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6.大森林の町へ向かう道

「アツシや、次の町は大森林の町へ行こうや」

「どれくらいかかるの?」

「この町から歩きで一週間、馬車で三日くらいかのう。

 まぁ野宿でもしながら気楽に行こうや」

「うん、料理も大丈夫だよ。安心して」

「そうじゃった。アツシの料理が楽しみじゃ」


翌日に二人は旅立ちの町を出て、次の町「大森林の町」へと向かった。

道の途中は草原が多かったため、あまり魔物は出なかった。

二人と一匹とペット達で何回か野宿しながら進んだ。

爺ちゃんの指輪空間には野宿セットが入っていて、

出発で仕舞うときは「ほい」と入れて、野宿の場所が来れば、

空間からそのままポンと出せばテントが出て設置できるため簡単だった。

異世界のはずなのにこんなに簡単に生活ができるなんて、

さすが魔法使いの爺ちゃんだと感心した。

爺ちゃんも『魔法でできるけど』と言いながら

「召喚士」レベルアップのために火や水や風などの精霊を召喚している。

でも爺ちゃんも僕と同じで『ピロリロリン』と鳴るたび喜んでいる。


大森林の町へ向かう途中のご飯は、

以前仕留めた魔ウサギや保管している魚を使って簡単な料理を作った。

魔ウサギは、結構臭みがあるため、香草を使った方がいいのだが、

香草などが見つけられなかったから仕方なかった。

とりあえずソースや味噌や塩胡椒で匂いを消して煮たり焼いたりした。

柴犬のコタローや三毛猫のミャウは、

久しぶりに外に出たのが嬉しいのか走り回っている。


今夜は、爺ちゃんのために新鮮な魚を捌いて

刺身や煮付や汁物を用意し、せっかくなので女神様もお呼びした。

元の世界からの魚は、新鮮でピチピチしているため、

同じ刺身でもカルパッチョなどで味も変えた一品も作った。

献立は

「マグロやタイやアジやヒラメの盛り合わせ」

「カルパッチョ」「タイの兜煮」「アラの吸物」「おにぎり」

本当の所、風魔法で美味しい一夜干しも出来そうなのだが、

妖精にお願いしてもその程度が難しいと言われ調整は難しかった。

この献立には、爺ちゃんは勿論のこと、女神様も感激している。

女神さまは自前で白ワインを取り寄せて結構早いペースで飲んでいる。

爺ちゃんは「この料理の酒は日本酒が一番」とガブガブ飲んでいる。

女神様も「どれどれ、ほんと―、ノリリンが正しいわ」と騒いでいる。

酔っぱらった女神様のあまりの可愛い姿にアツシは驚いたのだった。


食事が終わった後の汚れた食器や残飯はスラちゃんとそのお友達が

全てを身体へ取り込んで、綺麗に食べて乾燥した食器だけが積まれていく。

やはりスラちゃんは究極のエコな生物あった。


『やっぱり異世界に来て良かった。本当に爺ちゃんありがとう』

と酔っぱらってもう眠っている爺ちゃんへアツシはお礼を言った。

その時、

『私もご相伴預かりました。本当に美味しかったわ。

 アツシ君、ようこそこの世界へ。楽しんで強くなりましょうね』

可愛いグリンさんの声がアツシの脳裏に響いた。


翌日、歩いていると高い空から突然鳥の魔物に襲われた。

『ピー』

かん高い声が発せられ素早く鋭い爪で狙ってくる。

一瞬のことで反応できず、爺ちゃんが風の魔法でバリアを張ってくれた。

僕は魔鷹へナイフで攻撃した。

LPを少しだけ削れたがまだ足りないようだ。

人間に傷付けられたことで怒りを宿して、再び魔鳥が襲ってくる。

その時、影から一瞬で出て肩に乗ったスラちゃんが魔鳥へ腐食液を跳ばす。

予想外の攻撃で、鳥の魔物は驚いて羽根を広げて空中で止まった時、

ふたたびその翼に腐食液が掛けられ羽根表面が溶けて鳥の魔物は地面へ落ちた。

