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9.初依頼2(森の探検の時間)

お昼ご飯も終わり、女神様が笑顔でお仕事へ消えていった。

「ごちそうさま、元気が出たわ。じゃあ行ってきま~す」

「「『いってらっしゃーい』」」

綺麗好きのスラちゃんは、テーブルの上の汚れた食器や鍋などを

いつものようにお仲間を呼んで綺麗にしてくれている。

スラちゃんもお仲間も『美味しいよう』と喜んでいる。

ホークもハガネも『ご主人様、結構なものありがとうございました』

とお礼を言ってくる。


「アツシ、仲間にできるかもしれない魔物を一匹ずつ出すけどいいかのぅ?

 だいぶLPは削っているけどどこまでかはわからんのじゃ。

 わしは、一気にやってしまうので削るとかやったことなくてのぅ」

「爺ちゃん、じゃあ、いつものように重力魔法でおねがいするよ」

「わかった。では1匹目を出すぞ。ほれ」


最初に出て来たのは、蝶の魔物だった。

すでに身体の上に魔法陣が出現している。

「僕の仲間になってくれるかい?」

『私は魔蝶パピヨです。もう今にも死にそうなんです』

「君の名前は『アゲハ』にするね。いいかい?」

『はい、名前まで付けて頂きありがとうございます。

 今はご主人様の影に早く入れて下さいませ。お願いします』

アゲハは、ズルズルと身体を引きずりながら僕の影に入って行った。


「次はこれじゃ。ほれ」

出て来たのは小型車くらいの大きい魔イノシシだった。

鑑定すると

名前:イノブータ

用途:食用 煮ても焼いても美味い 

となっている。

急所へナイフで一撃を入れて、後で解体するとして空間へ入れた。


「次はこれじゃ。ほれ」

出て来たのは、まだ小さく白い狼だった。

「君、血が出てるじゃないか、大丈夫?傷ついてるんじゃないの?」

『はい、敵の熊のベアコングの爪で殴られました』

「じゃあ、とりあえず傷を治そうか、グリンさんお願い出来ますか?」

『はい、わかりました。少し傷が深いからすぐに治療に入りましょう』

「よろしくおねがいします」


「次はこれじゃ。ほれ」

目の前にトラック並みの大きさの熊が現れた。

鑑定では「魔熊ベアコング」となっている。LPは5である。

しかし、魔法陣は出て来ない。

『グアー小僧、喰ってやる』と重力魔法に対抗して近づいて来る。

そして体毛を金属にして飛ばして来た。

しかしそれらは、瞬時にハガネが反応しすべてを弾いた。

この魔熊は仲間には出来なかった。その理由は不明だった。

アツシは仕方ないので急所の脳髄をナイフで突き刺した。

するとその大きな身体が黒い霧となり消えて、赤い魔石が落ちた。


「次はこれじゃ。ほれ」

土管くらいの大きさの芋虫みたいな魔物が出て来た。

鑑定では「魔虫ツチホリン」、田畑の土を肥沃にできると出ている。

ツチホリンの殻の上には

『ご主人様、僕を仲間にして下さい』

「じゃあ、名前はツッチーでいい?」

『はい、よろしくお願いします』

ツッチーはいそいそと僕の影の中に入って行った。


「次はこれじゃ。ほれ」

1mくらいの大きさの魔蜂が出て来た。

もう横になっていて身体の上に魔法陣が出ている。

『私は魔蜂のビーズです。もし良かったらお仲間にして貰えませんか?』

「君が良いのならお願いするよ。名前はビーでいい?」

『ビーでお願いします。早く影に入れて下さい。怖いです』

後に出て来た魔物は殆ど食用か、仲間にならなかった魔物だった。


その後、大森林の中へ爺ちゃんと入って行くと

森の動物たちはたくさん傷ついて倒れている。

彼らの身体に深い爪痕がついていることを考えると

彼らを殺したのは魔熊ベアコング族の仕業と思えた。

爺ちゃんが、魔法で死体を集めている。

ある程度、集まったらツチホリンを呼んで深い穴を掘らせた。

そこへ彼らの遺体を埋めた。

