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5.初めての冒険

お腹一杯になった爺ちゃんと僕は、旅立ちの町を出た。

遠くを見ると白い雪を被った大きな山脈や青い湖や深い森が見える。

「アツシや、腹ごしらえもしたし、今度こそ冒険の始まりじゃ」

「うん、爺ちゃんとりあえず町の周りを探ってみる?」

「そうだな。適当に町の周りを回ろう。ついでに魔物を減らしておこう」


しばらくすると、小さな森があった。その森へ入ると

目の前に透明のゼリー状の魔物が現れた。

スライムだった。

見た目は小さくて力も弱そうだが、

腐食液も飛ばしてくるし危ない魔物だった。

「アツシ、ちょっと試してごらん。

弱点は知っておろうな?ほれナイフじゃ」

「うん」

僕がスライムに慎重に近寄って行くと、

スライムのステータス画面が出てくる。

画面には『LP2、腐食液を飛ばす。弱点は核』と書いてある。

ナイフを握りしめて気を付けて近づいていくと、

なぜかスライムの上に魔法陣が浮かんできている。

「爺ちゃん、LPが1じゃないのに仲間にできるみたい。

 ちょっとこの子に手をかざしてみるね」

「ほう、さっそくS級の力が出たのかのぅ。不思議じゃな」

僕がスライムの上に浮かんでいる魔法陣に手をかざそうとしてよく見たら

魔法陣の真ん中にプルンとしたゼリー状のものが浮かんでいる。

『これって、こうすればいいんだったかな』と手をかざすと

スライムの魔法陣が光り、魔法陣と共にゼリーも手へ吸い込まれた。


途端にスライムが、フルフルと喜んで近寄ってくる。

可愛いので手を出すと、ピョーンと飛んで手のひらに乗った。

僕の脳内へ可愛い声が響く。

『こんにちは。ご主人様、僕を仲間にしてくれてありがとう。がんばるね』

「君の名前は『スラ』でいい?」

『はい、ありがとうございます。

今後ご主人様が僕の仲間に会っても攻撃してこないよ』

なんと簡単に仲間が出来てしまった。

その時、脳裏に『ピロリロリン』と音が響いた。

突然、目の前に僕のステータス画面が出て来た。

仲間に『スライム(スラ)』の項目が増え、

僕の特技に『腐食液飛ばし』が追加されている。


職業:魔物使いクラス:S級レベル:2↑

体力:10 筋力:10 素早さ:10 魔力:1100

仲間:1 仲間名:スライム(スラ)

特技:1 スキル:腐食液飛ばし1


「爺ちゃん、なんか僕、レベルアップしたみたい。

 今さっき頭の中にピロピロリンって音がしたんだ」

「そうか、音がしたか・・・

 それはいいことじゃ。レベルアッポじゃ。

 わしはここしばらくそんな音はしてないのぅ。

 もうレベルアッポしないのかのぅ」

「レベルアッポじゃないよ。アップ・・・レベルアップだよ。

 ねぇ、ちなみに爺ちゃんはレベルいくらなの?」

「レベルか・・・そうじゃのう、今は99じゃ。

 そういえば、格闘家も剣士も魔導士も99で止まってたのぅ。

 99・・・そうか・・・もう上がらないから職業を変えるか、

 もう一つ級を上げないと駄目なのかのぅ」

「爺ちゃん、本当にS級なの?」

「そうじゃ、200年前にS級になって今はSS級じゃ。

 そうかだからこれ以上上がらなかったのか・・・

 しまったなぁ、ボケたのかのぅ・・・わし、

 もしかしてここ100年間無駄にしたのかのぅ」

「爺ちゃんすごいじゃん。

 だったらSSS級か他の職業に変わったら?」

「どうするかのぅ。悩ましいのぅ。

 新人のアツシがいるから魔法使いは変更できないから

 職業を二つにできるかどうか聞いてみるか」

「それがいいよ。せっかくだから一緒にレベルアップさせようよ」

「ちょっと神様に聞いてみるかのう」


目の前に金色の明るい光の空間が現れた。

「あらっ?急に呼ばれたけど、ノリリンどうしたの?」

目の前に銀色のティアラを付けた白いドレスの女神様が現れた。

「あらっ、この子は教会に来たアツシ君だったっけ?