羽根を広げると2メートルほどのその魔鷹の身体の上に魔法陣が浮いている。

アツシは手をかざし魔法陣を吸い込んだ。

魔鷹がじっとアツシを見ている。

アツシは「ホーク」と名付け、影の中へ取り込んだ。

しばらくして、「ホーク」から声掛けがあった。

『ご主人様、羽根を治して頂きありがとうございます。

 今後は、役にたてるようにがんばります。偵察はお任せ下さい』


『ピロリロリン』のレベルアップ音が脳内へ響く。

職業:魔物使いクラス:S級レベル:3↑

   料理人  クラス:B級  レベル:5↑

体力:15 筋力:15 素早さ:15 魔力:1200

仲間:2 仲間名:スライム(スラ)、魔鳥ホーク、

特技1:2 スキル:腐食液飛ばし3↑。遠視1。

特技2:3 スキル:獲物解体術7↑。魔素抜き5↑。料理5↑


アツシは、さっそくホークを使役し進路の先へ進ませた。

アツシの目に、ホークの視界が入って来る。

青い空はどこまでも遠く高く続いている。

鳥達の気持ち良さがわかった。

周りにホークの仲間も集まって一緒になって飛んでいる。

ふと下をみると白い鳥が何十羽も集団で草原を走っている。

ホークに聞くと食用の「コケッコー」らしい。

これだけ集まっているのを見るともしかした巣があるのかもしれない。

ホークへ引き続き探索させると近くの小さな森の中に巣が見つかった。

僕はこのコケッコーの集団を

今後の食料及び町での販売用に捕獲することとした。

近くに寄ってみると意外と大きく、

コケッコーって鳥はダチョウサイスの大きさだった。

爺ちゃんの情報では、

足の先に鋭い爪が付いていて、近づくと蹴りが出て危ないらしい。

またコケッコーは、捨てるところない鳥らしく、

羽根も布団や服の中に使っていて大変な人気らしい。

そこで爺ちゃんの重力魔法で動けなくさせて貰って急所を突いて倒した。

瞬く間にコケッコーの死体が山のように積み重なっていく。

山のように積み重なっているコケッコーを

丈夫な2本の太い木を交差させ、両側の地面に立てて

長い丈夫な枝をそれに渡して、コケッコーの両足を蔓で括り吊った。

ジワジワと血抜きをしながら同時に魔素も抜いていった。

魔素を抜き終わると、

早く血抜きが出来るように爺ちゃんに重力魔法を頼むと

コケッコーの大きな身体からポンプで吸い出されるように、

大量の血液が噴き出してくる。

その下の地面は、瞬く間のその血液で真っ赤になったが、

スラちゃんがたくさんのお友達を呼んで綺麗にしてくれた。

血抜き魔素抜きのできたコケッコーを

そのまま爺ちゃんの指輪の空間へ格納した。

そのうちの大きい一羽を使って今夜は「から揚げ」の予定だった。


コケッコーの羽根を毟り、

表面を火で炙り残った毛を燃やし、

肉を捌き、俎板上でそれらを一口大に切る。

それらを大きな木の器へ入れて、

醤油と日本酒をかけて重力魔法を使い短時間で染み込ませた。

時間が来たら片栗粉を付けていく。

小麦粉でも良いのだが、片栗粉の方がよりカリカリに仕上がるために

今回は、片栗粉に決定した。

爺ちゃんが用意した石作りの竈の上に大きな鍋を置き、

その鍋へたっぷりのサラダ油を入れて、

焚き木へ火の精霊に着火してもらった。

そこからは、ただひたすら揚げていくだけである。

辺り一帯へ美味しい匂いが充満する。

みんなが『ゴクッ』と唾をのみ込んでいる。

大皿に山盛りの『コケッコーのカリカリから揚げ』がとうとう完成した。

これに追加でフライドポテトも欲しいところだが、

倉庫空間にもジャガイモが無いため諦めるしかなかった。

アツシはこの世界の野菜を知りたいと思った。

今度の町では、真っ先に野菜売り場へ行きたいと考えている。


さて晩御飯が始まると、いつの間にか女神様が僕の隣で座っている。

