んだ。

盾を構え、隊列を整える。

そして、ローマ軍へ向かって前進した。

「前へ!」

指揮官の声が響いた。

カルタゴ軍の中央が、再び動き始めた。

ローマ軍の前線。

将校が叫んだ。

「敵の新手です!」

スキピオは頷いた。

「ハンニバルの精鋭か」

将校が尋ねた。

「予備兵を出しますか?」

スキピオは答えた。

「すでに投入している」

そして、戦場を見つめた。

「……ここが正念場だな」

カルタゴ軍の精鋭兵が、ローマ軍へ突撃した。

盾がぶつかる。

槍が折れる。

兵士たちが倒れる。

だが、カルタゴ軍は前進を続けた。

俺は拳を握った。

「……押してる!」

メルカルが頷いた。

「はい!」

ローマ軍の中央が、少しずつ後退した。

それまで整然としていた隊列に、乱れが生じ始める。

俺は息を呑んだ。

「……崩れるか?」

だが、スキピオは冷静だった。

「後退する部隊は、左右へ下がれ!」

将校が命令を伝える。

ローマ軍は、完全に崩れる前に隊列を整理しようとした。

俺は眉をひそめた。

「……やっぱり、簡単じゃない」

そのとき。

右側の騎兵戦で、大きな動きがあった。

ハスドルバルが、ローマ軍の騎兵を押し返し始めたのだ。

俺は顔を上げた。

「……ハスドルバル将軍!」

ハスドルバルは、騎兵の一部を敵の側面へ回した。

ローマ軍の騎兵は、それに対応するため後退した。

だが、完全には逃げられなかった。

カルタゴ軍の騎兵が、ローマ軍の側面へ圧力をかけ始めた。

俺は呟いた。

「……これは」

メルカルが尋ねた。

「勝てますか?」

俺は答えた。

「まだ分からない」

ハンニバルは、騎兵戦の報告を受けていた。

「ハスドルバルが押している?」

伝令が頷いた。

「はい!」

ハンニバルは、戦場を見つめた。

そして、命じた。

「中央は前進を続ける」

「了解!」

「ただし、追撃しすぎるな」

「はい!」

カルタゴ軍の中央は、少しずつローマ軍を押し返していた。

だが、ローマ軍も粘っている。

俺は、その光景を見つめていた。

「……本当に、互角だな」

メルカルが頷いた。

「はい」

そのとき。

遠くの丘から、角笛が響いた。

俺は顔を上げた。

「……何だ?」

メルカルも振り返った。

「新しい部隊ですか?」

俺は目を凝らした。

丘の向こうから、騎兵の一団が現れた。

旗が見える。

ヌミディアの旗だった。

俺は息を呑んだ。

「……まさか」

ハンニバルの本陣にも、報告が届いた。

「ヌミディア騎兵が接近しています!」

ハンニバルが顔を上げた。

「どちらの勢力だ?」

伝令は答えた。

「まだ確認できません!」

俺は、丘の上から騎兵の旗を見つめた。

マシニッサか。

シュファクスか。

それとも、別の部族か。

俺は拳を握った。

「……頼む」

メルカルが尋ねた。

「何を?」

俺は答えた。

「敵じゃないでくれ」

やがて。

騎兵の旗が、はっきりと見えた。

俺は目を見開いた。

「……あれは!」

メルカルが叫んだ。

「マシニッサの旗です!」

俺は息を呑んだ。

マシニッサ。

ヌミディアの若き指導者。

そして、本来の歴史ではローマ側についた男。

その彼が、ザマの戦場へ現れた。

俺は呟いた。

「……どっちだ?」

マシニッサは、カルタゴと相互不可侵協定を結んでいる。

だが、軍事協力までは約束していない。

ローマ側につかない保証も、完全ではない。

俺は、遠くの騎兵を見つめた。

その一団が、どちらへ向かうか。

それが、戦いの結果を左右するかもしれない。

そして。

マシニッサの騎兵が、ついに動き始めた。

俺は息を止めた。

ザマの戦いは、最後の局面へ入ろうとしていた。

そして、マシニッサの選択が、カルタゴとローマの運命を決めようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。