確か魔物使いだったわよね」

「そうじゃ、ありがとうね。ちょっと聞きたいんじゃけど、

 職業は二つ持つの大丈夫じゃろうか?」

「えぇノリリンはマスターを持ってるから大丈夫よ。

 普通、最低一つはマスターしていないと無理なの。

 えっとノリリンは格闘家と剣士と魔導士をマスターしてるから・・・

 その流れならば、僧侶や神父、又は召喚士ね」

「わしが僧侶?神父?・・・柄じゃないから召喚士がいいのう」

 わかったわ、はい、召喚士もつけたわよ。

 魔法使いのレベルが上がりにくくなるのでそのつもりでね」

「えっ、魔法使いはまだ上があって上がるの?」

「そうよ、SSS級までいけるわよ。

 それ以上もあるわよ。神級よ。俗に言うG級ね、」

「わしが神様・・・そんな罰当たりな・・・わしはこれでいいです」

「そうなの?神級になれば無限の寿命だし、

 新しい宇宙も作れるし楽しいわよ」

「うーん、その時にまた考えてみます」

「女神様、あのーお聞きしたいことが」

「なあに?ノリリンのお孫さんならサービスするわ。

 でもあまり欲張るとどちらもレベルが上がりにくくなるわよ。

 ねぇ何か他に良い職業があるの?」

「はい、料理人を追加して頂けませんか?」

「料理人?魔物使いのS級なのになぜなの?」

「実は爺ちゃんは、

 お刺身とか煮魚とか好きだから作ってあげたいんです」

「まぁ、優しいお孫さんね。ノリリン、良かったわね。

 わかったわ。商売用じゃない料理人を追加して上げる。

 作ったらたまには私も呼んでね。喜んで出席するわ」

「はい、よろこんでお呼び致します」

「そう・・・やったー

 私、今までお刺身って食べた事ないのよね。

 あなたの料理、楽しみにして待ってるわ。じゃあね」

 とても気さくで優しい女神さんに

 新しい職業「料理人」を付けて貰ったアツシであった。


そこからしばらく歩いていると、小さなウサギが草むらから顔を出した。

「あっ、ウサギだ。可愛いなぁ、おいでおいで・・・」

僕が屈んで手を持って行くと、

突然その可愛いウサギはギザギザの牙を剥きだして襲って来た。

空中でその狂暴なウサギは浮いてもがいている。

「アツシ、この世界は魔物ばかりだと言ったじゃろ?

 警戒してないと大怪我をするぞ。今度は気をつけるのじゃぞ」

空中に浮いているウサギは、

バタバタしながら牙を剥いて赤い目で睨んでくる。

アツシは、「料理人」らしく、

すばやく血抜きと毛皮を剥いで迅速に処理した。

そしてそれは爺ちゃんが指輪へ格納している。

手に付いた血は、爺ちゃんの魔法で綺麗になった。


『ピロリロリン』

職業:魔物使いクラス:S級レベル:2

   料理人  クラス:B級  レベル:2↑

体力:10 筋力:10 素早さ:10 魔力:1100

仲間:1 仲間名:スライム(スラ)

特技1:1 スキル:腐食液飛ばし1。

特技2:1 スキル:獲物解体術1↑。


その後、街の周りを歩き回ったが、スライムと魔ウサギだけだった。

スライムは、もう仲間のため襲ってこなかったため、

魔ウサギを何十羽も狩って、町へ戻って肉屋へ売った。

魔ウサギの肉は、ミミ―肉と言われているらしい。

そして宿屋に戻って部屋に入った。

お小遣いが少なくてかわいそうなので、

今日は宿屋の娘のブリンカへお水を二つ頼んだ。

最初、仏頂面だったが途端に態度が変わりニコニコしてくる。

魔ウサギの売り上げ代金があるのでちょうど良かった。


宿屋のおばさんには、戻ってきてすぐに

魔ウサギ二羽分のミミ―肉をわたして料理を頼んでいる。

そして魔素を抜く時は、

参考にしたいから呼んで欲しいと頼んでいる。

しばらくするとブリンカが僕を呼びに来る。

「今からお母さんがミミ―の魔素を抜くってさ」

おばさんは、俎板の上でミミ―から魔素を抜き始めた。

アツシは、その方法を見学させて貰い、

おばさんから要領を聞きながら途中から一緒に魔素抜きを行った。

おばさんは、僕ができるようになると大いに喜んでくれた。

ブリンカは、まだ十分魔素抜きが出来ないそうでくやしそうだった。

これで旅先での獲物の魔素抜きは出来て美味しい料理ができる。

その夜の料理は、

ミミ―のチーチシチュー、ミミ―の胸肉サラダ、蒸しファン。

爺ちゃんは、この世界の白ワイン「ホワリー」を飲んでいる。


寝る前にステータス画面をみると、料理人レベルがあがっていた。

職業:魔物使いクラス:S級レベル:2

   料理人  クラス:B級  レベル:3↑

体力:10 筋力:10 素早さ:10 魔力:1100

仲間:1 仲間名:スライム(スラ)

特技1:1 スキル:腐食液飛ばし1。

特技2:1 スキル:獲物解体術5↑。魔素抜き3↑。

いよいよ冒険の始まり。

アツシは新しい職業を貰い物語はその方向へも進んで行きます。

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