爺ちゃんが「から揚げなら、ビールが一番じゃ」と叫び、

女神様とビールで乾杯して、カリカリから揚げを食べている。

「はぁ、美味しいわ。こんな美味しい物食べたの初めて・・・

 昨夜のお刺身も煮付も・・・あれもとても美味しかったわ。

 でも今日のこれは・・・このビールとの相性も最高ね。

 このままだとわたくし・・・太ってしまうかも・・・

 でも止めたくない・・・カリカリから揚げを一口食べて、

 ビールをグイッと吞む・・・本当に最高のリズムだわ。

 ノリリンが言う様にビールが最高ね。

 はぁ・・・止められない。

 明日からがんばればいいのよね?そうよそうよ。

 あの時アツシ君に言われて、悩んだけど

 あなたの職業に料理人を追加したのは最高の判断だったわ。

 私の女神史上、最高の仕事をしたと思うわ」

「女神様、アツシの料理人の腕は最高じゃろ?

 アツシに料理人を追加して頂きありがとうございました。

 このノリリン、女神様のためには何でもするつもり・・・」

と酔いつぶれて眠っている。

「もうノリリンったら、こんなに酔っぱらって仕方ないわね」

と女神様は笑いながら、

優しい女神様は爺ちゃんの身体へ毛布を掛けている。

「そうそう、アツシ君、こんな美味しい物食べさせてくれたお礼に

 あなたが喜ぶであろうスキルをあげるね。

 はい・・・と・・・ちょっと酔っちゃたかなぁ・・・

 あなたのスキルへ『鑑定眼』を追加したよ。

 これから色々な物の鑑定が出来て、

 料理方法や毒の有無など色々と鑑定できるようになったわよ。

 あなたにきっと役立つはず・・・

 ファ・・・少し眠くなってきちゃった。可愛いアツシ君、またね」

女神様は、何とアツシの頬に『チュッ』とキスをして消えて行った。

アツシは初めて女性からキスをして貰い感激し固まっている。


その時、可愛いグリンさんの声がアツシの脳裏へ響いた。

『私も初めてから揚げという美味しいものを頂きました。

 ノリリンとこの世界で色々と食べたけれど初めてでした。

 アツシ君、あなたと一緒にこの世界へ来ることができて良かったです。

 このから揚げは、私の家の奥に住むモモ母さんにも届けるつもり。

 それとこれはノリリンには内緒よ。チュッ』

今度は、女神様と反対側の頬へキスの感触があった。

アツシは、両方の頬を両手で挟んで感激し固まっている。


その時、トイレに起きた爺ちゃんが、

「何じゃ・・・・アツシ、顔が真っ赤じゃぞ。大丈夫か?」

「だ、大丈夫だよ。おやすみ」

「おぉ、おやすみ。アツシ、最高の晩飯じゃった、ごちそうさま」

僕は満ち足りた気持ちで眠った。

心地良い疲れに眠っているアツシの身体へ

コタローやミュウやスラちゃんやホークがもたれて眠っている。


翌朝はコケッコーの巣を目指した。

目的は『卵』である。

巣にはやはりたくさんの卵があった。

巣を守るコケッコーが襲い掛かって来る。

まだ孵化したばかりのコケッコーのひよこもいる。

昨日と同じ様に重力魔法で成鳥のコケッコーを動けなくさせた。

そして、たくさんある卵を鑑定していく。

有精卵は、回収しないように一つ一つ慎重に確かめた。

そうしないとこの辺りのコケッコーは絶滅する可能性があるからだった。

そうなればこの回りの住人は困ることになると考えたからだ。

今後、コケッコーの巣を見つけるたびにそうしようと考えている。

たくさんの無精卵を爺ちゃんの指輪の空間へ入れた。

やがて深く大きな森の姿が見え、その森の手前に小さな町が見えた。

料理人スキルはアツシには

最適なスキルだったみたいでみんな幸せな時間を過ごしています。

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