やがて彼らは森の土へ変わり彼らを再び生み出すそうだ。

同じ事をして洞窟へと進んだ。


途中、たくさんの白銀色の狼たちの遺体がある。

一匹だけまだ息があるようだ。

鑑定すると「森林白銀狼族」と出た。

その時、『母様。死なないで、僕だよ』

とさっきグリンさんに治療して貰っていた狼の子が飛び出て来た。

『お前が無事で良かったよ。母さんは安心しました。

 お前の父様は、この森で森林白銀狼族シルバー族のボスだったのよ。

 お前が大きくなって、いつかシルバー族を復活させてね』と力尽きた。

『母様、母様・・・僕がいつかソイルバー族を復活させます』

と涙を流しながら、もう冷たくなった母親狼の身体を抱いている。


やがて森林白銀狼族の子供が立ち上がる。

アツシの方へ向かって歩いて来てアツシの前に来ると蹲った。

だが、身体の上には魔法陣が浮かんでこない。

『僕を仲間にして欲しい。いつか一族を復活させたいのです』

「ねえ、君を仲間にしたいけど、なぜか無理みたい。

 その代わりに僕達とお友達として一緒に冒険しないか?」

『ええそれで良いならお願いします。せめて名前を下さい』

「それなら君の一族の名前で『シルバー』がいいんじゃないかな」

『シルバー・・・何とかそれに相応しい狼になりたいです。

 私も冒険へ連れて行って下さい。よろしくお願いします」

大量の森林白銀狼族の遺体は、

爺ちゃんが魔法で深く土を四角形に掘り下げ、一体一体ずつ並べて埋めた。

この場所をシルバーが、将来訪れた時、

親兄弟たちの眠っている場所が分かるように

その上に大きな石を置き、その脇に桜の苗木を植えた。

爺ちゃんが以前に残念そうに

『この世界で桜は見たことがない』と言っていたから

爺ちゃんの好きな桜の苗木を買っていたのだった。


S級魔物使いの僕でも仲間に出来ないことから考えて

魔物を仲間にするためには、

レベルや他の条件を色々と満たす必要があるのではないかと感じた。


そこから奥へ進んで行くと、

たくさんの動物達の死体に紛れて大小の魔石が地面に落ちている。

どうやらあの時の爺ちゃんは、魔物に対してのみ

最大の重力魔法『ペッタンコ』を使ったようだ。

以前、その魔法のことは爺ちゃんから聞いていて、

『色々な物を煎餅にするのに便利じゃ』と言っていたので覚えていた。

何個かの魔石が地面に埋まっているのだ。

よく見ると辺りの木の幹には溶けた後がある。

これはスラちゃんの攻撃のようだ。

隣の木の幹にはするどい切り裂き跡がある。

これはホークの攻撃のようだ。

2匹とも活躍出来た様で嬉しかった。


そこからしばらく進むと黒く焦げて大きく崩れた洞窟が見えた。

どうやら爺ちゃんが、火球の威力を調整してぶち込んだようだ。

洞窟の周りに留まらず、洞窟の中にも大きい魔石が転がっている。

洞窟の奥を調べると、壁に大きな魔法陣の痕が見える。

『何者かがここに魔法陣を描き、攻撃してきたということだろうか』

とアツシは考えて、爺ちゃんに聞くと『全くわからん』と答える。

爺ちゃんは敵ならば最大力で一気に葬るから気にしないかもしれない。

この事はいつか女神様に聞いてみないといけない予感が芽生えた。


そこから奥へ行くと、鑑定眼には森の中のいたる処に

食用となるキノコや野生の野菜、薬となる花や草が映る。

とりあえず、一旦休憩として洞窟の前でおやつタイムを取った。

爺ちゃんとグリンさんにはお菓子、

あとのみんなには魔物から取った骨や内臓を出して与えた。

みんなが食べている間に僕は、

鑑定眼に映ったその森に生えていて役立つあらゆるものを採取した。

野菜や香辛料の種とかも見つかったから楽しみだった。

ゲームには薬草採取とかのクエストもあったことを思い出した。

新たな仲間とお友達が増えて順調に物語は進んで行きます。

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